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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第73回】「ニセレゾ」疑惑の真相とは − K2HDのハイレゾは本当にハイレゾか?

2014/01/24 高橋敦
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■ネットでまことしやかに囁かれる、ハイレゾ音源の「ニセレゾ」「産地偽装」疑惑

ハイレゾ配信に大きな進展が見られつつある今日この頃。音楽とオーディオを愛する方にとっては実にポジティブな状況だ。しかしだからこそ、ハイレゾを歓迎しているユーザーに生まれてしまっているネガティブな疑念にも触れておいた方がよいだろう。

「既存の非ハイレゾ音源データをアップサンプリング&ビット拡張し、スペックだけハイレゾにしてハイレゾ音源として売るってどうなの?」

…ネット界隈で言われるところの「ニセレゾ」「産地偽装」問題だ。

まずは大前提の確認だ。既存の非ハイレゾデータをアップサンプリング&ビット拡張しただけのデータをその出自を明らかにせずに「ハイレゾ」とだけ表記してハイレゾとして売っている商品があるとしたら、法律的な問題は知らないが、ユーザーの実感としては、詐欺同然と言えるだろう。

既存のデータを形式上アップサンプリング&ビット拡張しただけでは、ハイレゾの恩恵は何も得られない。MP3をFLACに変換したのと同じようなものだ。恩恵がないどころか、音質はそのままなのに容量は増えて値段は釣り上げられて、悪いことしかない。ふざけた話だ。その点には異論のある方はいないだろう。

■JVC(ビクター)のハイレゾ技術「K2HDプロセッシング」とは?

異論のないであろう部分についてはよいとして、今回は賛否両論を共に見かける、ある技術について特に取り上げたい。JVC(ビクター)の「K2HDプロセッシング」技術だ。e-onkyo musicで配信されているビクターのハイレゾ音源は、この技術によってハイレゾ化されたものも少なくない。


K2HDプロセッシングの概要は、以下の公式ページで紹介されている。

・K2HD MASTERING | K2 TECHNOLOGY
http://www.jvcmusic.co.jp/k2technology/k2hd/index.html

また、e-onkyo musicも説明ページを用意している。

・VICTOR K2 HD プロセッシングについて
http://www.e-onkyo.com/news/7/


K2HDプロセッシングの説明
両ページから引用すると、

「アナログテープのマスター素材からCDマスターを制作した場合、CDフォーマットでは20kHz以上はカットされてしまいます。K2HD PROCESSINGでは、その欠落してしまった高周波成分を、アナログマスターとほぼ同様に再現します」

「アナログ(テープ)やハイレゾリューションで収録された素材を使用したハイレゾ音源ではありません。主にCDフォーマットの16bit/44.1kHzなど下位フォーマットでのみマスターが現存する音源を、デジタル高音質化技術『K2』の最新システムにより、最高192kHz/24bitまでの上位フォーマットへのデジタルベースでのアップコンバートを施し、配信するものです」

というところがポイントだろう。

次ページ「K2HDプロセッシングによるハイレゾ」を正しく理解しよう

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