うちのテレビも連動する?ヤマハYSP-4000のHDMIリンク機能を一斉検証!

ヤマハの“デジタル・サウンド・プロジェクター”のフラグシップモデルとしてこの秋に登場した「YSP-4000」。本機は新たにHDMIコントロール(CEC)機能に対応し、テレビやレコーダーなどとのリンク操作を実現している。本レポートでは、公式にリンク対応している松下電器「VIERA」、東芝「REGZA」以外のテレビで、そのリンク機能を検証。編集部独自の視点で、YSP-4000の新たな可能性に迫ります。

リンク機能の検証を行う大橋氏(クリックで拡大します)
ヤマハのデジタル・サウンド・プロジェクターは、パネル状のワンボディに収められた合計42個のスピーカーと、同じ数のデジタルアンプが(8個一組×5チャンネル、ウーファー×2)音をビーム化して壁に反射させ背後、側方から音を出し、リスナーの周囲に、背後に立体音を描き出す世界唯一の製品。新しくラインナップに加わったトップ機種「YSP-4000」は、HDMI端子を利用して接続機器とインターフェースするCEC機能を持ったのが大きな特徴の一つだ。

パナソニックVIERA LINK、東芝REGZA LINKに対応し、テレビ側のリモコンでYSP-4000とソース機器の電源ON/OFF、さらに音量調整や消音、音声出力の切り換えが行える。高価なシステムコントローラーを導入して初めて実現できた世界が、最もシンプルなYSP-4000で出来るのだから愉快ではないか。

しかし、待てよ。VIERAやREGZAに限らず、HDMI Ver.1.2aを搭載しCEC機能に対応するテレビなら原理上みな動作するはずである。ヤマハに訊くとニヤニヤするばかりで答えてくれない。よし、それならば自分で試してみるのが手っ取り早い。今回は、音元出版視聴室に各社のCEC対応テレビを集め、TVラック一体型のYSP-LC4000とのインターフェースを試みた。ソース機器はパイオニアのブルーレイディスクプレーヤーBDP-LX80である。

YSP-4000
YSP-4000とのリンクが検証されている機器
Panasonic「VIERA」
Panasonic「DIGA」
TOSHIBA「REGZA」
YSP-4000
製品データベースで詳細を見る
Panasonic「VIERA」
Panasonic「DIGA」
TOSHIBA「REGZA」

YSP-4000のHDMI端子部。入力2、出力1系統を備える(クリックで拡大します) 視聴は音元出版の視聴室で行った。視聴にはラック一体型モデル「YSP-LC4000」を使用した(クリックで拡大します) YSP-4000付属のリモコン。本機だけでも、テレビやレコーダーの操作を行うことが可能だが、今回はリンク機能の検証のため、主にテレビのリモコンを使用した(クリックで拡大します)
▼取材で行った検証の機器の接続方法





組み合わせたテレビ
SONY
BRAVIA「KDL-46X5000」
設置イメージ。YSP-LC4000の横幅ピッタリに収まった(クリックで拡大します) HDMI CECの設定画面。設定は簡単に完了する(クリックで拡大します) 「HDMIコントロール機器一覧」の画面(クリックで拡大します)

テレビの設定 最初にTVのHDMI設定で「CEC関連機器コントロール」に入り「HDMIコントロール」「テレビ→HDMI機器電源連動」「HDMI機器→テレビ電源連動」の項目を全て「する」に設定。
電源連動 YSPをの電源をオンするとLX80、BRAVIAの順で電源が立ち上がる。全部オフ状態からLX80をオンにすると、ディスクの読み込みが完了した時点ででテレビがオン。しかしこの場合、YSPは立ち上がらなかった。
ボリューム連動 YSPがオフの状態で、BRAVIAの「お気楽リモコン」のオレンジ色の「シアターボタン」(BRAVIA LINK)を押したら、YSPが立ち上がった。シアターモードオンでAVアンプ(YSP)に音声、オフでテレビ音声に切り替わる。バンザーイ! このリモコン一つでYSP、テレビのどちらも音量調整ができる。これで、ミニマムの連動型ホームシアターが完成した。
音声出力機器の切替 テレビの音声出力を光出力でYSP-4000に接続しておくことが必要だ。YSPの入力切替を「テレビ」に変えれば放送音声をYSPで聴ける。また、オフ状態からテレビのシアターボタンを押すとYSPが立ち上がるが、シアターモードオンでYSPから音声が出力され、オフでテレビ音声に切り替わる。全てオンの状態でYSPのみをオフにすると、テレビ音声に切り替わる。これは賢い。

BRAVIAのリモコン
通常リモコンのほかに付属する「お気楽リモコン」。左上の「シアターボタン」を使って、ワンタッチで音声の切替(テレビのスピーカー←→YSP)が可能だ
(クリックで拡大します)


基本的にYSP-4000との連動性は実証できた。両者の息の合い方はまあまあ好いほう。面倒な面もある。BRAVIAの関連項目に「HDMIコントロール機器一覧」があり、ここでは接続されているHDMI機器が認識されているかどうかの確認を行うことができる。「AVアンプ」を「有効にする」して確認実験するのだが、その結果がわかりにくい。この点は、実際に使って確認するのが一番判りやすいだろう。LX80の操作に関してはユーザーがマニュアルで補ってやる必要があるが、BRAVIAとYSPの連携は良好だ。




組み合わせたテレビ
HITACHI

Wooo UTシリーズ
「UT32-HV700」
設置イメージ。別筐体のWoooステーションはラックに収めることもできる(クリックで拡大します) HDMI CECの設定画面。ソニーとほぼ同等の設定項目を用意(クリックで拡大します) リンク時、Woooのリモコンで音量を操作するとAVシステムのアイコンが表示される(クリックで拡大します)

テレビの設定 まず設定は、テレビメニューの「外部機器接続設定」に入り、「Woooリンク制御:する」「システムオフ設定:する」「TV連動音設定:する」「音声出力設定:TV/アンプをアンプへ」と順に設定していく。
電源連動 システム全てがオフの状態でTVをオンするとYSPもオンになる。LX80は連動しない仕様だ。入力設定からの整合性、ユーザーの使用頻度と省エネを考慮したらこれでいいわけだ。逆にTVがオフ状態からYSPをオンした場合は、TVはオフのままという仕様だ。また、LX80をオンするとTV、YSPともにオンになる。もちろん音声はYSPから出力される。
ボリューム連動 Woooリンクに入っている状態なら、ソースによらずYSPのボリューム調整はテレビのリモコンで出来ることはいうまでもない。YSPから音声が出力されるように設定している場合、TVのリモコンで音量調整を行うと画面中央下にアンプのアイコンが出る。「Woooリンク」ボタンを押すとTVの音声へ戻る。もう一度Woooボタンでシアターサウンドへ切り替えた場合、すぐに音が出ないが、LX80のメニューのチャプターを操作したら、音声が出力された。

また、テレビ入力切り替えをデジタルBSへ切り替えたら、YSPの入力がTV/STB(光接続)に変わった。これは賢い!
音声出力機器の切替

Wooo UTのリモコン
「Woooリンク」ボタンで音声の切替をワンタッチで行うことができる(クリックで拡大します)


日立の最新機種UT32-HV700についても、YSP-4000とのHDMIリンクが実証された。しかし、先の項で書いたように、YSPとのインターフェースにさらにソース機器が加わると一筋縄でいかなくなる。どれか一つがオンオフの連携から取り残されてしまう場合があるのだ。このあたりがHDMI認証システムの機能上の両刃性と言えそうである。





組み合わせたテレビ
PIONEER
KURO「PDP-508HX」
設置イメージ。ラックとテレビの質感が似ていて違和感のない組み合わせだ(クリックで拡大します) HDMI CECの設定画面。はじめにどのHDMI入力を連動させるかを選択する(クリックで拡大します) KUROは、プレーヤーとの連携機能にも力を入れている(クリックで拡大します)

テレビの設定 「その他の設定」の中にHDMI設定があるので注意。接続機器は、機器名、メーカー名、型番が表示され、電源オン/オフテストを行うことができる。ソース機器は「PLAYER、PIONEER、BDP-LX70」と表示。本当はLX80なんだけど…。YSPは「AV SYS、other、----」と表示される。
電源連動 テレビをオンするとYSPがオンになった。バンザーイ! しかしLX80がオンにならないのは日立と同様の考えだろう。TVオフにすればシステム全部がオフになる。
ボリューム連動 電源は自動化されているが、音声切り替えとボリューム操作はマニュアル操作が基本と考えていい。メニューの「HDMIコントロール」で「音声をAVシステムから出す」を選択すれば、テレビのリモコンでYSPのボリュームコントロールが出来るようになる。テレビ側の入力を放送系に変えてもYSPから音が出る。テレビのスピーカーを使用したい場合は、「HDMIコントロール」メニューから「音声をPDPから出す」を選べばOKだ。
音声出力機器の切替

KUROのリモコン
右上の「HDMIコントロール」ボタンでメニューに入ることで、音声出力を「AVシステム」「PDP」のいずれかから選択できる
(クリックで拡大します)

さすがにソース機器との連携は完成度が高く、テレビからLX80の操作はしやすい。テレビリモコンの「ディスクナビ」を押すだけでBDのポップアップメニューが出て、チャプターを選ぶことができる。また「再生操作パネル」(再生系の操作をするときに使用)を押すとメニューダイヤルが画面に表示される(写真右上)。再生中にはこれが使える。“○○リンク”をセールスポイントにした製品ではないので、ワンボタンで積極的にサウンドまで含め連携モードに入るわけではないが、HDMIのCECを活かし、必要にして十分な範囲でユーザーの便宜を図るという考え方である。




YSP-4000はソース機器とテレビをHDMIで仲介するように接続する。Ver.1.2a以降のHDMIを搭載しCEC機能に対応したテレビなら、YSP-4000とコンビネーションで映像と音が一体に なって動くホームシアター環境が生まれることを実証することができた。しかし、全てのテレビが同じ動作をするわけでなく、一筋縄で行かないのが面白い所である。特にソース機器と三者間のリンケージになった場合に、各製品各様の対応をするのは興味深い。単なる電源連動と入力選択でなく、エンドユーザーのシチュエーションを考えてCEC機能を活かしたプロトコルになっているかどうかということだが、結論を言えば、「○○リンク」を製品のセールスポイントにしたテレビは、 「○○ボタン」がトリガーになるので、三者間の連係動作が比較的スムーズである。

日本はシステムコントロールの後進国である。言い方を変えれば、CEC機能の利用は始まったばかりで、YSP-4000のような製品が生まれて、テレビメーカー各社と他流試合をしていくことでCEC機能が「連動」でなく本当のバスシステムに育っていくのだ。映像と音が助けあい掛け算のように動いて、快適な視聴環境を作り出す。それこそ、オーディオビジュアルという文化が生まれて以来、ずっと待望されてきたものなのだから。

■テレビのリモコンによる「YSP-4000」の連動機能一覧
電源 音量 入力切替 特記事項
ON OFF
 Panasonic VIERA
公式リンク検証済み
 TOSHIBA REGZA
公式リンク検証済み
 SONY BRAVIA(KDL-46X5000)※1
※2
※2リモコンの「シアター」ボタンでON連動
 HITACHI Wooo(UT32-HV700)※1
-
 Pioneer KURO(PDP-508HX)※1
-
※1一覧はPhile-web編集部の検証によるものです。



デジタル・サウンド・プロジェクター
YSP-4000 (B)ブラック/(S)シルバー
デジタル・サウンド・プロジェクター
YSP-LC4000 (B)ブラック/(S)シルバー
【SPEC】●総合最大出力:120W(20W×2+2W×40) ●スピーカー部型式:2ウェイ密閉防磁型 ●スピーカーユニット:11cmコーン防磁型×2個、4cmコーン防磁型×40個 ●入力端子:HDMI2、アナログ音声3、光デジタル音声3、同軸デジタル音声1、コンポジット映像3、コンポーネント映像2 ●出力端子:HDMI1、サブウーファープリアウト1、コンポジット映像1、コンポーネント映像1 ●消費電力:55W
●外形寸法:1030W×198H×144Dmm ●質量:15.5kg ●外形寸法:1300W×429H×425Dmm ●質量 31.1kg
●耐荷重 天板60kg、底板40kg(総耐荷重合計100kg以下)



筆者プロフィール
大橋伸太郎 Ohashi Shintaro
1956年神奈川県鎌倉市生まれ。早稲田大学第一文学部卒。フジサンケイグループにて、『ガレのガラス芸術』『日本百景』『少年少女名作絵画館』(全12 巻・日本図書館協会、全国学校図書館協議会選定図書)等、美術書、児童書を企画編集後、(株)音元出版に入社、1990年『AV REVIEW』編集長、1998年には日本初にして現在も唯一の定期刊行ホームシアター専門誌『ホームシアターファイル』を刊行した。ホームシアターのオーソリティとして、Infocom Japan、9坪ハウス、富士通ゼネラル、カリモク家具販売、ルートロンアスカ、東京建築士会、インハウス平和などでの講演多数。テレビ朝日系列『トゥナイトII』などテレビ出演も多い。2006年に評論家に転身。西洋美術、クラシックからロック、ジャズにいたる音楽、近・現代文学、高校時代からの趣味であるオーディオといった多分野にわたる知識を生かした評論に、大きな期待が集まっている。趣味はウィーン、ミラノなど海外都市訪問をふくむコンサート鑑賞、アスレチックジム、ボルドーワイン。

ヤマハ ホームページ http://www.yamaha.co.jp/
ヤマハ YSP-4000詳細 http://www.yamaha.co.jp/product/av/prd/ysp/ysp-4000/