TANNOY(タンノイ)の新しいスピーカーシステム、EYRIS(アイリス)DCシリーズは、ピュアオーディオグレードで本格的なマルチチャンネル再生を望む人に恰好のシステムである。

このシリーズの3機種のスピーカーに見られるのは、伝統的な技術と最新技術の見事な融合だ。伝統的なのは、同社独自の同軸構造のスピーカーユニットを採用していること。ウーファーとトゥイーターを同軸で組み合わせたデュアルコンセントリックのユニットは、再生の理想とされる点音源に最も近い明確な音像定位が得られるという特徴がある。もちろん、このユニットでも素材や構造の進化は見られる。口径7インチ(175mm) のウーファー部のコーンは、ペーパーに数種のファイバーを混入し強く圧縮したものだが、これは、軽くて強い理想的なコーンである。トゥイーター部では位相に優れたテクノ・ウェーブガイド(TW)を採用し、正確な球面波を得ている。DCシリーズのもう一つの特徴は、口径25mmの「ワイドバンド・トゥイーター」を加えていることだ。これは、ドーム型チタニウムの振動板を使い16kHz 以上の超高域を再生するスーパートゥイーターで、51kHzという超高音まで再生できる優れものだ。これを搭載したことで、SACDやDVDオーディオなどの高域再現能力がぐっと向上した。

3機種のうち、同軸ユニット+ワイドバンド・トゥイーターのモデルがブックシェルフ型のEYRIS DC1(以下DC1)、さらに250Hz以下を再生する口径7インチのサブバスを1個加えたのがトールボーイ型のEYRIS DC3(以下DC3)、同じ口径のサブバス2個を加えたのが横置きのセンター用スピーカーEYRIS DCC(以下DCC)だ。いずれの機種でも、エンクロージャーには高密度のMDF(ミディアム・デンシティ・ファイバーボード)材が採用されている。フロントパネルが30mm、その他の分が18mmと板の厚みは十分だ。

ブックシェルフ型の「EYRIS DC1」にマッチする、シルバーメタリック塗装が施されたスピーカースタンド「STD-3」
(¥31,290/税込・ペア)

シカモア材の突き板仕上げで、ホワイトオークに似た明るい色調。DC1はフロントバスレフ、DC3とDCCはリアバスレフだ。いずれのスピーカーもワイドレンジ・トゥイーターを取り付けている頂点の部分は円形に盛り上げたラウンドトップ形状となっており、その部分とグリルとの色調を同じ黒にすることでテザインの統一を図っている。端子はバイワイヤリング対応。TANNOY独自の円形5端子で構成され、スピーカーのプラス端子、マイナス端子の他に、独立したアース端子を設けているのが特徴だ。7インチの同軸ユニット、7インチのサブバスユニットは10本のネジでエンクロージャーに強固に取り付けられている。
肉厚のアルミダイキャストボディに内蔵されているワイドバンド・トゥイーター。広帯域・位相特性に威力を発揮するこのトゥイーターユニットには、1インチドーム・チタニウムダイアフラム/ネオジウムマグネットが使われている
SACDやDVDオーディオなどの高音質メディアが持つ情報も、余す事なく引き出す新開発の7インチ同軸2ウェイ・ユニット
TANNOYスピーカーならではのスピーカー端子部。五芒星を描くかのように配置されたSP端子・アース端子を備えている
早稲田大学卒業後、東宝に入社。13本の劇映画をプロデュース。独立後、フジテレビ/学研製作の『南極物語』(1983)のチーフプロデューサーを務める。映画製作の経験を活かしたビデオの論評は、家庭における映画鑑賞の独自の視点を確立した。