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巷ではいま、ランニングを趣味として、あるいは本格的に楽しむランナー人口が増えているという。実際、都内でも公園などで休日に、あるいは出勤前の時間にランニングを楽しむ人たちが急増している。一方で、好きな音楽を聴きながら気持ちよく走りたいというランナーも多い。今年、ゼンハイザーが発売した“スポーツイヤホン”シリーズは、ランニングをはじめ、様々なスポーツシーンで快適な音楽リスニングが楽しめる“決定版”と呼べるイヤホンだ。今回は、中学生から大学生まで陸上部で活躍していたという、モデルのユリさんに“スポーツイヤホン”で楽しむランニング&音楽リスニングの魅力を体験してもらった。

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「最近は東京マラソンにも出場しました!」という、アスリートなモデルのユリさんに“スポーツイヤホン”を体験してもらった

はじめにゼンハイザーの“スポーツイヤホン”がどんなモデルなのか、ご紹介しておこう。本シリーズはヘッドホンとオーディオのスペシャリストであるゼンハイザーと、著名スポーツブランドのアディダスが初めてコラボレーションを実現し、完成させた「スポーツと音楽を愛する人たちのためのイヤホン」だ。オーディオ的には、ゼンハイザーの上位機種が採用してきた様々な高音質再生のためのエッセンスが惜しみなく投入されており、あらゆるジャンルの音楽をハイクオリティに再生する実力を備えている。“スポーツイヤホン”の音楽再生面での実力については、本レポートの後半でライターの岩井喬氏による詳しいレポートをお届けしよう。

スポーツシーンでベスト・パフォーマンスを発揮するために、アディダスとの共同研究の成果が活かされている。例えば、従来のモデルよりも耐水性に優れた構造を採用することにより、イヤホン本体への汗や水滴の付着に対する耐性が高められている。当然、スポーツをするからには気持ちよく汗をかいて、体を鍛えたり、リフレッシュしたいものなのだから、イヤホンの耐水性能は重要なポイントになる。ケーブルはデュポン社が開発した「Kevlar(ケブラー)」が素材に選ばれている。「-10度の極寒環境でもしなやかさを失わない点が特長」であるというが、普段使いのメリットとしては、ランニングの時にケーブルとウェアが擦れて生じるタッチノイズが極めて少ないのもランナーには嬉しいところだ。

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ゼンハイザーとアディダス、トップブランドどうしのコラボレーションにより誕生した“スポーツイヤホン”680シリーズ

また、ゼンハイザーのスポーツ用途のイヤホンとして、はじめてボリュームコントローラーが設けられたことも、最新の“スポーツイヤホン”を100%楽しむ上での大きなポイントになる。この辺りの使い勝手については、これからお送りするユリさんの体験レポートでご紹介しよう。

今回ユリさんには最新“スポーツイヤホン”の4機種から、ネックバンドタイプの「PMX 680」を実際に体験してもらった。あらゆるユーザーに快適な装着性能を提供するためのエルゴノミクスデザインを徹底検証して、これまでのネックバンドタイプのイヤホンになかった軽快な装着感を実現している点にも注目だ。

 
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陸上競技は中学から始めて、大学生の頃は陸上部でも活躍していたユリさん。「得意な競技は“走り高跳び”です」と笑顔で答えてくれたユリさんは、大学を卒業した後も欠かさずランニングを続けている。そして「ランニングしている時は、ぜったいに音楽を聴いています!」という音楽好き。早速ゼンハイザーの“スポーツイヤホン”「PMX 680」を手に取ってみてもらうことにした。

街なかの、大勢の人たちの視線もある場所で走るとなれば、やっぱりウェアもイヤホンもスタイリッシュに着こなしたいものだ。「PMX 680」のルックスの印象は?ユリさんに訊ねてみた。「私はランニングの時にはブラックやホワイトの、シンプルな色のウェアを着るのが好きなんですけれど、“スポーツイヤホン”は本体がブラックでウェアにも合わせやすいし、蛍光イエローの部分がチャームポイントになって、個性をアピールできそうですね」と、第一印象も上々なようだ。

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スポーティーなデザインの専用キャリングバッグから「PMX 680」を取り出す。「ブラックと蛍光イエローのツートンカラーがかわいいですね!」とユリさん(写真はクリックで拡大)
「PMX 680」は軽快な装着感を実現したネックバンドスタイルのイヤホン。ランニング時の安全性を考えて、バンドの背面部分には反射光片を配置している(写真はクリックで拡大)

イヤホンを身に着けてみた装着感はどうだろうか?これは「PMX 680」を手に取った時点で実感できることだが、イヤホン本体の“軽さ”に驚く。耳を支点に頭全体をやさしく覆うような、エアリーな感覚が、いまイヤホンを装着していることを忘れさせるほどだ。「耳に当たるイヤホンの部分がゴツゴツしてなくて、フィット感がとても良いですね」というユリさん。スポーツウェアを身にまとった自分の体が軽くなったような、不思議な感覚に驚いたユリさんは、そのまま軽快な足取りで良く晴れた日の公園の小道を走り始めてしまった。

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「耳に当たるイヤホンの部分がゴツゴツとしてなくて、フィット感がとても気に入りました」というユリさん(写真はクリックで拡大)
いままでランニングの時にボリュームコントロールの付いたイヤホンを使ったことがないというユリさん。その便利さを今回の体験で実感することに…(写真はクリックで拡大)

プレーヤーを取り出して、お気に入りの音楽を再生するユリさん。モデルからアスリートへ、瞳の奥の“輝き”が変わったその瞬間がわかった。ユリさんが聴いている音楽のリズムが、周りにも伝わってくるようだ。ユリさんが普段聞く音楽は「邦楽のロック系で、L'arc-en-ciel、VAMPS、BUMP OF CHICKEN、RADWIMPSなんかがお気に入りです。走っている時には定番の曲があって、テンションを上げてくれる曲を選んで聴いています」とのこと。今回「PMX 680」で聴いてもらった音楽の感想は?「リズムがとても気持ち良くて、あっという間にテンションが上がりました!」と満足のようす。

ほかにも実際に着けて走ってみて、気がついたことがあったようだ。「ふだんはケーブルがウェアに触れる音が気になることもあるんですけれど、“スポーツイヤホン”ではそれが全然気になりませんでした。ケーブルの長さも、付属してくるクリップでウェアの好きなところにフィットさせておけば邪魔にならないと思います」とユリさん。また「途中、音楽のボリュームを変えたくなった時にコントローラーの大切さがわかりました!いままではプレーヤーを手にとって画面を見ていたので、走るペースが変わってしまうのが嫌だったけれど、手元でボリュームが変えられるので、ランニングと音楽の両方に今までよりもっと集中できそうです」と、ユリさんも“スポーツイヤホン”の魅力をとことん実感できたようだ。

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お気に入りの音楽を聴きながら走り始めたユリさん(写真はクリックで拡大)
「ランニングはいつも短くても30分は走るんですけど、今日はもっと走れそうですね!」と、ユリさんも良い音と一緒に走る楽しさを実感されたみたいです(写真はクリックで拡大)

音楽は誰かと一緒に楽しむのもいいけれど、一人でランニングやスポーツを楽しむ時のベストパートナーでもある。どうせなら“良い音”で聴くことにもこだわりたいものだ。ゼンハイザーの“スポーツイヤホン”シリーズは、あなたのスポーツライフを変えてくれるはずだ。

 
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スポーツシーンでのリスニングに最適化された軽快な装着感

「スポーツしながら快適な音楽環境を実現する」というテーマの下に、スポーツ製品の大手ブランド、アディダス社との初めてのコラボレーションモデルとして開発された製品が“スポーツイヤホン”シリーズだ。ユーザーの好みのリスニング&装着スタイルに合わせて4つのタイプが同時に発表されたが、「PMX 680」は中でも取り回しの良いネックバンドを採用したインナーイヤーヘッドホンである。

高い堅牢性と人間工学に基づいて開発されたネックバンドには、背面の部分に反射光片も配されており、暗い場所でもその存在を示すことができるため、日没後のランニングなどでも安心して使える。ケーブルには-10℃でもしなやかさを保てるという、デュポン社製「Kevlar(ケブラー)」素材を採用。片出しケーブルは0.5mの長さがあり、クリップ付きボリュームコントローラーが設けられた延長0.7mケーブルによって、身につけたときの快適さと操作性の良さを兼備させている。そのほかの付属品としては、より高い装着性を実現できるイヤホンカバーや、ウェアにケーブルを固定できるハンディーケーブルキャップ、ゼンハイザーとアディダス両社のロゴが入ったキャリングポーチが用意されている。

カラーリングはシリーズ共通で、イヤホン本体にはブラック、本体のパーツとケーブルには蛍光イエローが選ばれた。ネックバンドやボリュームコントローラー、プラグ部はブラックと蛍光イエローのツートンカラーとなる。従来シリーズに比べて耐水性も高くなっており、汗や雨水などの水滴にも強い構造となっている。

装着感は初めて身に着ける際、耳元が押さえられる感覚に少し慣れが必要かもしれないが、使い慣れてくるとこれが非常に快適で、長時間の使用でもフレキシブルで軽量なネックバンドにより、疲れのない装着感が持続する。力のかかる支点はイヤホン本体とフック部のみだが、側圧も強すぎず、軽いジョギング程度で外れてしまうこともない、最適な力加減である。なによりネックバンドによってケーブルも肌から離れるので、汗で首元に張り付く不快感からも逃れられるのが嬉しい。

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外箱はアディダスとゼンハイザーのブランドカラーによるツートン仕上げ(写真はクリックで拡大)
ケーブルにはデュポン社の開発による「Kevlar(ケブラー)」素材を採用している(写真はクリックで拡大)

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イヤホンカバーのほか、ハンディーケーブルキャップを付属しており、ケーブルをウェアに固定することもできる(写真はクリックで拡大)
付属のキャリングポーチ。片面にゼンハイザー、もう片面にアディダスのロゴをあしらっている(写真はクリックで拡大)


スポーツの楽しさを際だたせてくれるサウンド

サウンド面であるが、ランニングやウォーキングなどで使用する際にキーポイントとなる“リズム”が心地よく感じ取れ、低域は膨らみすぎず適度に引き締まっている。中域表現も豊かで、ゼンハイザーならではの声や弦楽器における質感の厚みがある。それに対して高域は軽快な鮮やかさを持っており、全体的にアウトドアで使うのに最適といえる爽快なトーンを持っている。

幾つかの試聴ソースを聴いてみた。「ブルックナー」では管弦楽器の程よい太さと、鮮やかなハリによる爽やかなハーモニーが味わえる。朝のさわやかな日のランニングに、本機でクラシックを聴けば体も気分もすっきりとリフレッシュできそうだ。「オスカー」のピアノはすっきりとした余韻と、粒立ちまろやかなアタックが耳に届く。中域成分も豊かで音像の存在感も高い。ウッドベースはヌケ良くハリがあり、キレも伴う弾力に満ちた胴鳴りを楽しめる。スネアブラシも自然な粒立ちだ。スイングに合わせて実に心地よく走ることができるだろう。

「AP」のピアノはややブライトだが、ナチュラルなアコギとともに澄んだ空間を作り出す。ボーカルは瑞々しいトーンで肉付きも良い。「メニケ」のエレキにおける粒立ち良いピッキングはキレがあり、リリースの豊かなディストーションが鳴り響く。押し出しとふくらみのバランスよいベースと、タイトなアタックを持つドラムとのバランスも良好だ。

「ソラヲト」のリュートは爪弾きが細かく、落ち着いたボーカルはボトムの重心が下がっている。ストリングスにも重みが感じられ、潤いある音場が広がっている。打ち込み中心の「BTS」では、キラキラしたフレーズも潰れず、キックドラムやベースの滑らかな厚みも同時に感じられる。ギターフレーズも分離良く、ハリと厚みを伴ったボーカルの伸びやかな質感は耳馴染みよい。

音楽の核心を外さずに再現し、スポーツの楽しさをも促進させるイヤホンに仕上がっている。単なる意匠におけるコラボレーションではなく、アディダスというスポーツブランドの名門と真正面から対峙して取り組んだ姿勢が窺える、意欲的な製品と言えるだろう。


【試聴ソース】
・ユーベル・スダーン/東京交響楽団『ブルックナー:交響曲第7番』(N&F:NF21202、略称:ブルックナー)
・オスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』(ユニバーサル:UCCU-9407、略称:オスカー)
・『Pure〜AQUAPLUS LEGEND OF ACOUSTICS』(F.I.X.:KIGA2、略称:AP)
・デイヴ・メニケッティ『MENIKETTI』(DREAM CATCHER:CRIDE35、略称:メニケ)
・「Servante du feu」『ソ・ラ・ノ・ヲ・トO.S.T.』(アニプレックス:SVWC7681、略称:ソラヲト)
・「晴れときどき笑顔」『バカとテストと召喚獣O.S.T.』(ランティス:LACA-15016、略称:BTS)

Iwai

◆筆者プロフィール 岩井喬 Takashi Iwai

1977年・長野県北佐久郡出身。東放学園音響専門学校卒業後、レコーディングスタジオ(アークギャレットスタジオ、サンライズスタジオ)で勤務。その後大手ゲームメーカーでの勤務を経て音響雑誌での執筆を開始。現在でも自主的な録音作業(主にトランスミュージックのマスタリング)に携わる。プロ・民生オーディオ、録音・SR、ゲーム・アニメ製作現場の取材も多数。小学生の頃から始めた電子工作からオーディオへの興味を抱き、管球アンプの自作も始める。

 
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