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NA7004

マランツから、満を持して今後のPC&ネットワークオーディオの核となる、ネットワークプレーヤーNA7004が登場した。本機は、マランツの単品コンポーネントと統一されたデザインとサイズを有し、従来のシステムにも違和感なく組み合わせることができる。もちろん、接続・設置から、操作性までを十分考慮し、導入するにも迷わない設計となっている。ここでは、その基本性能を見極めながら、マランツ製品を核としてシステムを組み上げ、その実力と魅力を検証していきたい。

取材・執筆:山之内 正 (プロフィール


私たちのまわりにはポータブルプレーヤー、パソコン、USBメモリー、インターネットラジオなど様々な種類のデジタル音源が広がっている。CDを聴くより音楽ファイルやストリーミングサービスを再生する時間の方が長いという人も少なくないだろう。

マランツのNA7004は、そんな昨今のオーディオ環境にぴったりのネットワークオーディオプレーヤーだ。マランツはCDプレーヤーへのUSB入力端子搭載やAVアンプのネットワーク対応に積極的に取り組んでおり、ネットオーディオについて豊富なノウハウを持っている。その技術を結集したうえで、メカの不要なディスクレス再生のメリットを追求した結果、本機が誕生したのだ。
MARANTZ ネットワークオーディオプレーヤー NA7004 
¥97,650(税込)製品データベースで調べるマランツの製品情報

マランツの独自のシンプルかつ機能的なシンメトリカルデザインである「M-1デザイン」を採用。フロントパネルはアルミ合金と高剛性なガラス繊維強化レジンによる3ピース構造とし、シャーシ剛性を確保しながら分割サブフレーム構造により、振動モードを分散させ不要な共振を抑制している。

リアパネルにPC、Macとの接続に対応するUSB(Type B)入力端子を装備。PCから入力されるデジタル音声信号をNA7004に搭載された高性能DAC「CS4398」によってアナログ変換し、高品位なアナログオーディオ回路を経て出力する


たくさんのCDを持っている音楽ファンなら、リッピングしたCDのデータをNASに保存し、LANを介して本機で再生することをお薦めする。ディスクレスならではの音の良さに加え、直感的な選曲操作は快適そのものだ。iPodユーザーなら高音質のデジタルデータをそのまま本機で聴くことができる。さらに、世界中のインターネットラジオ局にアクセスしたり、パソコンにダウンロードしたマスター音源をUSBを介して本機で楽しむのも自由自在だ。

用途の広さは再生機の域を超えているので、本機はネットワークオーディオプレーヤーというより、デジタルメディアセンターと呼ぶのがふさわしいかもしれない。同軸/光やUSB入力に対応するDAコンバーターとしても機能し、手持ちのCDプレーヤーも本機を通してアンプにつなぐことができる。デジタル音源とオーディオ機器の間をつなぐブリッジとして、大きな可能性を秘めた存在なのだ。

大型な表示部には視認性に優れ、日本語表示も可能な有機ELディスプレイを装備。3行の表示が可能で、本体のみでもサーバー内のライブラリーのブラウズやインターネットラジオ局の検索が快適に行える。ディスプレイの明るさは4段階で設定でき、オフにすることも可能となっている NA7004にはブラックバージョンも用意され、所有のシステムにより色を選ぶことができるのも嬉しい

付属するBluetoothレシーバー RX101 を接続することによりiPod touchやiPhoneの他、携帯音楽プレーヤー、携帯電話、PC等のBluetooth対応機器からワイヤレスでの音楽再生が可能となる。また、RX101はNA7004の赤外線受光部として使用することができる

PC内の音源を再生する場合、USBケーブルを用いて接続する 本機はハイクオリティなヘッドホンアンプとしての活用もできる



すでに紹介した用途以外にも本機にはいくつかの付加機能がある。たとえば、付属のレシーバー「RX101」をつなぐことで、Bluetoothを介して音楽信号を受信して再生することができる。iPhoneをはじめとする携帯電話をそのまま高音質音楽プレーヤーとして利用できるほか、RX101を赤外線リモコンの受光部として活用することも可能だ。そのほか、圧縮エンコードされた音楽ファイルの再生時に音質を改善する「M-DAX2回路」を積み、3段階の効果を切り替えたり、イーサネット端子を介してファームウェアのアップデートを行うなど、一歩踏み込んだ機能もサポート。ネットワークプレーヤーならではの使いこなしを追求している点に注目したい。



既存のプレーヤーとの最大の違いは、デジタル音源との伝送経路としてLANやUSBなど、パソコンでおなじみのデジタル接続を利用することだ。LANは主にNASの音楽ファイル再生とインターネットラジオに利用し、USB入力はパソコンのストレージに保存した音源の再生や、ベルリンフィルの「デジタルコンサートホール」など、ストリーミング再生に使用するのが基本だ。

特にLAN接続は面倒な設定がほとんどなく、ブロードバンド環境とルーターを用意するだけで利用できる。リッピング機能を内蔵したNASを使えば、再生時だけでなく、リッピング時にもパソコンを使わないシステムを作ることができるので、パソコンの導入に抵抗がある音楽ファンには、ぜひ検討をお薦めしたい。

基本操作は本体フロントパネルのボタンでも行えるが、パソコンやiPhoneなど、有線または無線で同じネットワークにつないだコントローラーを使えば、これまでとは次元の異なる使い勝手が実現する。その快適な操作感を手に入れるためにネットワークオーディオプレーヤーを導入する音楽ファンもいるぐらいだし、iPhoneやiPod touchの操作になじんでいれば、操作方法は直感的にすぐ理解できるはずだ。

PlugPlayerなどUPnPに対応したコントローラーのほか、ウェブブラウザで本機のコントロール画面を呼び出し、アイコンベースで直感的に操作することもできる。ウェブ経由の操作では本機の入力切り替えなどもできるし、特別なソフトが不要で、すぐに使える手軽さも大きなメリットだ。また、アルバム単位や曲単位で選曲したあとは付属のリモコンでも操作でき、CDプレーヤーと同じ感覚で使いこなすことも可能だ。なお、前述のBluetoothレシーバー「RX101」は赤外線受光部としても機能するので、本機を扉付きのラックなどにセッティングしても使い勝手が犠牲になることはない。



システム試聴に組み合わせた機器

■プリメインアンプ:MARANTZ PM7004(¥70,000)
最新型高速アンプモジュールHDAM SA 3テクノロジーを採用したフルディスクリート電流帰還型プリメインアンプ

■スピーカー:B&W CM5 ※キャビネット:ピアノ・ブラック(¥176,000・ペア)
Nautilus チューブ・ローデッド式の25mmアルミドームトゥイーターとミッド/ウーファーユニットには165mmのウォーブンケブラーコーンミッド/ウーファーを搭載した2ウェイバスレフタイプの高品位ブックシェルフスピーカー。スピーカースタンドはB&WのFS700/CMを使用。

■各種ケーブル:スピーカーケーブル、RCAオーディオケーブル、USBケーブル類は全て定評あるケーブルブランドAUDIOQUESTの製品を使用した

■CD/SACDプレーヤー:MARANTZ SA7003(¥63,000)
シーラスロジック社製高性能DAコンバーターCS4398を搭載したSACDプレーヤーのスタンダードモデル*今回は撮影に使用


マランツのPM7004、B&WのCM5と本機を接続し、NASに保存した音源から試聴を始めた。音調は非常にすっきりしていて、一つ一つの音に余分な付帯音が加わらず、クリアでスピード感がある。しかも、味気ないドライな響きとは対極の、とても表情豊かなサウンドだ。音源にもともと含まれる微妙な情報がマスクされることなくダイレクトに出てきたという印象で、奏者のブレスや会場の気配まで、ハッとするほど生々しい瞬間がある。

NA7004の接続を確認する山之内氏。その完成度に、感心しきりであった。フロントパネルには、iPod/iPhoneとのデジタル接続に対応するUSB端子を装備しており、その接続法での試聴も行った

レコード会社のサイトから直接ダウンロードしたマスター音源(FLAC)を再生すると、その生々しさと透明感の高さがいっそう際立つ。女性ボーカルは音像の輪郭が鮮明だが余分な縁取りがなく、声の立ち上がりはフワリと柔らかい。伸びやかな余韻と透明感の高い音場、奥行きの深いサウンドステージなど、ハイレゾリューション音源ならではの深みのある空間表現も本機の聴きどころに数えていいだろう。

ピアノは音のスムーズな立ち上がりに加え、高音部の粒立ちに繊細なタッチがあり、特に弱音部では金属質の硬さが影をひそめる。優れたピアノ録音には木質の温かさが備わることが多いが、本機はその温かい響きを素直に引き出してくれた。

CDとの比較試聴で気付いた本機の資質として、音像のフォーカスの正確さが挙げられる。さらに、特に低音楽器の音が立ち上がる瞬間の素早い速度感と、フワッとした空気の実在感が両立していることにも感心した。この感触はハイエンドクラスのCDプレーヤーでは普通に実感できることが多いが、本機のような普及価格帯の製品ではとても珍しい。機械的駆動部を持たないメディアレス再生のメリットと言っていいだろう。基本的な音調は同社のCDプレーヤーにかなり近いのだが、フォーカスの良さと立ち上がりの自然さでは数歩先を行っている印象だ。そのギャップを埋めることは、CDプレーヤーにとってかなり難度の高い課題になる予感がする。



USB接続で聴くパソコンの音源にも、NASの再生と同様なメリットを聴き取ることができた。ジャズ、クラシックどちらの音源を聴いても余分な強調感がない。拍子抜けするほど抜けがいいのだが、よく聴いてみると、本物はこちらに近いと考えざるを得ない。演奏のスピード感や勢いにつながる情報が豊富で、もたつく印象がないのだ。いままで低音の重さや量感と感じていた音の一部は、どうやらマスターには入っていない成分だった可能性がある。ディスク再生で起こりがちな音の変化や劣化をリセットしてみると、音楽に一歩近付くことができるのだ。



「ネットワークのデジタル音源=圧縮音源=音質劣化」というのがここ数年の常識だったが、いま私たちが手にしている音楽ファイルはそれとは正反対の高音質音源だ。そこにはCDを超えるほどのポテンシャルがあるが、その可能性をフルに引き出すためには、CDプレーヤー以上に緻密な音質対策を投入し、十分な時間をかけて音を追い込む必要がある。

マランツが手がけた初のネットワークオーディオプレーヤーである本機は、そうした正攻法のアプローチが成功を収めた好例だ。快適な使い勝手や利便性の高さはもちろんだが、本機の再生音からはメディアレス再生のメリットをしっかり聴き取ることができる。第一号機とは思えないほど完成度が高いのは、時間をかけて音を追い込んだ成果であろう。

 NA7004はどんなファンに薦められるか?

デジタルストリーム再生はこれまでハイエンド製品が市場を牽引してきたが、CDの高音質リッピングや配信サイトの充実によって、いまやすべての音楽ファンがその恩恵を被ることができるようになった。本機は、そうした環境の変化に合わせてマランツが用意した自信作である。

用途の広さと良好な操作性を実現しつつ、マスター音源を含む高音質音楽ファイルの長所を分かりやすく形にして、シンプルな再生手段ゆえの音の良さを確実に伝える。ネットワークオーディオの経験を積んできたメーカーならではの安定した動作や使い勝手の良さは、音楽ファンが最初に手にするネットワークオーディオプレーヤーとして推薦に値する。音楽再生の新しいスタイルはまだ始まったばかりだが、アップデートに対応した本機は発売後も進化を重ねることが期待でき、安心してお薦めすることができる。



 開発者の声

NA7004はマランツ初のネットワークオーディオプレーヤーです。マランツとしては、CDプレーヤーにUSB入力を採用する等、ノンスピンドルプレーヤーのHiFiとしての可能性についていち早く提案してきましたが、本機はそれらの経験を踏まえてお求め易い価格を実現しながらHiFiコンポーネントとしての音質、操作性を実現した新提案商品です。

ネットワークプレーヤーと称してはいますが、PCオーディオ全般をお楽しみいただける多くの機能を持たせています。主要なオーディオフォーマットを網羅したネットワークプレーヤーとしては勿論、インターネットラジオの対応、PCダイレクト接続のUSB DACを含むDAコンバーターとして、iPodのデジタル接続をはじめとするメモリープレーヤーとして、またヘッドホンアンプとしても高音質を誇ります。

NA7004用に機能を拡張したマランツのiPhone、iPod touch用のコントロールアプリケーション“Wizz App”はApp Storeから無料でダウンロードできます。ネットワークオーディオ機能に限らず、入力切り替えやインターネットラジオの選局など、NA7004のほとんどの操作をWizz Appから行えます。

iTunes10の新機能AirPlayにもアップグレードで対応することができ、お使いのPCやMacのiTunesライブラリをホームネットワーク経由でNA7004へストリーミングすることが可能になります。さらにiOS 4.2をインストールされたiPod touch、iPhoneやiPadの音楽ファイルをWi-Fiネットワーク経由でストリーミングすることもできます。

新しいHiFiオーディオの世界をぜひNA7004でご体験ください。

<(株)マランツコンシューマーマーケティング>


製品についての問い合わせ先
(株)マランツ コンシューマー マーケティング
TEL/03-3719-3481
http://www.marantz.jp/