2011年のアナログ放送停止を前に、急速に地上波デジタル放送への移行が進んでいる。デジタル放送の1つの特徴は高解像度なハイビジョン映像が楽しめることだが、これを喜んでばかりもいられない。ハイビジョン映像はその高解像度ゆえに録画データ量がアナログ放送の数倍になってしまうのだ。

このハイビジョン映像を高画質なまま記録するにはDVDでは容量不足であり、そのため、より大容量なブルーレイディスクが登場した。しかし、ハイビジョン映像を保存するためのソリューションとしては、ブルーレイディスク以外にも有力な選択肢がある。それがマクセルの「iV」だ。

   
320GBの「M-VDRS320G.B」   250GBの「M-VDRS250G.A」   160GBの「M-VDRS160G.B」

iVはコンテンツ保護技術SAFIAの搭載により、ハイビジョンデジタル放送の記録が可能なカセット型ハードディスクだ。2.5インチサイズのHDDを搭載したそのカセットはコンパクトであり、持ち運びに配慮し、耐衝撃性も高めている。

iVの構造図。独自の衝撃緩衝フレームを採用するなど数々の工夫により耐衝撃性を高めている

現在、このiVに対応した代表的な機器として日立のTV「Wooo」がある。Woooは内蔵HDDに加え、iVを使用するためのiVポケットを搭載し、ハイビジョン録画をiVカセットにバックアップすることができる。今春に登場したWoooの新ラインアップでは全機種がiVポケットを搭載している。

ブルーレイのような光学ディスクに対する、ハードディスクの利点はよりデータ転送速度が高速で、かつ大容量なことだ。大容量ゆえにTVドラマの録画をまとめて管理するような場合でも、ブルーレイと比較して録画メディアの数が少なく済み、管理がしやすくなる。またダビングスピードが速く、複数タイトルをまとめてダビングできるため、ダビング作業にかかる手間と時間を節約することができる。

なお、iVにコンテンツをダビングする際は「ムーブ」扱いとなり、他の対応機器や別のiVにコンテンツを自由に移動することができる。iVに記録した録画番組をWoooの内蔵HDDに転送することもできるし、それをさらに他のiVカセットにダビングすることもできる。そして、メディア間の転送もハードディスクゆえに高速なのは前述の通りだ。

このポータビリティは、特定のディスクに記録したら他のディスクへのダビングができないブルーレイなど光学メディアとの大きな違いだ。

そんなiVに今回、320GB /160GBタイプの新製品が登場した。従来は250GBが最大容量だったので、さらなる大容量化が実現したことになる。転送速度は従来モデルの最大665Mbpsに対して最大726Mbpsと一段と高速化された。この転送速度は実にブルーレイ(4倍速)の5倍にあたる。

ハードディスクiVの新製品が大容量化、高速化という正常進化を果たした一方、iVの新しい使い方を提案する新製品、“iVマルチプレーヤー”「VDR-P100」も登場した。従来、iV対応機器はWoooしか存在しなかたため、録画番組はWoooでしか再生できなかった。しかしこのiVマルチプレーヤーを使えば、他のテレビでもiVを再生視聴することができる。

iVの再生だけでなく、ネットワークプレーヤーやPCのストレージとしても使用できるiVマルチプレーヤー「VDR-P100」

その筐体はきわめてコンパクトかつ軽量であるため、他の部屋に持っていくことはもちろん、外出先に携帯することも可能だ。

接続端子として、HDMI、D端子、Sビデオ端子、AVマルチ端子などを搭載しており、ほとんどのテレビに接続できる接続性を持っている。またUSB端子でPCとも接続でき、PCの外部ストレージとしても利用できる。

さらにLAN端子も搭載し、ネットワークプレーヤーとして使うことも可能。Windows Media Player11メディア共有機能やUPnPAV対応メディアサーバーから配信されたコンテンツを再生できるなど、まさにマルチな機能を持つプレーヤーなのだ。