そしてノイズキャンセリングをオン。期待通りの効果である。かすかに残っていたエアコンのゴーという稼働音もほぼ完全にキャンセルされた。それ以外の音も気にならない。
この種の製品の基本として人の声の帯域はキャンセルされないが、ヘッドホン自体の遮音性によってそこもかなり抑えられている。人の声と同じ帯域にも騒音はあるわけで、ここも重要だ。「ヘッドホン素体の遮音性が土台にあってこそのノイズキャンセル」というのは、そういうことでもある。総合的に見て、非常に高いノイズキャンセリング能力を持つと言ってよいだろう。
しかし音質がイマイチではお話にならないわけだが、その点も問題ない。
ノイズキャンセリングのオフの状態ではベースがやや飽和気味で若干聴きづらかったが、ノイズキャンセリングをオンにすると一変。低域の抑制が効き、ベースラインは適度な肉厚となった。低域に限らず全体に贅肉がほどよく落とされ、整理される印象だ。解像感も十分だが高解像度と言うほどではなく、太めの力強いタッチでの描写だ。音楽を細部まで聴き込むというよりは、その全体像を感じ、楽しむのに適している。
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秋葉原の喧噪の中でも十分なノイズキャンセリング効果を実現できた |
最後に、試聴室を出てビル前の大通りでノイズキャンセリングの最終テスト。細かなことは言うまい。当日は交通量が非常に多く、しかもすぐ側でビルの建設工事が行われていたが、そのような状況でも見事な効果を発揮した。そう言えばその威力は伝わるはずだ。
Vraisonも含めてだが、オーディオ分野に新たに参入するマクセルが、若年層にとってオーディオの入り口となっているDAPに向けた製品で勝負してきた。そしてそれが高いクオリティを見せてくれた。これはオーディオ界全体にとっても明るい話題なのではないだろうか。今後の製品展開にも期待したい。