TEXT. Phile-web編集部


■設立から1年半で急成長したCAVジャパン

1993年に中国広東省の広州で設立されて以来、わずか約15年のキャリアながら、オーディオのトップメーカーとして確固たる地位を確立したCAV。この「CAV」ブランドの商品を日本市場で販売しているのがCAVジャパンだ。設立は2006年10月30日なので、まだ若い企業であるCAVジャパンだが、2008年3月期の売り上げは17億円を見込み、その翌期には50億円の売り上げを目標とするなど、急成長を遂げている企業だ。

CAVジャパンは、単に中国本社の製品を輸入し、販売する会社ではない。同社の事業は、3つの柱で構成されている。1つ目は『ハイファイオーディオ』、2つ目は『OEMビジネス』。そして3つ目は『ビルトインビジネス』で、住宅産業と組み、家庭にスピーカーを埋め込んだり、プロジェクター昇降機やスクリーンを取り付けたりというビジネスを行っている。

■日本独自のピュアオーディオ製品を続々と市場投入

国内で発売を開始した真空管プリメインアンプ「T-88」

今回の記事でご紹介するスピーカー2機種4モデルは、1つめの柱の『ハイファイオーディオ』にあたるわけだが、注目したいのは、これらのスピーカーが本社ではなく、CAVジャパンで企画されたものであるということだ。製品の仕様や音質は、日本国内のユーザーの要求にかなうよう、綿密にチューニングが施されている。CAVジャパンは、本国から独立したメーカーとしての機能を持っており、これが通常の販売代理会社とは異なるゆえんであり、大きな特徴と言える。

CAVジャパンは今後、日本企画のオーディオ機器を続々と投入する計画で、真空管プリメインアンプ「T-88」もいよいよ発売を開始した。同社代表取締役社長の法月利彦氏(プロフィールは下段参照)は現在のオーディオ市場を見据え、「弊社の強みを活かしながら、PCやDAPでも楽しめるような新規商品開発も展開していきたい」と言及しており、製品ラインナップの拡充が期待される。さらに法月社長は、事業拡大のために海外進出も検討しているとも述べている。同社の事業は今後、日本国外へ羽ばたく可能性も秘めている。

■今後は「ビルトインビジネス」にも本格参入、海外展開も視野に

3つ目の柱である『ビルトインビジネス』も注目に値する。現在、国内におけるホームシアターシステムは、機器を壁に埋め込んだり、収納家具も合わせて導入する「設備型」の導入が増えている。また、ネットワークインフラが調うにつれ、家庭内音楽配信も普及の兆しを見せている。

CAVはスピーカーの仕上げのクオリティを見てもわかるように、非常に高度な木工技術、塗装技術を持っており、さらにオーディオ/AV機器の開発で培ったエレクトロニクス技術をベースに持っている。これらの技術力を活用し、日本の家庭事情に合わせたビルトインシステムを作り上げることで、CAVのオーディオ機器と組み合わせたトータルソリューションの提供が可能になる。これもまた、大きな可能性を秘めたビジネスと言えるだろう。

製品ラインナップの拡充、海外展開、そしてビルトインビジネスという新領域への本格参入など、今後の事業拡大に向けて着々と手を打つCAVジャパン。同社の日本市場や世界市場における一層の飛躍、活躍に向けた一挙手一投足が注目される。

(Phile-web編集部)

CAVジャパン株式会社 代表取締役社長
法月利彦

1995年にパイオニア株式会社国内営業部長に就任以来、2001年インダストリアルソリューションズ&エンタテインメントカンパニーバイスプレジデント、2003年パイオニアグループの中国本拠点である先鋒電子(China)のプレジデントを歴任。中国赴任時に、中国オーディオメーカーのトップシェア・ブランドであるCAVと出会い、オーディオ業界に新風を起こすべく、CAVジャパン株式会社を2006年10月に発起。