音質は高純度で帯域が広く、中低域、低域に濃密で肉厚なボリュームをそなえた、クオリティが高くすっきりと明瞭に描く音が特徴になっている。透明でコントラストのある陰影、輪郭を明確に表現、くっきりと切れの良い立ち上がり、Dレンジも大きく中低域の響きが厚い性質も特色になる。レスポンスに優れ、極めて混濁が少なく、純粋、低歪であるのはVLSCの技術が作用しているのではないだろうか。

現代的に洗練された、高解像度を基調にしたクオリティの高い音質。この価格のCDプレーヤーとして抜群といえるだろう。バロック音楽の表情も繊細で美しい。倍音スペクトラムを伸ばし澄み切った高域特性は素晴らしい。間接音成分から得られる臨場感が再現されて、情景を豊かに表現するのは、特にクラシック音楽のファンには魅力になるホールの感触である。

ジャズではトロンボーンの肉厚な響き、弾力感のあるベースのリズム、躍動力を表現するエネルギーがある。オペラに含まれる声楽の発声も澄んで豊かなニュアンスで質感のクオリティは高い。10万円以上の音質である。低域、中低域は特に強力な引き締まりではなく、全体の表現力も解像度主体の単にきれいな音ではないところがいい。質感にボリュームのある濃密さを出して厚いのがポイントになる。弦楽器のアンサンブルも深みがあり重心を低く表現する質感と安定したバランスが充実した演奏を引き出す。また、強烈でダイナミックな太鼓「鼓童」の重低音の迫力も見事に伝わってくる。

前面にヘッドホン端子を備える

ヘッドホン出力も透明で解像度の高いきれいな音質で整って魅力である。プリメインアンプ「A-977」で聴けるようなエネルギーのリニアリティーはもうひとつになるが、小、中音量ではS/Nが高くレスポンスに優れ、分解力の高い音質で高音も繊細にスペクトラムを表現して精度の高い音が得られる。澄み切ったボーカル、低域の分解力も厚く十分な気迫を伝えてくれる。ヘッドホンファンもこのクオリティであれば納得できるだろう。

付属電源ケーブルはKAWASAKIの2スケア導体2Pプラグが採用されているが、いろいろ検討すると、高域特性、S/Nという点でもうひとつになり、最高ではない。試聴ではサエクの「PL-3000D」を採用することにした。この価格帯の電源ケーブルを投資する価値は十分にあるプレーヤーである。高域が冴えてレンジが広がり、高S/N、解像度が高く得られるようになる。

「ひとときの音楽〜バロックの美しい歌/波多野睦美」エイベックス AVCL-25043
「ショパン夜想曲集(第1-19/マウリツィオ・ポリーニ」グラモフォン UCCG9647/8
「アルティメイト・マンシーニ」ビクター VICP62611
「モナ・リザ/神田めぐみ(トロンボーン)」ビクター VICC60408
「theB/XUXU」3361BLACK TKCK-3037
「プリズム・リズム/鼓童」ソニー SICL10003