【特別企画】完成度を高めた普及帯シリーズ

VGP批評家大賞を受賞! KEFのスピーカーシステム「Qシリーズ」を徹底分析

山之内正

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2017年07月28日
KEFのスタンダードモデルとして多くのユーザーに愛用されてきた「Qシリーズ」が、2017年5月にモデルチェンジを実施。新たに登場した新「Qシリーズ」はさらに進化した音質、そして圧倒的なコストパフォーマンスから高い評価を得て、「VGP 2017 SUMMER」においては批評家大賞を受賞した。本記事ではVGPの審査員を務める山之内正氏が、Qシリーズのサウンドについて改めて分析していく。


英国を代表するスピーカーブランド KEFのスタンダードモデルが全面刷新

KEFは英国を代表するスピーカー専業ブランドの一つで、超弩級のフラグシップから手頃なワイヤレススピーカーまで、幅広いラインナップを誇る。その膨大な製品群のなかでハイファイ向けスピーカーの入口に相当するのが、最近リニューアルされたばかりのこのQシリーズだ。普及クラスとは言っても同社の基幹技術である同軸ドライバーユニット「Uni-Q」を全モデルに採用するなど、基本的な設計思想は上位機種と共通する本格派。センタースピーカーを含む6モデルを揃えているのでサラウンドシステムへの発展も視野に入り、用途の広さはKEFのスピーカー群のなかでも群を抜く。

新しいQシリーズは、2017年6月に開催された「VGP2017 SUMMER」において、批評家大賞のオーディオ部門で最高得点を獲得した。普及価格帯のスピーカーが同賞の対象になるのは珍しいのだが、今回の受賞には明確な理由がある。シリーズを構成する各製品いずれも絶対的なクオリティが高いことに加え、良好なハンドリングを実現。さらにブックシェルフ型とフロア型それぞれサイズの異なる製品を用意するバリエーションの広さも注目に値する。センタースピーカーと近日中に発売予定のサブウーファーを導入すれば完成度の高いサラウンドシステムを構築できる点も高く評価された。

トゥイーターとミッドレンジを同軸上に配置した、KEF独自のUni-Qドライバーを搭載する

シリーズ第8世代目となる今回のQシリーズは、ユニットからキャビネットまで数多くの改良を行って、これまでになく規模の大きなリニューアルとなった。Uni-Qドライバーはトゥイーター背面に独自構造のトゥイーターローディングチューブを新設し、高域の歪みなど音響特性を大幅に低減。トゥイーター前面のタンジェリンウェーブガイドが実現する優れた指向特性とあいまって、これまで以上に抜けの良い澄んだ高音を再生する。

フロア型モデルに搭載されるウーファーユニットはエッジとダンパーの改良によって大振幅時にもスムーズな動きを実現し、低音の質感を高める工夫を凝らしている。同口径のパッシブラジエーターを組み合わせることによって、量感豊かな低音再生を狙っていることにも注目したい。

ブックシェルフ型モデルはバスレフポートの位置をキャビネット背面に変更してUni-Qドライバを中央に配置。これは50周年記念モデルとして登場してベストセラーとなった「LS50」でも成果を上げた技術で、定在波の発生を抑える効果が大きく、低音から中低音の質感向上につながる。

Q350は背面にポートが配されている

フロア型モデルではUni-Qドライバー用にチャンバーを独立させており、ウーファーユニットからの影響で中高域の音質が劣化するのを防ぐ効果が大きい。キャビネットの構造はシンプルだが、設計手法は基本を確実に押さえており、KEFらしいこだわりがうかがえる。堅固なベース構造とスパイクの組み合わせもこの価格帯のスピーカーとしては異例と言っていいだろう。

トールボーイ型モデルでは、Uni-Qドライバー収容部分を密閉構造とすることでUni-Qのミッドレンジの負荷を軽減。明瞭度とディテール再現を向上させた

Qシリーズのプライスタグは紛れもなくエントリークラスと呼ぶにふさわしいもので、最上位モデルのQ950でさえペアで20万円を切る手頃な価格設定だが、贅沢なユニット構成や落ち着いた佇まいを見る限り、価格以上の価値が伝わってくる。

今回はラインナップの中からブックシェルフ型の「Q350」とフロア型の「Q750」の2機種に焦点を合わせて、実際にそのサウンドを探ってみることにしよう。

Q350を聴く ー 反応の早さと豊かな低域再現を両立。音色の再現力も高い

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