これからスピーカー再生をはじめたい方に

【レビュー】ケンウッド “CDより小さい” ハイレゾコンポ「KA-NA7」を聴く

山本敦
2017年04月06日
ノートPCやスマホで音楽を楽しむスタイルだけで物足りなく感じているという音楽ファンの声をよく聞くようになってきた。本当はデスクトップやリビングにちょっとした空きスペースがあるのでオーディオシステムを置きたいが、一体型オーディオのサイズは持て余すし、最近はCDを買うことも少なくなったという方にピタリとはまるコンパクトなコンポーネントがある。ケンウッドの「KA-NA7」だ。

「KA-NA7」と「LS-NA7」とを組み合わせたところ

ケンウッドは本格派のオーディオコンポーネント「Kseries」を大切に育ててきた。元は90年代に人気を集めた「K'sシリーズ」に始まり、コンパクトなコンポーネントオーディオの最先端をケンウッドが引っ張り続けてきたわけだが、今回は横幅が11cm、奥行が16cmという片手で軽々と持てるぐらいサイズの小さなハイレゾ再生に対応するUSB-DAC内蔵プリメインアンプを発売したと聞けば、心ときめくファンも多いはず。

音楽再生はハイレゾを最もシンプルに楽しむため、シンプルに使いこなせるよう機能が作り込まれている印象だ。開発者が「CDケースよりも小さなサイズ」を目指したという本体にはCDドライブは搭載せず、ハイレゾ再生も対応する音源は192kHz/24bitまでのWAV/FLACと、シンプルに割り切った。Wi-Fiや有線LANによるネットワーク再生もあえて設けず、USBオーディオ入力、およびBluetooth系のワイヤレス再生にソースを絞り込んだ仕様にも注目だ。

USBメモリからの再生にももちろん対応する

USB端子は本体のフロント・リアの両側に配置されていて、それぞれにハイレゾ対応のスペックは同じだが、フロント側がUSB-A端子、リア側がmicroUSB端子になる。角型の光デジタル入力やアナログのステレオミニ入力も備えているが、こちらは主にテレビなど外部機器からの音声入力に対応するためのものだ。

音声信号はデジタルアンプで増幅し、スピーカー出力までフルデジタル処理で伝送する。電源部にはオーディオグレードの高音質電解コンデンサーを使い、自然で伸びやかな高音再生を可能にした。ヘッドホンとスピーカー、各出力までの信号経路を別々に分けているので互いに信号の干渉が発生しないことも強みとしている。

設置イメージ

スマホで軽快に音楽再生が楽しめるように、Bluetoothによるワイヤレス再生もサポートしている。NFCによるワンタッチペアリングもあると便利な機能だ。ヘッドホン出力もハイレゾに対応しているので、デスクトップで楽しむヘッドホンリスニングもいい音が期待できる。

ヘッドホン出力もハイレゾに対応する

本体に付属するリモコンのほか、フロントパネルのボタンからもソース選択、再生・一時停止と基本的な操作ができる。フロントパネルには簡易なディスプレイも搭載した。

KA-NA7は単品販売のアンプなので、組み合わせるスピーカーはユーザーが自由に選べるわけだが、ケンウッドからはベストマッチするスピーカー「LS-NA7」も発売されている。どちらの製品も価格はオープンになるが、合わせて購入する場合は、だいたい6万円ぐらいの予算を見込んでおけばいいと思う。

スピーカー「LS-NA7」は密閉型のバスレフ構造を採用したコンパクトなブックシェルフスピーカーだ。8cm口径のウーファーに、19mmのドームトゥイーターによる2ウェイ構成。再生周波数帯域は60Hz〜40kHzをカバーするハイレゾ対応だ。キャビネットの中に、音の響きを調節するためにパーチクルボードを配置して、いっそう深みのある低域や透明な中高域が再現できるところを特徴としている。

外装には剛性の高いMDF補強材を使い、サイズを超えた音が鳴らせる。スピーカー端子はバナナプラグにも対応する本格仕様だ。今回はKA-NA7とLS-NA7を組んだシステムを試聴してみることにしよう。

ボーカルは引き締まった声の凛とした表情が印象的だ。少し線は細めだが、解像感が高く切れ味が抜群。特にハイトーンが伸びやかでみずみずしく、余韻成分の豊かさも特筆したくなるポイントだ。ピアノやウッドベースなどアコースティック楽器の音色もたっぷり味わえる。中高域のディテールが細かく再現されるので、とてもリアルな存在感が伝わってくる。

ジャズのピアノトリオでは各楽器の音色が鮮明に現れた。ピアノのメロディは細部のニュアンスが繊細に引き立ち、ボリュームを上げてもバランスが安定したまま保たれる。

クラシックのギター協奏曲では主旋律を奏でるギターの音が鮮やかに突き抜ける。きらりと輝く弱音の粒立ちもい。オーボエの高域に甘い艶っぽさを感じる。音場もワイドに広げてくれた。全体にフォーカスがあたるような解像度の高さにハイレゾ再生の魅力が実感できる。

コンパクトなアンプやスピーカーの下にオーディオボードやインシュレーターなどを敷いて、アクセサリーを使った調音で追い込めば、持ち前の解像感を保ったまま中低域の安定感もいっそう高められるだろう。

本体は430gと非常に軽いため設置性にも優れる。お気に入りのスピーカーと組み合わせてデスクトップオーディオに活用するだけでなく、テレビを迫力あふれるサウンドとともに楽しむためのオーディオとしても使い勝手がよい。これからスピーカー再生をはじめたい方におすすめしたくなる入門機だ。