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【特別企画】進化のポイントを探る

もはやポータブルの領域を超えた? CHORD「Hugo 2」のサウンドを初代と比較試聴

2017/04/21 山本 敦
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ハイエンドオーディオの技術をバックボーンに、独自のコンセプトで高品位なポータブル製品を送り出すCHORD。その象徴的な製品であるポータブルDAC「Hugo」が、第二世代機となる「Hugo 2」へと進化した。最新機の仕様と音質をくわしく探っていこう。

CHORD「Hugo 2」(価格は現時点で未定。発売日も未定だが、5月を予定している)

高品位なポータブル製品を送り出すCHORDから最新モデルが登場

英国のCHORD ELECTRONICSから最新のヘッドホンアンプ「Hugo 2」が登場した。前機種「Hugo」と比べてどこが変わったのか。その実力をうまく引き出すテクニックなども含めて、検証してみよう。

CHORDは独自のスイッチング電源技術、そしてカスタムメイドのアルゴリズムを組み込んだオリジナルDACを特徴とするハイエンド・オーディオブランドとしてスタートした。2009年には、デスクトップサイズのChordetteシリーズを発表。USB-DACやBluetoothの革新を意欲的に採り入れるなど、トレンドにも柔軟に対応しながら発展を遂げてきた。

そのCHORDが2014年3月に発売した初のポータブル製品が「Hugo」だ。DAC部の設計を担当したのは、もちろん、1998年に発売された最初のD/Aコンバーター「DAC64」から同社製品の開発に関わってきたロバート・ワッツ氏。自由な書き換えができるICチップ「FPGA」に、膨大な処理を実行する独自アルゴリズムを書き込むことをベースとした独自のD/A変換をポータブル機で実現したこと、そして何より「Hugoにしかだせない音」が大きな評判を呼んだ。

「Hugo」(左)と新モデル「Hugo 2」(右)

ワッツ氏の唱える理論は高度かつ難解なものだが、つまりは既成のDACチップには頼らず、聴覚心理なども踏まえた独自アルゴリズムで膨大な処理を伴うD/A変換を実現させているということだ。ここに、CEOのジョン・フランクス氏が得意とするスイッチング電源やアナログオーディオ回路設計がノウハウを組み合わされている。

初代HugoはDACとしての音の良さから、ヘッドホンだけでなく、据え置きオーディオに組み込んで使われるケースも多かった。しかしHugoはポータブルユースを想定して開発された製品だったため、背面コネクターの配置間隔が狭かったりと若干使いづらい部分もあった。

そのため、据え置き用途を前提にしてXLRバランス出力も搭載した「Hugo TT」が2015年に発売。続く2016年の春には、D/Aコンバーターの新しいフラグシップモデル「DAVE」が誕生した。

据え置き用を想定した大判モデル「Hugo TT」

D/Aコンバーターのフラグシップモデルである「DAVE」

DAVEでは究極のD/A変換を実現するため、Hugoの約10倍ものパフォーマンスを持つFPGAが搭載された(ちなみにHugoはポータブル機ながら、当時の旗艦DACを大きく超える処理能力を備えていた)。D/A変換のプログラム設計はもちろんワッツ氏によるもの。高精度なノイズシェイバー回路も備え、デジタルオーディオの領域を超える自然なリアリティを備える音楽再生は、ハイエンドオーディオファンの間でも話題になった。

DAVEの少し前に登場したポケットサイズのDAC内蔵ポタアン「Mojo」についても触れておこう。本機はポータブル再生に最高の音質を提供できるリファレンスとして、2015年秋の発売以来ロングセールスを続けている。

ポケットサイズのDAC内蔵ポタアン「Mojo」

このようにCHORDが究極の音楽再生を追い求めて、先進の英知によって踏み固めてきた大地の上に、また新しい歴史を打ち立てるべくして生まれたニューモデルが「Hugo 2」なのだ。

新機種のHugo 2は、初代Hugoと比べてどこがちがうのか。スペックの詳細は(Phile-webニュース)を、技術面については先行して掲載された(開発者インタビュー)を参照にしていただくとして、本稿ではより実践的なハンドリングによりそれぞれの違いを浮き彫りにしてみようと思う。

次ページまずは「Hugo 2」と「Hugo」の仕様面の違いをおさらい

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