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USB-DACの能力もチェック

ヘッドホンアンプ刷新で駆動力を大幅強化。最新DDFA搭載のデノン「DA-310USB」レビュー

2016/11/29 高橋 敦
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DDFAによるフルデジタルヘッドホンアンプをデスクトップサイズで実現したDA-310USB。デノン初の単体USB-DACとして人気を集めたDA-300USBの後継としても注目を集める本機を、高橋敦がチェックした。

デノン「DA-310USB」¥68,000円(税抜)12月中旬

デノンのUSB-DAC/ヘッドホンアンプが大幅進化

昨今、ポータブルヘッドホンアンプの選択肢は無数にあると言えるほど豊富だ。しかし、デスクトップでも使いやすそうなサイズで、価格も手頃な据え置きヘッドホンアンプというと意外に選択肢がない。「小型機がほしければポタアンを」ということかもしれないが、「いや、持ち歩かないから据え置きで音質に力を振ってほしい。とはいえ大きすぎると置けないけど」というようなニーズもあるはずだ。

DA-310USB(左)と、前モデルDA-300USB(右)。デザインが刷新され、強力なヘッドホンアンプの搭載に合わせて筐体サイズは一回り大きくなった

2014年発売のUSB-DAC/ヘッドホンアンプ「DA-300USB」(関連ニュース)は、機能やサイズの面ではそのニーズに応えるものだった。本機の置き場所と予算を確保すれば、デスクトップに上質なヘッドホンリスニングシステムを整えることができたのだ。

だがDA-300USBの企画意図としてはDAC側が主体であり、そこに「十分なクオリティのヘッドホンアンプも搭載」したというバランスだったらしい。しかしそれが、USB-DACとしてはもちろん、ヘッドホンアンプとしても注目された。

パソコンと組み合わせて使用したイメージ。デスクトップに馴染むサイズで、縦置きすればさらに設置面積は小さくなる

結果、企画・開発陣が想定しなかったような駆動力を要求するハイエンドヘッドホンとの組み合わせで利用されるケースも少なからず生まれ、ハイインピーダンスヘッドホンとの組み合わせなどにおいて力不足を指摘されることもあったという。

先進デジタルアンプ「DDFA」によるヘッドホンアンプを搭載

それならばと全体を強化すると同時に、特にヘッドホンアンプ部を大幅に強化したのが「DA-310USB」だ。そして最大の強化ポイントであるこのヘッドホンアンプに、最新世代「DDFA」によるフルデジタルプロセッシング・ヘッドホンアンプを投入してきた。

「DDFA」はクアルコム社が提供するデジタルアンプ・デバイスだ。デジタル処理領域でのフィードバック制御によって特にダンピングファクター、制動力に強みを持つ。またフィードバックシステム内でDCオフセットをキャンセリングできるため、一般的なアンプでその除去に必要なカップリングコンデンサーは不要。それによる音の変化を受けない。そしてフルデジタル処理を行うことも特徴で、入力から最終出力直前まで、デジタル信号を変換することなく処理して増幅できる。

DDFAを中心に構成されたヘッドホンアンプ部

デノンはDDFAを2015年頭発売の小型プリメインアンプ「PMA-50」でいち早く採用。本機はコンパクトなデジタル入力対応プリメインアンプとして高い評価を得た。そして2016年初頭には、ネットワークプレーヤー/USB-DAC「DNP-2500NE」において、DDFAによるフルデジタルプロセッシング・ヘッドホンアンプを初採用した。

今回の「DA-310USB」への採用も、その流れを受けてのものだが、大きな違いはそのDDFAが最新世代のものになったことだ。

DA-310USBの筐体内部

これまでのDDFAは複数チップで構成されていたが、新世代ではワンチップ化を実現。おかげでデスクトップサイズへの搭載も可能となった。また本機はオーディオ的な理由から「パーツや回路をどこにどう並べて配置するか」ということにもこだわっている。ワンチップDDFAの配置の自由度の高さは、全体の、より理想的な配置の実現にも貢献していることだろう。

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