デノン「DA-300USB」のヘッドホンアンプを検証、人気ヘッドホン6機種と組み合わせテスト

■人気ヘッドホン6モデルを組み合わせてヘッドホンアンプの性能を検証

＜MODEL1＞
DENON　AH-D600　￥OPEN（予想実売価格50,000円前後）

それではここからは6機種の人気ヘッドホンを用意し、それぞれのサウンドを確認してみよう。まずは同じデノンということで、MUSIC MANIACシリーズの中核モデル「AH-D600」を組み合わせてみた。ブランド純正組み合わせということもあり、レンジ感も見事。バランス、相性ともに良く、理想的な解像感を味わえるサウンドだ。音像の明確なアタック感とともに低域のしなやかな制動感、音抜け良く鮮やかな空間を描き出している。

ボーカルは張り艶の良い輪郭を浮き上がらせ、倍音成分をほんのりと際立たせる。192kHz/24bitハイレゾ音源は弦楽器のハーモニーを滑らかかつウェットにまとめ、ホールトーンも上品に演出。やや硬質なタッチであるが、その分音場はクリアに透き通る。DSD音源においては肉付き良いボーカルや弦楽器のボディが艶良く描かれ、密度も高くなる。リリースはふわりと浮き上がってDSDらしい音抜けの良さも味わえた。

＜MODEL2＞
DENON　AH-D7100　￥OPEN（予想実売価格120,000円前後）

続いてもブランド純正組み合わせではあるが、今度はMUSIC MANIACのフラッグシップモデル「AH-D7100」とのマッチングを確かめた。全体的にカリッとしたエッジの引き締めと倍音の華やかさが印象的で、オーケストラの分解能も非常に高い。余韻の消え際の階調も細かい。ハーモニクスが爽やかに浮かび上がり、楽器の質感は一際滑らかだ。ボーカルの輪郭もよりくっきりと際立ち、余韻のキレも鮮やかでクール&ウェットな佇まいである。

解像感、S/Nも高く、デノンのプレーヤーでも感じられるリリースのゴージャスな煌びやかさ、高揚する躍動感を耳元の空間で表現しているかのよう。192kHz/24bitハイレゾ音源では弦楽器の旋律が流麗に奏でられ、余韻の響きも瑞々しくクリアに引き立ててくれる。低域の制動力も高く、音像の分離感も良い。DSD音源においては解像度を重視したソリッドな描写が主体となっているが音像はアタック感の鋭いクリアなタッチでまとめられ、リリースの余韻は清々しく感じられる。

＜MODEL3＞
SHURE　SRH1540　￥OPEN（予想実売価格49,800円前後）

3機種目には、シュアの最新・密閉型モデル「SRH1540」を組み合わせてみた。比較的ニュートラルな特性を持たせながら低域の豊かさも追求した「SRH1540」の絶妙なバランス感覚に寄り添うようなサウンド傾向だ。音像は肉厚に表現し、輪郭は艶良く鮮明に描写。低域にかけゆったりと余裕を持たせた伸び良い音色で、オーケストラもリッチに響く。

192kHz/24bit音源においても、解像度を保ちながらもウォームでまろやかな密度感を持たせており、耳当たり良いサウンドだ。ストリングスは高域にかけて煌びやかに際立つ。ボーカルも艶良く滑らかでボトムをふっくらと描く。DSD音源でも流麗かつ肉厚な音像表現が中心となり、ウォームかつウェットな艶に満ちた空間が広がる。ギターの振幅も深く、クリーントーンの浮き上がりもリッチに感じられた。

＜MODEL4＞
SONY　MDR-1RMK2　￥OPEN（予想実売価格25,800円前後）

次は密閉型の定番モデルとして、ソニー「MDR-1RMK2」を組み合わせてみた。価格もこなれており、比較的鳴らしやすいヘッドホンのひとつであろう。「SRH1540」よりもさらに中低域の密度感、厚みを持たせたサウンド傾向となり、安定感が高く落ち着きのある音色を楽しめる。ボーカルをはじめとした音像は肉付き良く自然な際立ちとなり、管弦楽器の音伸びもナチュラルだ。ディティール表現には多少倍音が加わり艶っぽさも感じられる。

192kHz/24bit音源ではストリングスの粒の細かさとしなやかなハーモニーが耳当たり良く、ローエンドのふっくらとした響きが穏やかな空間を形成。音像も適度に引き締まりハイレゾらしい解像感も得られるが、比較的穏やかな傾向には変わりない。DSD音源では音像のリッチさに磨きがかかり、有機的で弾力豊かな中低域の張り出しを味わえる。

ここまで同社製、他社製の密閉型モデル4機種をDA-300USBに組み合わせた。それではゼンハイザー「HD800」やベイヤーダイナミック「T1」のようなハイインピーダンスモデルについては、鳴らし切ることはできるのだろうか。