【山之内 正の独HIGH ENDショーレポート】エソテリックがSACDセパレート「P-05/D-05」など発表

公開日 2007/05/21 10:50
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HIGH END 2007の会場風景。会場規模を拡大して5月17日から20日まで開催された
ドイツのミュンヘンで毎年5月に開催されるHIGH ENDショーは、いまやドイツや西ヨーロッパだけでなく、欧州全体、そして北米やアジアの重要ブランドが集結するハイエンドオーディオの一大イベントに成長した。

ミュンヘンが位置する南ドイツはギリシャやイタリアからも交通の便がよく、プラハやウィーンを経由すれば東欧からもアクセスしやすいため、オーディオ熱が急速に高まっている同地域からも、熱心なオーディオファンやディストリビューターが数多く集まってくる。会場規模をさらに拡大して開催されている今回のHIGH ENDショーは、高級オーディオとAVに特化したトレードショーとしての役割も年々高まっている印象を受けた。

見本市としての評価が高まっていることは、新製品デビューの機会が増えている事実からもうかがうことができる。今回はB&W、エソテリック、KEF、デノン、パイオニアなどが強力な新製品を披露し、来場者の注目を集めた。そのなかから日本のオーディオ&AV市場にも導入される製品を中心に、話題作をいくつか紹介することにしよう。第1回はエソテリックを取り上げる。

今年ブランド設立20周年を迎えるエソテリックは、今春発売したばかりのスピーカーMG-10、MG-20に続き、新製品を相次いで投入することを明らかにした。同社のハイエンドコンポーネント群の基盤となるCD/SACDセパレートプレーヤーシステムP-05/D-05と、ユニークなコンセプトのステレオパワーアンプAT-100が今回の主役だ。前者はペアで約120万円(予価)、後者は約150万円(同)という価格帯で導入される見込みなので、エソテリックブランドの中核をなすモデルとして位置付けることができる。

P-05には、薄型の新世代VRDSメカニズム「VRDS-NEO」を搭載している。新設計の軽量ターンテーブルとVOSPピックアップの採用により、従来に比べて大幅にサイズを小型化し、同時に動作音の低減も実現。天板に設けられた窓からディスク+ターンテーブルが回転する様子が見えるように工夫したことも目新しい。D-05は最新の32ビットD/Aコンバーターを搭載したデュアルモノ構成を採用。PCM信号をDSD信号に変換するアップコンバージョン機能や、i.LINK端子ももちろん搭載している。

エソテリックのVRDS NEOメカニズム

VRDS NEOメカニズムを積むCD/SACDトランスポートP-05の試作機

D/AコンバーターD-05の試作機

ステレオパワーアンプAT-100は、出力段にプッシュプル動作のKT-88を採用した管球式アンプである。同ブランドとして初の試みだが、最新テクノロジーをふんだんに盛り込むことによって、既存の管球式パワーアンプとは一線を画す内容に仕上げている点がエソテリックらしい。可変セルフバイアス(VBS)回路、Zero Voltage control System(ZVS)など、安定動作と真空管の寿命改善に寄与する新技術を盛り込んでいるほか、巻き線に特殊加工を施した銅箔を採用した専用設計の出力トランスを積んでいることも要注目。

基本設計はパワーアンプだが、4系統の入力端子とボリューム機構もそなえており、プレーヤーとのダイレクト接続にも対応する。ボリュームはリアパネル直近に配置し、シャフトを介してフロントパネルのノブに接続されている。会場ではローエンドまで深々と伸びるスケールの大きな再生音を体験することができた。MG-20との組み合わせでは柔らかい質感のボーカルが特に美しく、完成が楽しみである。プレーヤーシステムとともに日本では8月前後に導入される見込みだという。

管球式ステレオパワーアンプAT-100

AT-100のフロントパネルには入力セレクターとボリュームを搭載。いずれも付属リモコンでも操作可能

(山之内 正)

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