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公開日 2020/12/03 15:54

クアルコムが「Snapdragon 888」を発表。2021年のスマホはこう変わる!

ゲーム体験も強化
山本 敦
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米クアルコムがモバイル向けの最新フラグシップSoC「Snapdragon 888 5G Mobile Platform」を、今年はオンライン開催となったイベントで発表した。イベントの2日目に公開されたSnapdragon 888の詳細を、オーディオビジュアルに関連するものを中心にピックアップして紹介していこう。

モバイル向けの5G対応最新フラグシップSoC「Snapdragon 888 5G Mobile Platform」を発表

2021年に向けたSnapdragonの展開をクリスチアーノ・アモン社長が語った

5Gモデムを統合。次世代高速通信技術に全方位で対応

Snapdragon 888シリーズは先端5nmプロセスルールにより製造される、高いパフォーマンスと電力効率を併せ持つSoCだ。5G通信に対応するクアルコムのSnapdragon X60 5Gモデム・RFシステムと5Gアンテナモジュールを、フラグシップSoCである8シリーズとして初めて、ひとつのSoCに統合。5Gのミリ波とSub-6の周波数をキャリアアグリゲーションにより束ね、通信をさらに高速化する技術や、1台の端末で複数の5G SIMによる通信を可能とするグローバル5GマルチSIMをサポートする。

5nmプロセスルールにより製造されるSnapdragon 888のチップ

異なる5Gの周波数、方式を束ねたキャリアアグリゲーション技術をサポートする

無線通信については動画・音楽のWi-Fi接続における大容量・低遅延伝送の品質をさらに向上する技術が盛り込まれた。また、昨年から普及が進むWi-Fi 6/11axにも対応。セルラー以外の無線通信機能をサブシステム化した「Qualcomm FastConnect 6900」により、モバイルWi-Fiで最速となる最大3.6Gbpsの通信速度に到達できる。Wi-Fi 6の拡張規格として6GHz帯を使うWi-Fi 6Eもカバーした。またBluetooth 5.2もサポートする。

Snapdragon 888により5G SIMデュアルSIM対応なども可能になる

11.ax/Wi-Fi 6対応による高速通信もパワーアップした

Snapdragon 888を搭載するデバイスは2021年の第1四半期(1-3月)ごろから順次フラグシップクラスのスマホなどに搭載され、コンシューマーの手に渡ることになりそうだ。既にシャオミやOPPOなどの中国の端末メーカーが2021年の早い段階で製品を発売する計画を明らかにしているほか、日本の端末メーカーでもソニー、シャープがSnapdragon 888を採用した5Gスマホの開発に意欲を示している。

2021年には多くのスマホを手がけるブランドからSnapdragon 888を搭載する端末が発売されることになりそうだ

ソニーモバイルコミュニケーションズの岸田社長もオンラインイベントにビデオメッセージを寄せて、Snapdaragonを搭載するXperiaシリーズの開発をさらに強力に押し進めていくことを宣言した

スマホのカメラに強力なAI画像処理の技術が活かせる

クアルコムはSnapdragon 888の高い性能を活かした画像処理能力を特徴として打ち出している。画像信号処理プロセッサー「Spectra 580」はSnapdragonシリーズとして初めて、3つのカメラ・イメージセンサーからの情報を同時に処理できるTriple ISPとして、毎秒2.7ギガピクセルの高速処理をこなす。Snapdragon 865まではDual ISPになる。

10bit HDR静止画データのキャプチャにも対応するトリプルISPをSnapdragonに初めて搭載した

その性能は3つのカメラで同時に4K/HDRビデオ、または28メガピクセルの静止画を記録できるレベルに到達している。12MPの高画質な静止画を最大120フレーム/秒のスピードでハイフレームレート記録することもできる。Snapdragonシリーズとして初めて静止画像のキャプチャも10ビットHDR対応とし、暗所における静止画記録の性能を高めた。これらのハイライトを余すところなく採用したSnapdragon 888シリーズを搭載する “最強カメラスマホ” が、2021年に誕生することになりそうだ。

12MPの120fps高速バースト撮影が可能

120Hz駆動のディスプレイに滑らかなスローモーション動画を再現できる

DSP「Hexagon 780」プロセッサーはSnapdragon 888が搭載する第6世代AIエンジンの中核を担う。これまではディープラーニングの推論処理、画像処理などを別々に受け持っていたブロックをひとつに融合したFused AIアクセラレータを備えたことで、毎秒26兆回(26TOPS)の高速演算を可能にする。AIによる画像処理が精度・スピードともに飛躍する。

進化した第6世代のAIエンジンを搭載

AI処理についてはカメラやマイクを使った機械学習処理を常時待機状態で効率よく駆動させるため、Snapdragon 865から設けられたAI処理ブロックの「Qualcomm Sensing Hub」が第2世代に進化を遂げている。これによりAIアシスタントもスタンバイ状態からのウェイクアップが高速化、さらに精度が増すほか、待機時消費電力もより低く抑えられる。

解像度の低いイメージのアップスケーラーが容易に組み込める

ノイズの種類を解析して通話時の音声をクリアにするノイズ低減技術などもAIエンジンをベースに開発できる

Qualcomm Snapdragon Soundが始動

Bluetoothオーディオのコーデックは、2019年発表のフラグシップSoCであるSnapdragon 865シリーズに引き続き、24bit対応の高品位伝送と低遅延を特徴とするaptX Adaptiveと、VoLTEに迫る最高32kHzの高品位な通話音声を実現するaptX Voiceを標準搭載のオプションとした。なおどちらのコーデックも送り出しと受け側、双方の端末が対応することで使えるようになる。Bluetoothオーディオの新しい仕様として、年初にBluetooth SIGがリリースしたLE Audioの低消費電力・高音質伝送やブロードキャスト・オーディオにもSoCとして準備を完了している。

aptX Adaptiveのコーデックもさらなる技術革新に向けて開発が進められている

aptX Voiceによる高品位なBluetooth通話を実現するスマホとワイヤレスオーディオの組み合わせが2021年には誕生することを期待したい

オンラインイベントでは「Qualcomm Snapdragon Sound」という新しいオーディオプラットフォームのコンセプトが紹介された。Snapdragonに統合されているハイレゾ対応のオーディオコーデックやDAC、ANCのアルゴリズムをひとまとめにした「Qualcomm Aqstic Audio Technology」のほか、BluetoothのaptX Adaptiveコーデックを、クアルコムが開発するワイヤレスイヤホン向けのSoCであるQCCシリーズと連携させることにより実現するハイレベルなオーディオ体験を、今後も強く訴求していく。

イベントではQualcomm Snapdragon Soundのロゴマークのような画像も紹介されたが、より踏み込んだ技術や体験のアップデートについては2021年初頭にクアルコム別途発表の機会が設けられる。

「Qualcomm Snapdragon Sound」のコンセプトの一端が明らかにされた

ワイヤレスオーディオのQCCとSnapdragonをセットにした上質なオーディオ体験を訴求する

ディスプレイの描画・タッチ精度が飛躍。モバイルゲーミングはより快適に

ゲーミングもクアルコムがSnapdragonの成長領域として注力する分野だ。2018年に立ち上げた「Snapdragon Elite Gaming」ブランドを、自社製品の優れたモバイルゲーミング性能をアピールするために活用するスマホメーカーも増えてきた。Snapdragon 888もグラフィックのHDR対応や、デスクトップPCレベルのスムーズなゲーム体験ができることを魅力に掲げている。

SoCに統合されるCPU「Kyro 680」は、Arm Cortex-X1のアーキテクチャを採用したことでパフォーマンスが25%向上。長時間モバイルゲーミングを続けても駆動時の消費電力を低く抑える。さらにグラフィックス処理のコアとなるGPU「Adreno 660」は、画像レンダリング性能が現行SoCと比べて35%もアップした。

モバイルデバイス向けのSoCとして初めてレンダリング効率を上げるVariable Rate Shading(VRS)技術に対応したことにより、ゲーミング映像のレンダリング性能は最大30%引き上げられる。また「Qualcomm Quick Touch」により、タッチパネルの応答が速度・精度ともにレベルアップする。マルチプレーヤーゲームの勝敗を大きく左右するほどタッチ操作の遅延が改善されるという。なおパネルのリフレッシュレートはQHD+解像度で最大144Hzまで高めることができるそうだ。

モバイルゲーミングの描画効率を高めるためにVariable Rate Shading(VRS)技術をサポートする

タッチパネルのスキャニング精度をミリ秒単位で補正。レイテンシーを抑える「Qualcomm Quick Touch」を搭載

最新のSnapdragon 888が、2021年に発売されるAndroidスマホに5GとAI、オーディオビジュアルをひとまとめにしたオールインワンの劇的な進化をもたらすことは間違いないだろう。強力なSoCのパフォーマンスを土台に、最新Snapdragonを採用する端末メーカーがどんな形で次期製品の個性を出してくるのか、注目したい。

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