公開日 2011/10/07 11:28

フラグシップに準ずる設計の高CPモデル − CAVの新ハイエンドスピーカー「MD-VI」を藤岡誠がレビュー

低〜中域の音色的繋がりの良さは高評価に値する
藤岡誠
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CAVの最高級型スピーカーシステムとして新登場した「DX-8」は、今後日本市場でも高く評価されることになろうが、それと同時にリリースされたのが「MD-VI」、つまり本機である(関連ニュース)。


「MD-VI」
価格はDX-8のほぼ半額程度の設定。あたかも“姉妹機”のように思えるが、キャビネットの外観やピアノ塗装バッフルとトネリコ突き板の光沢仕上げ、ユニットの取り付け部の金メッキ処理などを考慮すると、DX-8とは明らかに異なった消費者層をターゲットにしているように思える。


筐体は、ピアノ塗装バッフルとトネリコ突き板の光沢仕上げを組み合わせている

ユニットの取り付け部は金メッキ処理を施している
とはいえ、2個のウーファーを並列駆動して低域方向の増強・増大を図る手法や、良質なミッドレンジとトゥイーターを採用した3ウェイの構成に、適切なブレーシング構造を採り入れたトータルで強固なキャビネットの採用、また、入力のデュアル(4端子)方式によるバイワイヤリングとバイアンピングへの対応といった設計思想などは、ほぼDX-8に準じ、やはりコストパフォーマンスは高い。


入力のデュアル(4端子)方式によるバイワイヤリングとバイアンピングに対応
音質・音調はDX-8と微妙に異なるが方向性は共通しているように感じる。聞くところによると両機共に最終的チューニング(音決め)はCAVジャパン、つまり日本側で行ったという。恐らくはこの作業が功を奏していると私は想像しているが、本機ではキリッとして繊細な高域方向とナチュラルな中域周辺の質感の融合が好ましい。

低域方向の伸張と音圧はDX-8ほどではないが、同じ価格帯のフロア型の中では高位置にある。付け加えれば、2個のウーファーとミッドレンジは何れもEton社のHexacone振動板で、これはDUPONT(デュポン)社のアラミド繊維Nomex(ノーメックス)で成形された6角形ハニカム構造振動板(表裏はケブラーコーティング)を採用している。同質振動板ゆえの低域〜中域間の音色的繋がりの良さも高評価したい。とにかくスッキリとしてウェルバランス。可能な範囲で上質なアンプと組み合わせたいし、バイワイヤリング、さらにはバイアンピングにチャレンジ、アプローチしたいスピーカーシステムであり、またそれだけの能力を秘めている。


<藤岡 誠>
大学在学中からオーディオ専門誌への執筆をはじめ、40年を越える執筆歴を持つ大ベテラン。低周波から高周波まで、管球アンプからデジタルまで、まさに博覧強記。海外のオーディオショーに毎年足を運び、最新情報をいち早く集めるオーディオ界の「百科事典」的存在である。歯に衣を着せず、見識あふれる評論に多くの支持者を得ている。各種の蘭の他、山野草の栽培も長年に亘る。

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