公開日 2024/12/05 12:02

オーディオルームのお引越、さぁどうする?ハイエンド市場の「縁の下の力持ち」、池田ピアノ運送に訊く

マラソン試聴会の搬入・搬出もサポート
ファイルウェブオーディオ編集部・筑井真奈
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
オーディオルームの引越しをしなければならなくなった時、やはり困るのが「重量級製品の運搬」であろう。あるいは友人経由やネットオークションなどでオーディオ機器を譲り受けた際も、普通の配送業者さんでは配送を断られてしまうことも少なくない。そんな時、頼れる存在となるのが精密機器運送の専門会社「池田ピアノ運送」だ。

ハイエンドオーディオ機器の心強い運送会社、池田ピアノ運送

実は池田ピアノ運送は、先日開催されたダイナミックオーディオ主催の「マラソン試聴会」でも、ハイエンドオーディオ機器の搬入・搬出をサポートしてくれている。同社執行役員の小久保大介さんに、オーディオに携わることになったきっかけについて話を伺った。

10月12日、13日にKANDA SQAUREで開催されたマラソン試聴会。総重量1トン超えのハイエンドオーディオ機器が集結する

池田ピアノ運送は、1970年にその名の通り「ピアノの運送」から事業を開始した運送会社である。当初はカワイピアノ専門の運送会社としてスタートしたが、バブル崩壊の影響も受け、ピアノ輸送の需要が減ってしまった。そこで、ピアノ運送で培った強みを活かし、様々な精密機械の運送にも手を広げていった経緯があるという。印刷工場に導入される大型機械やショッピングモールの大型ディスプレイなど、とにかく「デカくて重くて丁寧な運送が求められる」さまざまな現場で活躍している。

オーディオだけではなく各種精密機器、ショッピングモールなどの大型モニターなど、「大きくて重たくて丁寧に運ばなければならないもの」は何でも対応可能

エス・アイ・エスやダイナミックオーディオなどのハイエンドオーディオショップとの縁も深く、同店のスタッフとともにお客様のところに納品に行くことも多いそうだ。

小久保さんによると、特にオーディオに関しては専門スタッフの育成に非常に力を入れているという。「オーディオ製品の運搬には、専門スタッフの育成が欠かせません。オーディオに関する基礎知識も必要です。どのように運ぶ、あるいはセットアップするかについても、ベテランが若いスタッフにしっかりノウハウを伝授していきます。たとえばB&Wの800番シリーズはとても人気の高いスピーカーで、配送依頼も非常に多くあります。ご依頼をいただいた際は、きちんと訓練を受けたスタッフだけでチームを組んで運搬します」

SNS上では、「引越業者に、大切なオーディオ機器を手荒に扱われた」という不満の声を見かけることもある。オーディオの専門メディアだからこそ断言するが、残念ながら一般の人がハイエンドオーディオ機器の正しい取り扱い方(触れてはいけない部位はどこか、どこを持ち上げればスムーズに運ぶことができるか)を熟知しているわけではない。趣味性の高い製品とはそういうものだ。精密機器であり、高額なものであるからこそ、専門性の高い会社に運送をお願いすることに意味があるのだ。

池田ピアノ運送の越中島事業所

池田ピアノ運送は、オーディオファンの引越しの際に指名で声がかかることも多いと言う。その理由も、小久保さんが長年オーディオ業界に携わってきた経験によるものだ。「実はノーチラスも含め、歴代のB&Wやソナス・ファベール、JBLの43シリーズなどの空箱の多くを所有しています。お引越しされるお客様から、どのブランドの、どのスピーカーをお持ちかをヒアリングして、適切な箱をお持ちすることができるのです」(小久保さん)

多くの場合、購入時に箱は捨ててしまうことだろう。だが、いざ引っ越しとなった時、スピーカーがぴったり収まる正規の箱があれば、安心して次の場所まで配送することができる。

「空箱は、わたしが30年かけて集めてきたコレクションです(笑)。社長からは倉庫代にいくらかかると思っているんだ!と怒られることもあるのですが、必要としてくださるお客様がいる以上、最高の状態でお届けしたい、という思いでコツコツと集めてきました」(小久保さん)

オーディオ製品の納品に、長年携わってきたからこその頼もしさ。流石に小久保さん自身が現場に出ることは少なくなっているというが、オリジナル「ノーチラス」や「ザ・ソナス・ファベール」などの配送の依頼がきた時には、自ら現場で指揮を取って動くこともあるという。

池田ピアノの倉庫も見学させてもらった。伺った越中島事業所にはオーディオは少ないそうだが、シャープの大型テレビやダイナスキャンの大型ディスプレイ、バング&オルフセンのテレビなどが配送を待っていた。もちろんカワイのピアノも数多く置かれている。

大型テレビは配送業者に断られてしまうこともある。池田ピアノ運送ならばそういった精密機器の配送もお手のものだ

外観から分かる通りグランドピアノ。厳重に毛布で包んで配送してくれる

トラックに荷物を運び込んでいるスタッフに声を掛けると、皆挨拶も丁寧で元気が良く気持ちが良い。「スタッフの教育にもしっかりお金をかけています。もちろん、その分配送料金をいただくことになりますが、丁寧な仕事という高い価値を、しっかり納得していただけるお客様と仕事をしていきたいと考えています」(小久保さん)

池田ピアノ運送、ハイエンドオーディオ市場のなくてはならない「縁の下の力持ち」である。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 レコードの音楽を読み取って光るターンテーブル。オーディオテクニカ「Hotaru」一般販売スタート
2 ダイソンとPORTERがコラボした特別デザインのヘッドホンとショルダーバッグ。全世界380セット限定販売
3 LUMINの進化は終わらない。初のディスクリートDAC搭載「X2」の思想を開発担当者に訊く!
4 Spotif、2025年に最も聴かれた邦楽は「ライラック」。国内外で最も聴かれた楽曲・アーティストの年間ランキング発表
5 DUNU、7ドライバー/トライブリッド構成を採用したイヤホン「DN 142」
6 カセットテープとともに過ごすカフェ「CASSE」。12/17渋谷でグランドオープン
7 Vento、3次元特殊メッシュを採用したハイブリッド拡散パネル「DAP180 / DAP120」
8 AVIOT、最大120時間再生と小型軽量を両立したオンイヤー型Bluetoothヘッドホン「WA-G1」
9 サンワサプライ、省スペース設置できる木製キャビネットのサウンドバー「400-SP120」
10 アイレックス、ALBEDO/AUDIAブランド製品の価格改定を発表。2026年1月1日より
12/5 10:47 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX