公開日 2014/07/23 12:00
平原綾香が歌う名曲の世界 − 「my Classics2」ハイレゾ版の魅力とは
マスタリングエンジニア・小泉氏特別インタビュー
クラシックの名曲に歌詞を乗せて歌う、平原綾香のアルバム「my Classics」シリーズ。現在CDが3作発売中で、第1弾「my Classics!」はハイレゾでも好評配信中だ。今回、同シリーズ2作目となる「my Classics 2」も、ハイレゾで登場することとなった。本作をCD/ハイレゾ版ともに手掛けたマスタリングエンジニアの小泉純二氏にお話しをうかがった。
ーー7月23日から「my Classics 2」のハイレゾ配信がスタートしましたね。
小泉さん:第1弾の「my Classics!」はK2HD技術が使われていますが、今回は録音時の88.2kHz/24bit WAVマスターを元にしています。ミックスの状態で完パケに近い状態であり、自然な音で仕上がっているので、あとはそれを活かしつつ作業をするという感じでした。
僕にとって、ハイレゾのアルバム1枚をまるまる担当するのは今回が初めてなのですが、簡単なことではないなと思いました。ただ、ハイレゾで「my Classics 2」の空間表現がどれだけ描き出せるのかなとワクワクしながらの作業でした。
ーーマスタリングをするに当たって、CDとハイレゾで難しさが違う部分はありましたか?
小泉さん:そうですね、「my Classics 2」のCD版を手掛けたときは、マスター音源からCDフォーマットにしたときに空間の広がりや奥行きが狭まるので、いかに元の音源のように聴かせるかを工夫しました。でもそればかりにこだわっていると着地点がないままずるずる行ってしまうので、「my Classics 2」が志向していたポップス的な音色やインパクトを表現できるように心がけました。
既にCDで聴いていらっしゃる方が大半なので、ハイレゾを聴いたときに違和感を持たれないよう、CDの音量やアタックの感じを参考にしつつ、ハイレゾならではの空間表現にも気を遣いました。
ーーアタック感を出しつつ広がりも表現する…というのはなかなか両立が難しいですよね。
小泉さん:そうですね。それと、音圧感は気にしていました。CDより小さくなるのはなるべく避けたいなと。
ーーハイレゾ版で目指したサウンドはどんなものなのでしょうか?
小泉さん:CDの場合、長年やってきたこともありますし、メディアに記録するという着地点があるので、やるべきことが分かりやすいんですが、ハイレゾだとそれが見えづらい。リスナーの方は色々な環境で聴くと思うので、判断基準を定めるのが難しいので、スタジオでいちばん良く聞こえるサウンドを目指しました(笑)。
今回はミックスの段階で完パケに近いものができているので、マスタリング作業の時にそんなに激しくレベルを上げることができないため、ハイ/ミッド/ローのバランスやアタックをうまく調整して、なるべく空間を作ることを心掛けました。
ハイレゾはマスターをダウンコンバートすることなしに使えるのが魅力的だと思います。マスターをそのまま使ってもいいし、自分のテイストを加えることもできる。ただ、楽曲によってはちょっと手を加えただけで空間が乱れてしまうため、その辺りの調整加減が難解でした。
ーー 今まで諦めないといけなかった部分を入れられるのは大きいですよね。
小泉さん:はい。CD音源に比べハイレゾ音源は、より気持ちよく包んでくれるように思いますし、音の粒子がしっかり自由運動しているようにも感じます。
平原さんは独特の質感・世界感がありますが、今回のハイレゾによってそれを気持ちよく表現できると感じました。
ーー今回のマスタリングで特に気を配ったところや、大変だったところを教えていただけますか?
小泉さん:今回特に大変だったのは、トラック4の「My Love(ヘンデル / 私を泣かせてください )」など静かな曲でしょうか。オケの音数が少ない作品はすごくデリケートなので、ちょっと手を加えただけでボーカルの聞こえ方が変わってきてしまうんです。
それとトラック8の「アランフェス(ロドリーゴ / アランフェス協奏曲 第2楽章 )」は、平原さんのボーカルとボイスパーカッション、ベースのみというシンプルな編成で、ジャズのセッションのような楽曲。アタック感と空間の両立が難しかったです。
それとトラック7「ソルヴェイグの歌(グリーグ / ペール・ギュント組曲より「ソルヴェイグの歌」)」。個人的には広大な大地のうえで平原さんが歌っているようなイメージを受けたので、それが表現されるよう気を配りました。ベースやキックなどがCDだとちょっと苦しいけど、ハイレゾだと狭めていた枠が外れたというか、楽曲全体のうねりなども感じられ、素晴らしいなと思いました。
僕はエンジニアになって以来メディア(レコード、カセット、CD)に収めるということをやってきたので、メディアレスになることに切なさと抵抗を感じますが、実際今回作業しながら、レコーディング当時の目論見が全て表現できるのなら、ハイレゾというのは非常に魅力的なものだなと思いました。
ーー平原さんの声は深い響きと包容力がある、非常に独特の声だと思います。その魅力を引き出すために気をつけているところはありますか?
小泉さん:そうですね。音域がとても広く深く、多質で多色。楽曲ごとに、そのアレンジに合わせ自由自在に声質・声色を表現されているので、とても手強いです。そのひとつひとつの感情・感性を損なわず、且つ、魅力が際立つよう、施させていただきました。
ーー今回のアルバムは声の表現を追求しつくしたものであることもコンセプトのひとつ。ぜひ読者のみなさんにも、平原さんの声と楽曲の世界観をハイレゾで堪能してみていただきたいですね。ありがとうございました!
(インタビュー/構成:ファイル・ウェブ編集部:小澤麻実)
![]() | my Classics 2/平原綾香 88.2kHz/24bit WAV/FLAC: アルバム¥3,456(税込) http://www.e-onkyo.com/music/album/mucd1230/ |
ーー7月23日から「my Classics 2」のハイレゾ配信がスタートしましたね。
小泉さん:第1弾の「my Classics!」はK2HD技術が使われていますが、今回は録音時の88.2kHz/24bit WAVマスターを元にしています。ミックスの状態で完パケに近い状態であり、自然な音で仕上がっているので、あとはそれを活かしつつ作業をするという感じでした。
僕にとって、ハイレゾのアルバム1枚をまるまる担当するのは今回が初めてなのですが、簡単なことではないなと思いました。ただ、ハイレゾで「my Classics 2」の空間表現がどれだけ描き出せるのかなとワクワクしながらの作業でした。
ーーマスタリングをするに当たって、CDとハイレゾで難しさが違う部分はありましたか?
小泉さん:そうですね、「my Classics 2」のCD版を手掛けたときは、マスター音源からCDフォーマットにしたときに空間の広がりや奥行きが狭まるので、いかに元の音源のように聴かせるかを工夫しました。でもそればかりにこだわっていると着地点がないままずるずる行ってしまうので、「my Classics 2」が志向していたポップス的な音色やインパクトを表現できるように心がけました。
既にCDで聴いていらっしゃる方が大半なので、ハイレゾを聴いたときに違和感を持たれないよう、CDの音量やアタックの感じを参考にしつつ、ハイレゾならではの空間表現にも気を遣いました。
ーーアタック感を出しつつ広がりも表現する…というのはなかなか両立が難しいですよね。
小泉さん:そうですね。それと、音圧感は気にしていました。CDより小さくなるのはなるべく避けたいなと。
ーーハイレゾ版で目指したサウンドはどんなものなのでしょうか?
小泉さん:CDの場合、長年やってきたこともありますし、メディアに記録するという着地点があるので、やるべきことが分かりやすいんですが、ハイレゾだとそれが見えづらい。リスナーの方は色々な環境で聴くと思うので、判断基準を定めるのが難しいので、スタジオでいちばん良く聞こえるサウンドを目指しました(笑)。
今回はミックスの段階で完パケに近いものができているので、マスタリング作業の時にそんなに激しくレベルを上げることができないため、ハイ/ミッド/ローのバランスやアタックをうまく調整して、なるべく空間を作ることを心掛けました。
ハイレゾはマスターをダウンコンバートすることなしに使えるのが魅力的だと思います。マスターをそのまま使ってもいいし、自分のテイストを加えることもできる。ただ、楽曲によってはちょっと手を加えただけで空間が乱れてしまうため、その辺りの調整加減が難解でした。
ーー 今まで諦めないといけなかった部分を入れられるのは大きいですよね。
小泉さん:はい。CD音源に比べハイレゾ音源は、より気持ちよく包んでくれるように思いますし、音の粒子がしっかり自由運動しているようにも感じます。
平原さんは独特の質感・世界感がありますが、今回のハイレゾによってそれを気持ちよく表現できると感じました。
ーー今回のマスタリングで特に気を配ったところや、大変だったところを教えていただけますか?
小泉さん:今回特に大変だったのは、トラック4の「My Love(ヘンデル / 私を泣かせてください )」など静かな曲でしょうか。オケの音数が少ない作品はすごくデリケートなので、ちょっと手を加えただけでボーカルの聞こえ方が変わってきてしまうんです。
それとトラック8の「アランフェス(ロドリーゴ / アランフェス協奏曲 第2楽章 )」は、平原さんのボーカルとボイスパーカッション、ベースのみというシンプルな編成で、ジャズのセッションのような楽曲。アタック感と空間の両立が難しかったです。
それとトラック7「ソルヴェイグの歌(グリーグ / ペール・ギュント組曲より「ソルヴェイグの歌」)」。個人的には広大な大地のうえで平原さんが歌っているようなイメージを受けたので、それが表現されるよう気を配りました。ベースやキックなどがCDだとちょっと苦しいけど、ハイレゾだと狭めていた枠が外れたというか、楽曲全体のうねりなども感じられ、素晴らしいなと思いました。
僕はエンジニアになって以来メディア(レコード、カセット、CD)に収めるということをやってきたので、メディアレスになることに切なさと抵抗を感じますが、実際今回作業しながら、レコーディング当時の目論見が全て表現できるのなら、ハイレゾというのは非常に魅力的なものだなと思いました。
ーー平原さんの声は深い響きと包容力がある、非常に独特の声だと思います。その魅力を引き出すために気をつけているところはありますか?
小泉さん:そうですね。音域がとても広く深く、多質で多色。楽曲ごとに、そのアレンジに合わせ自由自在に声質・声色を表現されているので、とても手強いです。そのひとつひとつの感情・感性を損なわず、且つ、魅力が際立つよう、施させていただきました。
ーー今回のアルバムは声の表現を追求しつくしたものであることもコンセプトのひとつ。ぜひ読者のみなさんにも、平原さんの声と楽曲の世界観をハイレゾで堪能してみていただきたいですね。ありがとうございました!
(インタビュー/構成:ファイル・ウェブ編集部:小澤麻実)
トピック
-
TCL「SQD-Mini LED」VGP審査員特別賞受賞記念座談会。審査員が語り尽くす「液晶テレビの進化」と、X11L/C8L/C7Lの実力 -
“Music First”のスピリッツ息づく。イギリス名門・ARCAMの最新プリメインが秘めるスマートな音楽性を聴く -
iBassoからリミテッドDAP「DX340MAX」登場!通常ラインナップ3モデルとあわせて一斉試聴 -
“脱・NAS初心者”を実感!UGREEN「NASync DXP4800 GT」で叶えるストレスフリーなクリエイティブ環境【割引クーポン有】 -
シアターハウスのスクリーン「WCB2214WEM」で100型&高画質をリビングに! 壁投写との画質比較も -
デノンAVアンプの次世代サウンドを牽引するミドルクラス『AVR-X3900H』堂々登場!その真価を徹底レビュー -
「次世代Mini LED」の大本命!TCL『C8L』、VGP2026 SUMMER審査員特別賞を受賞したSQD-Mini LEDを岩井喬がチェック -
手元に1台ほしくなる小回りの効くHi-Fi音質! USB-C/Bluetooth対応のクリエイティブ「XF1」アクティブスピーカーをチェック -
ゲーマー以外にもオススメ!他と一線を画す座り心地と使い勝手のゲーミングチェア、Boulies「Master Rex/Neo」レビュー -
AR/XRグラスはホームシアターの夢を見るか?VITUREの「Beast」「Luma Ultra」をオーディオビジュアル評論家がチェック! -
Edifierのおすすめ3機種を厳選レビュー!音質と使い心地をVGP審査員が実機検証 -
【評論家レビュー有】オーテクのおしゃれノイキャンイヤホンがAmazonで超お得!「ATH-SQ1TW2NC」の魅力を徹底解説! -
【期間限定クーポン情報も】日常からスポーツまで! タフで多機能な「Amazfit Active Max」をレビュー -
コンパクトサイズに大画面&高画質をオールインワン! ETOEモバイルプロジェクター「Dolphin 2」を検証 -
プロも高評価。EarFun「Clip2」全方位レビュー!【割引クーポン情報あり】 -
音楽ストリーミングを信頼のヤマハサウンドで鳴らす!ワイヤレスHiFiスピーカー「NX-70A」を聴く -
サウンドバー「Sonos Arc Ultra」が叶える大画面に没入させる本格サラウンド -
映画に没入させる映像美。AWOLのフラグシップ「Valerion Max」を徹底検証 -
オーディオを高く売るなら信頼と実績のオーディオランド!下取よりも買取がお得です◎
クローズアップCLOSEUP
-
TCL「SQD-Mini LED」VGP審査員特別賞受賞記念座談会。審査員が語り尽くす「液晶テレビの進化」と、X11L/C8L/C7Lの実力 -
“Music First”のスピリッツ息づく。イギリス名門・ARCAMの最新プリメインが秘めるスマートな音楽性を聴く -
iBassoからリミテッドDAP「DX340MAX」登場!通常ラインナップ3モデルとあわせて一斉試聴 -
“脱・NAS初心者”を実感!UGREEN「NASync DXP4800 GT」で叶えるストレスフリーなクリエイティブ環境【割引クーポン有】 -
シアターハウスのスクリーン「WCB2214WEM」で100型&高画質をリビングに! 壁投写との画質比較も -
デノンAVアンプの次世代サウンドを牽引するミドルクラス『AVR-X3900H』堂々登場!その真価を徹底レビュー -
「次世代Mini LED」の大本命!TCL『C8L』、VGP2026 SUMMER審査員特別賞を受賞したSQD-Mini LEDを岩井喬がチェック -
手元に1台ほしくなる小回りの効くHi-Fi音質! USB-C/Bluetooth対応のクリエイティブ「XF1」アクティブスピーカーをチェック -
ゲーマー以外にもオススメ!他と一線を画す座り心地と使い勝手のゲーミングチェア、Boulies「Master Rex/Neo」レビュー -
AR/XRグラスはホームシアターの夢を見るか?VITUREの「Beast」「Luma Ultra」をオーディオビジュアル評論家がチェック! -
Edifierのおすすめ3機種を厳選レビュー!音質と使い心地をVGP審査員が実機検証 -
【評論家レビュー有】オーテクのおしゃれノイキャンイヤホンがAmazonで超お得!「ATH-SQ1TW2NC」の魅力を徹底解説! -
【期間限定クーポン情報も】日常からスポーツまで! タフで多機能な「Amazfit Active Max」をレビュー -
コンパクトサイズに大画面&高画質をオールインワン! ETOEモバイルプロジェクター「Dolphin 2」を検証 -
プロも高評価。EarFun「Clip2」全方位レビュー!【割引クーポン情報あり】 -
音楽ストリーミングを信頼のヤマハサウンドで鳴らす!ワイヤレスHiFiスピーカー「NX-70A」を聴く -
サウンドバー「Sonos Arc Ultra」が叶える大画面に没入させる本格サラウンド -
映画に没入させる映像美。AWOLのフラグシップ「Valerion Max」を徹底検証 -
オープンイヤーへの理解度が半端ない!音も快適さもパワーアップしたShokz「OpenDots 2」レビュー -
パナソニック旗艦4Kテレビ「Z95C」視聴レビュー! 評論家が「傑作」と高評価する理由とは? -
大注目のレグザ “ながら聴き”「RB-A1S」を音楽、動画、テレビで全方面レビュー! -
この高画質、まさに「レグザクオリティ」。“映える”小型4Kプロジェクター「RLC-V5R-S」徹底レビュー -
アナログレコードの音を良くしたい! 2,000円から手に入る、買うべきケーブル2選 -
ハイセンスの最上位4Kテレビ「RGB UXS」は音質も最高峰!デビアレスピーカーで屈指のサウンド -
フルデジタルアンプからゲーム、カラオケまで。ソフトウェアで「いい音」を支えるCRI・ミドルウェアの技術をOTOTENで体験しよう! -
RGB Mini LEDをリードするハイセンスのフラグシップ4Kテレビ「RGB UXS」の画質真価に迫る -
オーディオテクニカ「AT-MCD1」を聴く。スタイラスチップ一体型ダイヤモンドカンチレバー採用カートリッジの実力に迫る! -
オーディオを高く売るなら信頼と実績のオーディオランド!下取よりも買取がお得です◎
アクセスランキング
RANKING
7/29 11:07 更新



















