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【第154回】ミヤザキタケルの気軽にホームシネマ

ブルース・ウィリス×シャマラン!「破壊不可能」な男の正義の目覚めを描くヒーロー映画

公開日 2025/02/14 06:30 ミヤザキタケル
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サブスクで映画を観ることが当たり前となりつつある昨今、その豊富な作品数故に、一体何を観たら良いのか分からない。そんな風に感じたことが、あなたにもありませんか。本コラムでは、映画アドバイザーとして活躍するミヤザキタケルが水先案内人となり、選りすぐりの一本をあなたにお届け。今回は2000年製作の『アンブレイカブル』をご紹介します!

『アンブレイカブル』(2000年・アメリカ)
(配信:Disney+)

『アンブレイカブル』 ディズニープラスの「スター」で配信中

『シックス・センス』『ヴィジット』『オールド』などで知られるM・ナイト・シャマラン監督が、ブルース・ウィリスと再タッグを組んだサスペンス映画。乗員・乗客131人が死亡した列車事故で、ただ1人無傷で生き残った男・デヴィッド(ブルース・ウィリス)。怪我をはじめ、病気にもかからない自身の身体に不安を抱いていた矢先、イライジャ(サミュエル・L・ジャクソン)と名乗る人物から手紙が届く。骨形成不全症という難病を持って生まれ、些細なことでも骨折してしまうイライジャは、自らと対極に位置する存在を探し求めており、デヴィッドにその可能性を見出すのであった……。

(C) 2025 Touchstone Pictures

マーベル・コミックやDCコミックスを原作とする実写映画化作品の普及により、今では幅広い世代に親しまれているヒーロー映画。本作もまたヒーロー映画に分類されるべき作品であるのだが、2000年当時は今ほどヒーロー映画が普及していたわけでもなく、その描き方も既存のそれとは大きく異なるものであった。というのも、大抵のヒーロー映画は、力に目覚め、その力の使い道を模索し、悪(ヴィラン)と対峙していく様を描いていく。が、本作の場合、自らに宿る力を自覚し、その力の使い道を模索するところまでを、たっぷり時間をかけて描いていく。つまりは、明確な悪と激闘を繰り広げるような展開にまでには至らない。

(C) 2025 Touchstone Pictures

それでも違和感なく見ることができ、作品世界へと引き込まれてしまうのは、シリアスな人間模様や、デヴィッドが私たちと変わらぬ存在であることを信じさせてくれるからに他ならない。そこにこそ、本作のオリジナル性や魅力がふんだんに詰まっている。本作が楽しめたという方は、2017年に公開され、サプライズ的に『アンブレイカブル』と世界観を共通する作品であることが開示された『スプリット』。その続編であり、『スプリット』と『アンブレイカブル』の登場人物たちが一堂に会する『ミスター・ガラス』も併せてご覧ください。

(C) 2025 Touchstone Pictures
※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。

ミヤザキタケル
1986年生まれ、長野県出身。2015年より「映画アドバイザー」として活動を始める。 WOWOW・宝島社sweet・DOKUSOマガジンでの連載のほか、ラジオ・配信番組・雑誌などで映画を紹介。イベント登壇、MC、映画祭審査員、BRUTUS「30人のシネマコンシェルジュ」など幅広く活動中。

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