【第152回】ミヤザキタケルの気軽にホームシネマ
画鋲にガラス玉に乾電池…、異物を飲み込んで欲望を満たす女の衝撃スリラー
サブスクで映画を観ることが当たり前となりつつある昨今、その豊富な作品数故に、一体何を観たら良いのか分からない。そんな風に感じたことが、あなたにもありませんか。本コラムでは、映画アドバイザーとして活躍するミヤザキタケルが水先案内人となり、選りすぐりの一本をあなたにお届け。今回は2019年製作の『SWALLOW/スワロウ』をご紹介します!
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『SWALLOW/スワロウ』(2019年・アメリカ)
(配信:Amazon Prime Video / Netflix / U-NEXT / Hulu )
トライベッカ映画祭主演女優賞受賞をはじめ、さまざまな映画祭にて注目を浴びたカーロ・ミラベラ=デイヴィスの単独長編映画監督デビュー作。大企業の御曹司である夫、ニューヨーク郊外の豪邸など、誰もが羨む生活を送るハンター(ヘイリー・ベネット)だが、その心は満たされていなかった。親しい友人もおらず、まともに対話をしてくれない夫や義父母の存在に息苦しさを感じていた中、ハンターの妊娠が発覚。大いに喜ぶ夫と義父母であったが、ハンターの孤独はより一層増していく。そんな中、ふと目に入ったガラス玉を飲み込んでしまうハンターであったが……。
タイトルが示す通り、画鋲・安全ピン・乾電池など、ありとあらゆる異物を飲み込んでしまう女性の姿と、その心模様を映し出していく本作。彼女の行為を「理解不能」と拒絶するのは容易いけれど、手段が異なるだけで、誰もがきっとやっている。埋められない孤独や、満たされない心のバランスを保つため、食に走ったり、金遣いが荒くなったり、髪を引き抜いたりなど、何かしらの手段で帳尻を合わせている。その代償行動の呪縛から解き放たれようと足掻き続けるハンターの姿は、十分「理解可能」なものであるはずだ。
徐々にエスカレートしていく異物の飲み込み、そんなハンターを更生させて思い通りにしたい夫と義父母、自らに宿る孤独や不安の元凶に向き合い始めるハンターの姿など、これが長編映画監督デビュー作とは思えないクオリティの高さを誇る力作です。
(C) 2019 by Swallow the Movie LLC. All rights reserved.
※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。
『SWALLOW/スワロウ』(2019年・アメリカ)
(配信:Amazon Prime Video / Netflix / U-NEXT / Hulu )
トライベッカ映画祭主演女優賞受賞をはじめ、さまざまな映画祭にて注目を浴びたカーロ・ミラベラ=デイヴィスの単独長編映画監督デビュー作。大企業の御曹司である夫、ニューヨーク郊外の豪邸など、誰もが羨む生活を送るハンター(ヘイリー・ベネット)だが、その心は満たされていなかった。親しい友人もおらず、まともに対話をしてくれない夫や義父母の存在に息苦しさを感じていた中、ハンターの妊娠が発覚。大いに喜ぶ夫と義父母であったが、ハンターの孤独はより一層増していく。そんな中、ふと目に入ったガラス玉を飲み込んでしまうハンターであったが……。
タイトルが示す通り、画鋲・安全ピン・乾電池など、ありとあらゆる異物を飲み込んでしまう女性の姿と、その心模様を映し出していく本作。彼女の行為を「理解不能」と拒絶するのは容易いけれど、手段が異なるだけで、誰もがきっとやっている。埋められない孤独や、満たされない心のバランスを保つため、食に走ったり、金遣いが荒くなったり、髪を引き抜いたりなど、何かしらの手段で帳尻を合わせている。その代償行動の呪縛から解き放たれようと足掻き続けるハンターの姿は、十分「理解可能」なものであるはずだ。
徐々にエスカレートしていく異物の飲み込み、そんなハンターを更生させて思い通りにしたい夫と義父母、自らに宿る孤独や不安の元凶に向き合い始めるハンターの姿など、これが長編映画監督デビュー作とは思えないクオリティの高さを誇る力作です。
(C) 2019 by Swallow the Movie LLC. All rights reserved.
※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。
ミヤザキタケル 1986年生まれ、長野県出身。2015年より「映画アドバイザー」として活動を始める。 WOWOW・宝島社sweet・DOKUSOマガジンでの連載のほか、ラジオ・配信番組・雑誌などで映画を紹介。イベント登壇、MC、映画祭審査員、BRUTUS「30人のシネマコンシェルジュ」など幅広く活動中。 |