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評論家は「曲のどんなポイント」を聴いている?

角野隼斗、星街すいせい、Creepy Nuts……オーディオ評論家が試聴に使った2024年の曲はこれだ!【Part.1】

公開日 2024/12/28 07:00 山本 敦/高橋 敦/野村ケンジ
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高橋敦先生が選ぶリファレンス曲
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星街すいせい/ビビデバ



シンデレラをモチーフにした世界観と同じくサウンドも、沈んだトーンの夜の雰囲気と星街さんのイメージにも合うやんちゃな煌びやかさが同時に、あるいは場面ごとに提示される二面性が魅力。再生システムによってその二面性のバランス、夜の雰囲気が強まるのか、やんちゃさが強まるのかといった聴こえ方が変わるので、そこがオーディオ試聴におけるポイントです。

もっと具体的なポイントとしては例えば、バシッとしたキレを叩き出すドラムスと、音と音を滑らかにつないでフレーズをうねらせるベース。スタッカートとレガートのどちらの特徴がより強く再現されるかといったところで、オーディオシステムのリズム表現の個性を把握していたりします。

Evan Call/Zoltraak



アニメ「葬送のフリーレン」のいわゆる戦闘曲。オーケストラサウンドの低音打楽器の響きや空間の広がりといった基本要素の確認に有用なのはもちろん、様々な個性的な楽器の活躍にも注目です。

例えば冒頭から独特の世界観を生み出すハンマーダルシマーは、ピアノの祖先とも言われる打弦楽器。張られた弦を手に持ったハンマーで直に叩くという原始的な鳴らし方から生まれる、その音色のアタック感等の描写は重要なポイントになります。

メインメロディの楽器はティンホイッスルかと思うのですが、その素朴な音色がすっと発声されてすっと届いてくるかも、この曲全体のイメージを左右する大切なポイント。総じて「その楽器らしさの再現性」をチェックできる、チェックしたくなる曲です。

羊文学/Burning



冒頭のドラムスの音がまず最高。序盤はセンターに寄せた定位にしておいて、そこから空間を広げる瞬間の開放感も最高。……とかもありますが、オーディオチェックにおいてはギターサウンドのエッジの感触に特に注目しています。

Aメロの、Big Muff系ペダルによると思われる潰れたファズトーンのジリジリとしたエッジ。以降での歪みを少し抑えたトーンのジャキッとしたエッジ。それらのエッジを和らげる傾向のオーディオではファズのムワッとした厚みが際立ち、エッジを鋭くする傾向のオーディオではファズにせよクランチにせよ演奏、ひいては楽曲のキレが際立つ。エレクトリックギターの、特に歪みサウンドの再現傾向の把握にぴったりな楽曲です。

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