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評論家は「曲のどんなポイント」を聴いている?

ヨルシカ、五等分の花嫁、野田愛実……オーディオ評論家が試聴に使った2023年の曲はこれだ!【Part.2】

公開日 2023/12/30 07:10 野村ケンジ/生形三郎/海上忍/岩井喬
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生形三郎先生が選ぶリファレンス曲
生形先生が執筆したレビュー記事はこちら


Gerard Salonga, Hong Kong Philharmonic Orchestra
 『The Metaverse Symphony』(Tr.1 Symphony No. 1 "The Metaverse": I. The Digital Age)




オーディオ再生の試金石とも言えるソースだ。「インターネットの発展に関する進歩的なマイルストーンの経験を祝う」というコンセプトで作曲された現代の交響曲。

映画音楽やゲーム音楽を連想させるような緊迫感溢れる楽想と、シベリウスからストラヴィンスキーまでを想起させる近代音楽的で巧みなコンポジションが特徴だ。ダイナミックに繰り広げられる弦・管・打楽器の凄まじい応酬は、全帯域における音の瞬発力と余韻の切れ、そして低歪みな音色再現を要求。各楽器セクションの音像を正確に分離よく再現できるかが聴きどころだ。

新たな音表現を試みたという音響的なアレンジが全編にわたり駆使され、叙情的な第2楽章Bを含め、全4楽章フル尺で楽しめる作品となっている。(音声フォーマットは、flac 44.1kHz/24bit)

Labrinth 『Ends & Begins』(Tr.7 Never Felt So Alone)



グラミー賞にもノミネートされた、ビリー・アイリッシュをフィーチャーした楽曲で、ニューアルバムからの先行リリース曲。

3分にも満たない短い楽曲だが、キックドラムの沈みの深さや余韻のキレ、同じくパーカッシブなエレクトリックベースのレスポンスの明瞭さなど、低域側の再現力は如実に現れる。レイヤーされるラビリンスとビリー・アイリッシュの歌声や、その背後や左右に散りばめられたSEやコーラスなどの定位をメリハリよくしたいところだ。

2人の歌声の再現力、特にビリー・アイリッシュは、高音域から、終盤に出てくるお馴染みの低域ボイスまで、微妙な表情や質感の変化をしっかり描き分けられると、より十全に楽曲の魅力を引き出せるだろう。(音声フォーマットはflac 48kHz/24bit)

Roger Eno 『the skies, they shift like chords』(Tr.1  Chordal Drift)



アンビエント・ミュージック提唱者として知られるブライアン・イーノの実弟ロジャー・イーノによるDGからのリリース2作目となるソロアルバムは、全編に亘って静かな楽想が貫かれダイナミクスの起伏もいたって穏やかである。しかしながら、それだけに各楽器の音色が織りなす微細なテクスチュアの描写力が問われる作品となっている。

例えば冒頭の「Chordal Drift」は、その名の通り弦楽による和音の連なりが静かに流れていくシンプルな楽曲だが、ボウイングの繊細な立ち上がりや、和音の内声ひとつひとつを形成する弦の振幅の様子や、各楽器の微妙な定位、そして、弦楽器らしい音色を形成する木質感や潤い感などをいかに再現し耳を楽しませてくれるかが聴きどころと言える。(音声フォーマットは、flac 96kHz/24bit)

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