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【SFP徹底研究】第3回 環境整備こそネットワークオーディオの命

ネットオーディオ、「光アイソレート」はどこに組み込むのが効果的? KLIMAX DSMで徹底検証!

公開日 2021/08/17 06:30 秋山 真
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【セッティング(2) プレーヤーとハブ間を光アイソレート】

まずは、KLIMAX DSMとS100に装備されているSFPポートを活用した光アイソレーションを試してみよう。ここでは、DELAがオプションで用意している「OP-SFP」(BUFFALO製のSFPモジュール2個に、米国コーニング社の光ファイバーケーブルがセットになったもの)に同梱される光ファイバーケーブルで、KLIMAX DSMとS100と直接接続する。なお、この光ファイバーケーブルはマルチモード(2芯)だ。


刺々しさがなくなり、録音の粗がマスキングされたような、まろやかなサウンドに変貌した。その一方で、前述した「S/Nは良くなったけど、力感が減って全体的にこじんまりしたような」という拙宅での検証結果と似た傾向があって、終始物足りなさがつきまとう。憶測ではあるが、KLIMAX DSMの音作りはメタルケーブルによる有線LAN接続で行われたのではないだろうか。リンの設計者が聴いたら「これは我々の意図した音ではない」と言うに違いない。それくらい(1)と(2)は全く別物に感じられた。

【セッティング(3) ハブとサーバー間を光アイソレート】

今度は、fidataとS100の間を光アイソレーションしてみよう。この場合、S100側はSFPポートを使用するが、HFAS1-S10には有線LANポートしかないため、SFPポートを備えた光メディアコンバーターが必要になる。ここではDELAのオプションセット「OP-S100」(BUFFALO製のメディアコンバータ―「BMC-GT-M550M」と光ファイバーモジュール/ケーブルのセット)を活用した。


これは素晴らしかった。まるで(1)と(2)を足して2で割らずに2を掛けたような、(1)よりさらに広いスケール感と、(2)を大きく上回るS/Nが見事に両立されている。ワイドレンジでありながら厚みも十分で、全てがシームレスに繋がり、どこまでも自然体だ。同席する編集部スタッフと「これで決まりなんじゃない?」と顔を見合わせてしまった。

【セッティング(4) ルーターとハブ間を光アイソレート】

しかしながら、実験は続く。次はルーターとスイッチングハブの間を光アイソレーションしてみた。ルーターは汎用の製品なので、ここでもOP-S100を使用している。(3)より腰高でシャッキリしたサウンドだ。言い換えれば鮮度感が高いようにも感じられるが、ローエンドの伸びや横方向への広がりは明らかに(3)より狭い。う〜ん、コレジャナイ感。スイッチングハブの前後どちらかを光アイソレーションするなら後段の方が良いようだ。


■SONOREのメディアコンバーターの実力を検証

【セッティング(5) プレーヤーとハブ間をSONOREで光アイソレート】

では、光メディアコンバーター自体を交換するとどうなるだろうか。(2)の経験を踏まえて、KLIMAX DSMのSFPポートは使わずに光アイソレーションする方法で試してみた。用意したのはオーディオグレードの製品として定評のあるSONORE「opticalModule Deluxe」だ。これを2台使用して、下図のとおりに接続していく。なお、opticalModule DeluxeのACアダプターには同梱されているiFi audioの「iPower 9V」を使用した。ちなみにopticalModule Deluxeもマルチモード(2芯)を採用している。


光アイソレーションしている箇所は(2)と同じだが、そのサウンドは真逆の方向性となった。力感マシマシ系で、試聴室の空気が揺さぶられるほどの迫力に圧倒される。ただし、少し盛りすぎな感じが否めず、音ヌケももう少し欲しい。

SONOREの「OpticalModule Deluxe」を2台使用

【セッティング(6) ハブとサーバー間をSONOREで光アイソレート】

それならばと、今度はopticalModule DeluxeをS100とfidata HFAS1-S10の間に挿入してみる。すると、光アイソレーションしている箇所が(3)と同じだからなのか、高S/N、ワイドレンジという一面は見せるものの、やはり全体のキャラクターは(5)寄りで音圧高め。ちょっと凄味が出すぎて、個人的にはこれ見よがし感のない(3)の自然体サウンドの方が好みだ。


総じてopticalModule Deluxeの音は家系ラーメンで言うところの、「油多め、味濃いめ、麺硬め」で、筆者の歳だと翌日の胃もたれが心配になる感じだ。しかし、若者や常連客にはこの注文をする人が多いのも事実。この日の実験はプレーヤー以降を同じ環境で統一することが求められるため実施しなかったが、例えば、左右のスピーカー間隔をもう少し広げることで、全体のバランスや音ヌケは改善されると思う。そうすれば私でも胃もたれせずに家系ラーメンの真髄を味わえるはずだ。

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