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「極めてリーズナブルで高い技術を持つ」

実は30年以上の名門、独ケーブルブランド「インアクースティック」を知る

2014/08/29 井上千岳
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ドイツの名門ブランドモニターPCが2008年にブランド名を「INAKUSTIK」(インアクースティック)に変更し、現在、日本の代理店であるユキムが注目度の高いケーブル製品を次々に導入している。今回、同社セールスマネジメント担当のSven Schulz氏が弊社を訪問し、ブランドや製品についてくわしく解説してくれた。井上千岳氏がINAKUSTIKの魅力を紹介する。



インアクースティックといってもピンと来ない人がいるかもしれないが、モニターPCなら聞き覚えがあるのではないか。ヨーロッパ最大のハイファイケーブルメーカーであるばかりでなく、このジャンルの世界的な草分けでもある。わが国でも極細線を数百本撚り合わせた、コブラ・ケーブルなどが有名であった。

今回弊社を訪れ、ブランドの紹介をしてくれたINAKUSTIK社セールスマネジメント担当のSven Schulz氏

「リーズナブルながら音質が高い」と井上氏も高く評価する

モニターPCというのはインアクースティック社のブランドで、数年前に社名とブランド名を統一したため、現在ではモニターPCという名称はなくなったのである。

この老舗ブランドがSumser夫妻というオーディオファンの手によって、1977年に始められたという話はよく知られている。しかし夫妻は1996年に引退し、現在はブラウン・グループ(シェーバーとは別)の一員として、CDなどの録音事業やラック、ファニチャーなど活動範囲は幅広い分野に及ぶ。

現在のインアクースティック・ケーブルは、4つのグレードに分けられる。いずれも往年のコブラ・ケーブルなどとは異なり、先進的な理論と確かな技術に基づいて開発されている。その技術についてだが、同社には大きく分けて6つの基幹技術があり、それらの組み合わせでグレードが決まるという、大変システマチックな設計であるのが興味深い。

INAKUSTIKの製品は、ドイツで製造。手作業で作られている

製品には製造を担当したスタッフのサインが同封されている

導体はOFCもしくは銀コートOFCで、銀線やOCC線などことさら高額な線材は使用していない。それよりも構造に重点が置かれている。

まずウェーブガイドといって、ポリエチレン・コアの周囲に素線を巻き付け、それを導体とする。素線は多層になることもあり、これらを総称して同軸型導体と呼ぶ。

この導体は時にはラッカー被覆のリッツ線とすることもあり、またライン・ケーブルではコアを持たせず、リッツ線の素線を複数束ねて導体としている。

この導体を芯線として、さらに大きなポリエチレン・チューブに螺旋状に巻いたのが、独自のマルチコア構造である。芯線はプラス/マイナスが2本おきに並んでいる。磁界を相殺しスピードを均一化する構成である。

絶縁材はポリエチレンである。ただし発泡タイプと非発泡タイプを2層とし、空気絶縁と低容量化のメリットを取り入れている。DUO−PEUというやはり独自の構造である。

このほか外被はポリエチレンの編組であるのが珍しく、介在なしに直接芯線を締め付ける。PEネットワーク・ジャケットと呼ばれ、また強固に締め付けて振動を抑制しダイナミズムを確保する技術を、ハイパワー・マネージメントと呼んでいる。

INAKUSTIKのケーブルは非常にシステマティックな設計が施されている

以上が6つの基幹技術だが、各シリーズにはそのうちの全部またはいくつかが採用されている。最上位モデルでは全て、ベーシック・モデルでも3つの技術を備える。

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