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PR最高品位アナログ・マスターテープから忠実に再現

“高音質レコード”100% Pure LPとオリジナル盤を徹底比較!透明ヴィニールの音質の秘密に迫る

公開日 2026/10/21 06:35 炭山アキラ/岩井 喬/林 正儀
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素材選びからプレスまで、全工程を徹底的に突き詰め、日本が誇るクラフツマンシップの粋を凝縮した、話題の超高音質レコード「100% Pure LP」。今回は最新発売のタイトルを用意し、オリジナル盤との比較試聴を実施。その音質はもちろん、オリジナル盤との違いにも注目しながら、その実力をじっくりと検証した。

添加物を一切使わない上にメタルマスターを使い製造

一般的なレコードは、マスター音源からカッティング・エンジニアがラッカー盤へ溝を刻むところから始まる。溝を穿ったラッカー盤の表面へ分厚いニッケルメッキを施して剥がしたものを「メタルマスター」といい、それを元に複数の「メタルマザー」を作り、さらにそこから「スタンパー」を製作、それを使って高温に熱した塩化ヴィニールをプレスすることで、レコードが完成される。

ところが、100% Pure LP(以下、Pure LP)は、ラッカー盤から作成されたメタルマスターを使って製盤されている。つまりメタルマザー、スタンパーの2工程が省かれており、それだけ音の鮮度が高いレコード製作が可能になっている。

一般的なレコードは、カーボンブラックなどの添加物が含まれている。盤面が黒いのはそのせいだが、Pure LPは混ぜ物が一切入っていない。しかも再生原料も一切含まれない「ストレート塩化ヴィニール」を用いることで、音響的に安定し、マスターテープに収められた音をより忠実に収めることが可能になっているという。また、全数45回転で製盤していることも、見逃すことはできない。

どんなマスター音源を用いているかは、何よりも大切なところであろう。Pure LPでは、同社所蔵の最高品位アナログ・マスターテープが使用され、マスタリングも元のクオリティを損なうことが一切ない、オリジナルに忠実な表現を一貫して追求しているという。

忘れもしない、本シリーズが初めて世に出た2012年は、アナログの注目度が低く、そろそろ再評価の機運が生じ始めた頃ではなかったか。当時の発売は、その大きな起爆剤になったのではないか。

100% Pure LPのロゴマーク

声の生々しさと抑揚に思わず鳥肌が立つ

そんなシリーズに、17タイトルの新譜が断続的に登場した。今回は、そのうち4タイトルをオリジナル盤と聴き比べる機会を設けていただき、原宿のユニバーサル本社スタジオへ赴いた。

エンジニアの吉野謙志氏(中央)とプロデューサーの塩川直樹氏(右)に解説をもらいながら比較試聴を行った炭山アキラ氏(左)

プロデューサーの塩川直樹さんとマスタリングエンジニア吉野謙志さんにお話を伺いながら、貴重なオリジナル盤、Pure LPの順に聴いていく。

最初に聴いたのは、ジョージ・ハリソンの『オール・シングス・マスト・パス』だ。オリジナル盤は、アコースティックでどこか素朴な風合いを感じさせる音の傾向で、聞けば英国のオリジというではないか。一聴するとナローだが、声やギターの質感が実にいい感じだ。

ジョージ・ハリソン『オール・シングス・マスト・パス』

続いてPure LPを聴くと、ジョージの声の生々しさと抑揚に思わず鳥肌が立つ。ドラムスやギターもクリアで、一音一語に込められた情感が耳へ飛び込んでくる。いや、確かにオーディオ的にも極めて高音質・高品位だが、そんなことよりまずジョージと本作のファンにこの表現を聴いてもらいたい。

次は『リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』だ。こちらも英国の貴重なオリジナル盤から針を落とすと、33回転でもアコギなど、素晴らしい風合いだ。声は若干くすむように感じるが、控えめな英国流の佇まいとも感じられる。

ジョージ・ハリソン『リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』

PureLPの方は、アコギがよりスッキリと伸び、こちらの方が新鮮な音にも聴こえる。しかし、それが何かを付加して出来上がった人工的な音ではなく、マスターテープへ収められていた音のケバがそのまま音溝へ宿った。そんな印象だ。ジョージの声はゾクッとするような質感を伝え、とてもよく伸びる。

3作目は長年の愛聴盤『クラウド・ナイン』。こちらは欧オリジナルの盤をまず聴いた。シングルヒットを遂げた「セット・オン・ユー」を聴いたが、自宅で聴く音と比べてオリジナルLPはやや奥床しい質感を聴かせる。これはこれでいい味わいと言える。

ジョージ・ハリスン『クラウド・ナイン』 

Pure LPは思わず「こうこなくちゃ!」と膝を打った。愛聴するCD盤より遥かに夾雑物がなく、心臓を直撃するような歌と演奏が、耳へスルリと入ってくる。

もう1曲、A1「クラウド・ナイン」も聴かせてもらったが、やはりオリジナルはしっとりと穏やかで、それでいながらある種の風格を感じさせる。超オンの声が彫像のような彫りの深さを聴かせ、ゾクッとした。

Pure LPでは、さらにその端正さが際立ち、音がよく伸び飛んでくる。CDや配信ではなかなか味わうことのできない、最上のアナログのみが持つ心臓直撃のサウンド、といって間違いないだろう。

邦楽では、オフコースのベスト盤が2タイトルあるのだが、その中から今回は『SELECTION 1973-78』を聴いた。まだJ-POPという言葉はなく、彼らが「ニューミュージックの旗手」と呼ばれていた頃のヒット集成だ。大ヒット曲「眠れぬ夜」をオリジナル盤で聴くと、アコースティックな質感で収められているバックの演奏に対して、小田和正の声はやや人工的な印象が付きまとう。個人的に、当時のレコードでは、小田の声がよくこういう質感で入っていたような印象もある。

オフコース『SELECTION 1973-78』

それがPure LPでは、バックもスケール違いだが、何よりヴォーカルの質感が細やかで実体感に富み、後のスーパーヒットメーカー時代に比べるとやや細身だが、むしろ素直さという意味では当時の方が優れていたのではないかと感じる。

塩川氏によると、このトラックはベスト盤用ではなく、シングル盤用のマスターテープから改めて採ったという。それもこれほどの音質差に影響しているのではないか、そう感じさせる風合いの違いだった。

同じアルバムからもう1曲、『秋の気配』も聴いた。こちらはオリジナルでも声の質感は自然で、アコースティックのツインギターも生々しい。意外なくらいダイナミックレンジが取られている印象だ。

Pure LPでは、さらに伸び伸びと歌い上げられ、ツインのアコギは何と左が音色に若干の渋みを漂い、右は輝かしく伸びる、という質感の差がくっきりと聴こえてくるではないか。こちらはオリジナルと同じベスト盤のマスターで切られているそうだから、純粋にPure LPのこだわりが結晶した結果と言い切って間違いないだろう。

今年のPure LPは、他にもRCサクセションをはじめとするJ-POP、オスカー・ピーターソンに小野リサといった、多士済々のアルバムが揃っている。過去の新譜レビューの欄でも取り上げられているので、ぜひ参照してみてほしい。

マスター素材の良さを引き出す text by 岩井 喬

ダイアナ・クラールは、USマスターテープからのフラットトランスファー・96kHz/24bitデータを基にカッティングされ、同レートで配信されているリマスター音源よりもダイナミックレンジが広く、個々の楽器の細部がナチュラルに収められている印象だ。高純度を追求した製造方法により、このマスター素材の良さをストレートに引き出してくれる。

ダイアナ・クラール『ザ・ルック・オブ・ラヴ』

リマスターによる輪郭の明瞭さ、高音圧な点はストリーミングが優位だ。しかしヴォーカルの詰まりのない伸びやかさ、リヴァーブ階調の細やかさ。そして弾力良く密度の濃いリズムとレイヤー感を素直に感じられる、奥行きあるストリングスの有機的なハーモニー、その柔らかな音色はPure LPでないと味わえない。

オスカー・ピーターソン・トリオは、同時期にデジタルファイル化したものをストリーミング、Pure LPともにマスターとしているようで、音圧感も近い。楽器の質感や厚み、それぞれのパートの分離感、余韻のクリアさという観点ではPure LPの方が優位で、透明感良く生々しく立体的に音像を捉えている。

オスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』

ピアノの純度の良さ、シンバルの清々しい余韻、ウッドベースの跳ね良くスピーディーな指使いもリアルで没入感が高い。ナチュラルなボディの厚みを感じるアナログらしさと、デジタルファイルならではの鮮度感がバランス良く同居したサウンドだ。

切なさと色気が心を揺さぶるテレサ・テン text by 林 正儀

久々の100% Pure LPの復活を喜びたい。テレサ・テンのアナログ盤は中古市場でも価格が高騰しており、手に入れるのも大変な状況になっている。そんな中、今回のシリーズはどんな魅力があるのか。

『償還』『酒醉的探戈』『オリジナル・ベスト・ヒット+2』の3枚から、好みの曲を選んで聴こう。

テレサ・テン『オリジナル・ベスト・ヒット +2』

テレサの声には透明さと艶があり、優しさ、潤い、温もりが感じられる。それが100% Pure LPによって、音溝の情報がより正確かつ克明に引き出された。音が次々に彫り起こされ、表情の変化やダイナミックな抑揚、息使いまで数段リアルになった印象だ。

あのシルキーヴォイスに、切なさとしっとりとした色気が加わり、心を揺さぶられた。往年のファンも、100% Pure LPで蘇るテレサ・テンの歌声にきっと感激するだろう。

この高音質を体験できるなら、オリジナル盤を無理に手に入れる必要はあるのかと、つい疑問に感じてしまうし、オリジナル盤を所有している方であっても、この100% Pure LPはぜひ手に取ってほしいと思わせてくれた。それくらい、声の存在感と音楽の情感が鮮明に伝わってきた。

テレサ・テンの歌を知る人には、聴き慣れた名曲の中にも新たな表情をきっと見つけてもらえるはずだ。

テレサ・テン『償還』

テレサ・テン『酒醉的探戈』

発売中・今後発売予定の「100% Pure LP」作品

サディスティック・ミカ・バンド『サディスティック・ミカ・バンド』/『黒船』
各12,100円(税込)
テレサ・テン『華麗なる熱唱《中国語》/《中国語�U》』
各14,300円(税込)
RCサクセション『カバーズ』
11,000円(税込)
THE TIMERS『THE TIMERS』
11,000円(税込)
小野リサ『音楽の旅』
11,000円(税込)
中原めいこ『2時までのシンデレラ』
11,000円(税込)
大橋純子『MAGICAL 大橋純子の世界III』
11,000円(税込)
間宮貴子『LOVE TRIP』
11,000円(税込)
オフコース『SELECTION 1978-81』
11,000円(税込)

(提供:ユニバーサル ミュージック)


本記事は『季刊・analog vol.93』からの転載です

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