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PR「制作者の意図をどこまでも汲み取り、素直かつ正確に再生してくれる」

デノンのアナログプレーヤー「DP-3000NE」がレコードの“プロ”から評価される理由。井筒香奈江の最新LPをエンジニアと聴く

公開日 2025/06/20 06:30 筑井真奈
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創業110年を超える“音”のブランド、デノン。日本のオーディオ産業の黎明期から、放送局や音楽制作スタジオなどでも愛用され、長い信頼を集めてきた。そんなデノンの「DP-3000NE」は、約50年前、アナログ全盛時代に発売された銘機「DP-3000」の名を継ぐ最新アナログプレーヤー。「アナロググランプリ2024」のゴールドアワードにも輝くなど、発売以来ロングセラーを続けている21世紀の定番機である。

DENON アナログプレーヤー「DP-3000NE」(385,000円/税込)。カートリッジは「DL-103」(53,900円/税込)

この夏、オーディオクイーンとして知られる井筒香奈江の最新レコード『窓の向こうに & Another Answer』が発売される。エンジニアは名匠・高田英男、カッティングエンジニアは北村勝敏。そしてレコードプレスは、40年ぶりにプレスを再始動させたメモリーテック社。メモリーテック社は高音質UHQCDでも知られる、まさに“高音質最強チーム”の強力タッグである。

井筒香奈江の最新アルバム『窓の向こうに & Another Answer』のジャケット(左)

音楽制作者、そしてレコードのプロフェッショナルにとって、デノンのアナログプレーヤー「DP-3000NE」はどのように聴こえるのか、井筒さんの自宅にDP-3000NEを持ち込み、高田英男さんと一緒に出来上がったばかりの「テストプレス盤」を聴いてみた。

井筒香奈江さんの自宅に「DP-3000NE」を持ち込み、テストプレス盤を試聴した!

オーディオにはインテリアとしての美しさも大切

井筒さんとデノンのアナログプレーヤー、最初の出会いは約10年前のこと。「2014年に、『時のまにまに』で初めてレコードをリリースしました。IからIIIまでの作品から選りすぐったベスト盤と、IVの全曲を収録したものです。その時はまだ、今ほどレコードブームとは言われていなかったですが、じわじわと盛り上がり始めていたタイミングだったように思います。レコードを出すにあたって、自宅にも何かプレーヤーがあった方がいいな、と思って、横浜の量販店で新古品2万円程度のプレーヤーを購入しました」

そのプレーヤーは5年ほど使用したのちに、現在は別のプレーヤーにグレードアップ。もともと使っていたデノンのプレーヤーはレコードを始めたい、という友人に譲ったそうで、「DP-3000NE」は久しぶりのデノンとの再会になる。

「私にとってオーディオは、音も大切ですが何よりインテリアとして美しいものであって欲しい、と思っています。その意味でもこのデノンのプレーヤー、高級感があってとても素敵です。ウッドの分厚いキャビネットも、まさに本格派!という重厚感を感じさせてくれます」(井筒)

「重厚感のある、本格派のアナログプレーヤーですね」と井筒さんも大注目

見た目は井筒さん的にも合格点、それでは肝心の音はどうだろう? メモリーテック社から送られてきた最新アルバムのテストプレスを早速再生してみた。レーベル面には4月23日と、プレスされた日付も記載される。カートリッジはデノン定番中の定番「DL-103」、アンプはトライオードの真空管アンプ「Ruby」である。

メモリーテックのテストプレス盤

A面1曲目の「さよならの向う側」を再生してみると、「すごく優しい、柔らかい音が出ていますね!」と井筒さんも驚きの表情。「ずっと聴いていたくなるような、まったく疲れない音です。私はきつい、刺すような感じの音が苦手なのですが、それとは真逆の、とても丸くて温かな音になっていると感じます」、とファーストインプレッション。

続けて、「そうそう、このプレーヤーを聴いていて、制作時のそれはそれは大変だったことを思い出しました。この曲は中目黒にある東京音楽大学のスタジオで収録したのですが、高田さんから紹介いただいたスタジオで、私も初めて使うスタジオでした。ですが、そこにあったマイクの音がなかなか硬くて。歌いにくく、仕上がりの音にもなかなか納得のいくものができませんでした。高田さんとも相談しながら、少しでもいい音を録るために色々試行錯誤をしたんですね。実はミックス・マスタリングも一度やり直しています。その苦労をものすごくリアルに思い出しました、と同時に、私が嫌だな、と思っていた硬さのようなものがなくて、とても自然に耳に入ってきたのが嬉しいです」と笑顔を見せる。

 

録音したコンソールの音の違いも表現してくれる

一緒に聴いていた高田さんも、「素直な音がするプレーヤーですね」と太鼓判を押す。「この録音は、“まったく音を作っていない”、井筒さんの素のままを収録しよう、と考えて作ったものです。改めて聴き返してみると、アナログ盤らしい中低域の生々しさを感じます。真空管アンプの力もあると思いますが、しっかりしてとても深い音がしています」。

録音とマスタリングを担当した高田英男さんもデノンのプレーヤーに高評価

今回のレコード『窓の向こうに & Another Answer』は、A面が2024年に発売されたCD『窓の向こうに〜Beyond The Window〜』、B面に2021年に発売となった『Another Answer』から、ダイレクトカッティングの別テイク「以外」の3曲、それにA面に入りきらなかった井筒さんのオリジナルナンバー「どこか〜窓の向こうに〜」が収録されている。

録音エンジニアはすべて高田さんが担当しているが、B面を聴き始めた高田さんはハッと顔をあげ、「卓の違いが音としてしっかり伝わってきます!」と興奮した声を上げる。「A面はAPIのアナログ卓Legacy AXS、B面はニーヴのVR-The Legendですが、2曲目の「竹田の子守唄」だけはソリッド・ステート・ロジック社のSSL-9000J。このコンソールの音の違いが、そのまんま正確に再生されているように感じます」とエンジニアの観点から驚きの分析をしてくれる。

『窓の向こうに〜Beyond The Window〜』を収録した中目黒にある東京音楽大学のスタジオ

「どこか〜窓の向こうに〜」を除くB面3曲はすべてキング関口台スタジオだが、「竹田の子守唄」はスタジオ1、「Sing Sing Sing」と「輝く街(G.&Vl. ver.)」はスタジオ2と別のスタジオで収録されている。「B面1曲目の「Sing Sing Sing」はニーヴの卓で、中域や音の立ち上がりを意識して、よりグルーヴを引き出せるように録音しました。その結果、私が音楽制作で一番大切にしている中低域がしっかりして、心地よいサウンドになっているように感じます。A面は先ほども言った通り“素”のままの音ですね。何も足さない、何も引かない。井筒さんの歌心を引き出すことに専念しました。この違いをプレーヤーがしっかり出せるのはすごいことです。驚きました」(高田)

A面とB面、確かにその微妙な空気感の違いがしっかり伝わってくる。A面のほうがあえていえばよりストレート、B面の方がより抱き込まれるような濃密さを感じる。音を脚色しない、素直なプレーヤーだからこそ、録音スタジオの空気がそのままパッキングされて、時間を超えて改めて流れ出してきたようだ。

 

井筒さんの歌心をしっかり引き出してくれる

さらに今回は特別に、メモリーテックが特別にテスト盤として用意してくれた45回転のシングル盤(発売の予定は現状なし)も再生。A面の「Sing Sing Sing」を聴いた井筒さんは、「全然違う!勢いを感じます!」と大感激。45回転盤だからか、はたまたシングル盤だからか。音の太さ、深いコク、言葉を選ばずいえば“ドス”と“パンチ”が効いたサウンドへと変貌する。

今回特別にテストプレスしてもらった7インチ盤も試聴。A面は「Sing Sing Sing」、B面は「竹田の子守唄」を収録している

「オーディオって面白いわ…」と井筒さんは改めて嘆息する。「33回転盤を聴いていた時は、柔らかくてゆったりとしたサウンドと感じましたが、このシングル盤からはがつんとくるパワー感も感じます。ここまで違うなんて、すごく面白いし素敵ですね。でも硬さやきつさは全くない。デノンのアナログプレーヤーの懐の深さを改めて感じました」。

高田さんも、「録音してマスターを作る立場からすると、デノンのプレーヤーはマスターの音のニュアンスを正直に出してくれる、すごくありがたい存在です。攻めた音のときはそれをしっかり出してくれるし、できるだけ素直に、というところはちゃんとその通りに描いてくれる。私の役割はマスターを作るところまでで、カッティングは北村さんの経験、盤を作るところはメモリーテックさんの尽力もあってこそですが、ここまで井筒さんの歌心を引き出してくれて、本当に嬉しく思います」とエンジニア冥利に尽きる様子。

音楽制作サイドも納得の、デノンのアナログプレーヤー

実は「DP-3000NE」は、メモリーテック社のレコード検聴用のスタジオにも活用されているのだという。制作者の意図をどこまでも汲み取り、素直かつ正確に再生してくれる。それが、「DP-3000NE」が“プロ”からも高い信頼を得ている大きな理由であることを改めて教えてくれた。

(提供:ディーアンドエムホールディングス)

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