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PRラックスマンのトランスポートでテスト

ネットワーク強化が音質に効く!サエクのフラグシップLANケーブルでQobuzがワンランクグレードアップ!

公開日 2025/03/11 06:30 山之内 正
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近年トーンアームやカートリッジなど、アナログ関連製品で気を吐くサエクだが、こと “ケーブル開発” においても長年の研究成果を誇り、非常に信頼される日本ブランドである。同社から、LANケーブルのトップグレードとなる「STRATOSPHERE SLA-1」が登場。テレガートナー製の堅牢なコネクタに、PC-Triple C/EX導体の採用と万全の布陣。そのサウンドクオリティを、Qobuz再生を通じてレポートしよう。

SAEC LANケーブル「STRATOSPHERE SLA-1」
(価格:132,000円/1.0m、154,000円/1.5m、176,000円/2.0m)

素材や構造に吟味を重ねて生まれたフラグシップLANケーブル

“STRATOSPHERE(ストラトスフィア)” は、コストの制約に縛られずに性能を追求したサエクの最上位ケーブルのみに与えられる名称である。ラインケーブルやスピーカーケーブルで確固たる地位を獲得し、USBケーブルも高い評価を得ているが、LANケーブルはまだ完成していなかった。素材や構造の吟味を重ね、昨秋に満を持して登場したSTRATOSPHERE初のLANケーブル「SLA-1」を試聴した。

ネットワーク接続の安定度を高め、データの高精度な伝送を実現するためには速度とノイズ対策が肝要であり、導体の吟味はもちろんのこと、グラウンドを介したノイズの伝播も回避しなければならない。導体については銀と銅の長所を兼ね備える複合導体のPC-Triple C/EXを採用して高速伝送を確保。ハイエンドケーブルらしく絶縁材にはフッ素樹脂を用いている。

シールドは片側のみ接続し、ネットワークプレーヤーなど再生端末側は金属製コネクタへの接続を遮断した。この対策によって、システム環境によって生じうるグランドループ由来の音質劣化を回避している。

テレガートナー製のコネクターには接続方向の指示はないが、今回はケーブルに印刷されている製品名の頭文字「S」側にルーター、反対側にネットワークトランスポート(ラックスマン「NT-07」)を接続して試聴。音源はいずれもQobuzのストリーミングで再生した。

響きの精妙な変化を明瞭に聴き取れる

加藤訓子によるライヒ「ピアノ・フェイズ」(ヴィブラフォン版)は、同じ音列を2人の奏者がテンポを微妙にずらしながら演奏する過程で生まれるリズムやハーモニーの変化が聴きどころ。多重録音ながら刻々と変化する響きの色合いをとらえた優秀録音で、比較用の一般的なLANケーブルよりもSLA-1の方が響きの精妙な変化を明瞭に聴き取ることができる。微妙な変化に集中していると時間を忘れてしまう。

ニッキ・パロット「アイ・キャン・シー・クリアリー・ナウ」でもケーブルのアップグレード効果はとてもわかりやすかった。ギターのアタックがよりクリアになって音圧が大きく感じるし、サックスも半歩ぐらい前に出る力強さがある。伴奏楽器がそこまでエネルギッシュになると肝心のヴォーカルをマスクしてしまうのではと心配になるが、ヴォーカルも同じように浸透力が強く、耳にまっすぐ届く。同じ音量設定なのに一段階パワーが上がった印象だ。

A.カントロフが弾くブラームスのピアノソナタでは、木質の柔らかい音色を忠実に引き出すことと、直接音と間接音のブレンド具合やステージ上方に浮かぶ余韻の柔らかい感触など、空間情報の再現性が優れていることに気付く。録音の良いハイレゾ音源をQobuzで聴くと、楽器との距離感やステージの遠近感がリアルに感じられることが多いのだが、その微小情報を正確に再現するためにはLANケーブルをはじめとするネットワーク環境のチューニングが欠かせないのだ。

Qobuzが始動してネットオーディオ機器が活況を呈すなか、SLA-1は絶好のタイミングで登場した。安価なストリーマーが買えそうな価格ではあるが、再生環境のチューニングやノイズ対策に敏感に反応するプレーヤーやミュージックサーバーを使っているなら導入を検討する意味は大きい。


(提供:サエクコマース)

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