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PR最強の中核シリーズへ

DALI、"コア化"で注目集める「RUBIKORE」レビュー。「オーディオ銘機賞」審査委員9人が高評価した理由とは?

ダリ、新時代のベンチマークとなる中核シリーズ「RUBIKORE(ルビコア)」が注目を集めている。最高峰の「KORE」やこれに続く「EPIKORE 11」の技術を従来の「RUBICON(ルビコン)」に注入してコア化。ダリ史上最強の中核シリーズが誕生している。本年度の「オーディオ銘機賞2025」でも非常に高い評価を獲得。実力モデルばかりが選ばれる“銀賞”を受賞。本項では大橋伸太郎氏をはじめとする9人の審査委員がその魅力を語っている。

写真左からブックシェルフ型の「RUBKORE2」、フロア型の「RUBIKORE6」、フロア型の「RUBIKORE8」。カラーはブラック、マルーン、ウォルナット、 グロスホワイトを用意

大橋伸太郎 / いかにレスポンス強くドライバーを動かすか


ダリの中核ラインのルビコンに記念碑的大作コアの技術が注入され、ルビコアに生まれ変わった。ドライバーの形式やエンクロージャー構造等、多くをルビコンから引き継ぐが、ダリによればいかにレスポンス速くドライバーを動かすか、トランジェントを確保してクラリティ(色付きのない清澄な音)を得るかに注力した開発であるという。

ウーファーは、振動板の5カ所に花弁のような凹凸の幾何学パターンがつくクラリティ・コーン。フロアスタンディング型ではウーファーとミッドに採用した。ダリのウーファーはミッドレンジの帯域までカバーしクロスオーバーが2KHz以上と高く、分割共振が始まる部分の変形具合をコントロールする狙いで採用した。そのままだとコーンが同心円状に撓っていくが、幾何学パターンでボイスコイルから変形の開始点までの距離がランダムになりフラットな周波数特性に近づく。ウーファー磁気回路ではマグネットが一枚後ろに追加になった。これで駆動力が10%上がったという。

トゥイーターは、磁性流体の封入をやめたことが注目される。これまでボイスコイルがはまっているギャップに磁性流体を封入して放熱を担っていたが、磁性流体は粘性を持つためスピーカーの駆動を若干だがダンプしてしまう。今回の改良の狙いの一つにトランジェントの向上がありそれを優先しての廃止である。放熱に関しては音の減衰と放熱機能をもたせたリアチャンバーで対処した。ネットワークにコアで開発したクロスオーバー・インダクターを3ウェイで採用した。従来ネットワーク回路のチョークコイルのコア部分は鉄粉を固めたアイアンコアだったが、電流の流れないSMCコアを使うと渦電流が発生せず高調波歪が下がる。実際に測定すると10dB以上下がったという。

トゥイーターとミッドレンジ回路のコンデンサーをムンドルフのフィルムキャパシター・エムキャップにグレードを上げた。エンクロージャーのダクトが従来はストレートパイプだったが、今回中央をしぼった形状に代わった。ルビコアのエアノイズを測定でルビコンと比較すると6dB低いという。

初見は川崎市のD&Mの試聴室だったが、オーディオ銘機賞受賞後にも本誌試聴室でルビコアの2モデルに再見した。まず「ルビコア8」。シューベルトのピアノソナタは、厚い低音の支えの上に音楽を構築する。フォルテピアノの生動感豊かな響きとエネルギーのうねり、多彩な音色にハイブリッド・トゥイーターの広帯域が十分感知される。ウィーンフィルのブルックナー第七交響曲でもハイブリッド・トゥイーターの解像力の威力を実感。第一楽章のクレッシェンドで総奏が高潮していっても歪みが生じて質感が失われることがなく、金管、木管等が本来の音色を保つ。第二楽章アダージョの悠然と歩む美しさ、主題旋律の穏やかな歌はミッドが独立した構成の強み。エンクロージャーの性能も高い。聴き手をおおらかに包み込み、抱擁する響きの一体感はダリの真骨頂。

ダリは欧州製ながらジャズ再生が得意だ。クールでいて豊かな熱量を内側に感じさせる。ボブ・ジェームス・トリオのジャズは太く逞しく、音がスピーカーに貼りつかずこもらず躍動的できれがよい。ピアノのアタックがなまらず浸透力豊か。トランジェント重視が頷ける。ベースソロが前にぐっとせりだし低音がずっしり沈む。胴鳴りも豊麗だ。シーネ・エイのヴォーカルをフィーチャーしたビッグバンドジャズは、低音楽器の刻む重いビートから低音の支えこそ音楽の生命という考えが伝わってきた。

次にコンパクトブックシェルフ「ルビコア2」。トゥイーターはハイブリッドでなくソフトドームのみの構成。クラリティ・コーンを搭載するが、ネットワークのクロスオーバー・インダクターは不採用。ボブ・ジェームス・トリオは小空間に最適のウェルバランス。「ルビコア8」の後ではさすがに低音はローエンドまで伸びず薄いが、演奏に密度とエネルギーの凝集感がありバランスがいい。ベースソロは克明で明るい音色。胴鳴りも出るあたりエンクロージャーのチューニングの巧さを感じる。ルビコアには、ハイブリッド・トゥイーター搭載のオンウォール、センタースピーカーも用意されシアターへの発展性も考慮されている。オールラウンダーでクラスを超えた大きな表現力。オーディオ銘機賞での銀賞受賞は当然の栄誉であろう。

石田善之 / 温度感とエネルギーを全身に感じる


デンマークには数多くのスピーカーブランドやユニットメーカーがありレベルの高い製品が作り出されている。それと同時に洗練されたシンプルなデザインと高度な技術に裏打ちされた木工家具も世界に知られる。RUBIKOREは大別して3ウーファーのモデルと手頃なサイズのフロア型、ブックシェルフ型に注目したい。

「音を楽しむものではなく音楽を楽しむもの」という信念のもと、特に注目したいのがリボン・トィーターを内蔵するRUBIKORE6である。ジャズ・ヴォーカルにしても歌曲にしても人の声が持つしなやかさや温度感があり、身体全体で歌い上げるエネルギーを感じる。さらにオンマイク収録の語りかけるようなヴォーカルであっても、決してサ行が強調されたり刺激的になったりすることなく見事に歌い上げる様子を伝える。低域から高域までよく統一がとれていて硬さや刺激は全くと言って良いほどない。バスレフでありながらも低域に膨らみを持たせたり曖昧さを感じさせたりすることなくS/N感の良さが表現されるのは、しっかりとしたエンクロージャーならではの賜物と言えそうである。

石原 俊 / どんな環境でも「いい音」が引き出せる


オーディオ機器の音の素性を探るとき、その生産台数は重要な手がかりになる。というのも、音作りの方向性は市場の占有率によって大きく左右されるからである。たくさん売れるモデルは万人ウケを狙い、少ししか売れないものは買ってくれる個性的なユーザーの好みに合わせる。当然といえば当然だ。DALIはオーディオ王国デンマークが誇る世界有数スピーカーメーカーである。

RUBIKOREは映像にも対応した同社の中核をなす人気シリーズで生産台数は多い。誰にでも好かれる音質を有していることは、極端にいえば、聴かなくても分かる。CPが高いことも自明の理だ。そんなRUBIKOREシリーズであるから、順当なエレクトロニクスなら環境さえ大外ししなければ上手に鳴らせる可能性はかなり高いとみていい。ではエキセントリックなものや、順当であってもエキセントリックな使い方をしたものならどうかというと、そういった奇抜な組み合わせからも魅力的でユニークな「いい音」を引き出してしまうのがポピュラーなスピーカーの仁徳だと筆者は考える。このあたりにもオーディオ趣味の味わい深さがある。

井上千岳 / これからを牽引する期待の中核機


新たなフラッグシップKOREのテクノロジーを、中核シリーズRUBICONに応用したのがこのRUBIKOREシリーズである。質が高く聴きやすい本格派というイメージがあるDALIだが、40周年というエポックを経て新たな飛躍への意欲が強く感じられる気がする。KOREテクノロジーはその表れだが、EPIKOREは1機種だけだったのに対しRUBIKORはシリーズでの展開である。

気合いの入り方が違う。RUBIKOREの何がこれまでと違うのかと言うとスピードと情報量なのだが、その両方が向上したことで彫りとダイナミズムの深さ、密度の高さが大幅に高まった。それはブックシェルフから大型フロア型まで共通の特質で、現代的な再現性の最先端へ躍り出たという印象が強い。気合いと言ったのはそこで、ただ聴きやすいだけではない本物のハイエンドへと大きく脱皮したのを感じるのである。だからRUBIKOREは40年の集大成であるだけでなく、むしろこれからを牽引する中核機として大いに実力を発揮するだろう。期待のニューシリーズである。

生形三郎 / 音楽再生の旨味を極めたシリーズ


大幅な刷新を遂げた新シリーズRUBIKOREは、透度の高いリファレンス・サウンドを達成した。フェロフルイド(磁性流体)を無くした29mm径シルクドーム・トゥイーターによる俊敏かつしなやかな高域表現と、馬蹄形の凹みが設けられた新形状のウッドファイバー・クラリティー・コーンによるナチュラルながらもコクのある低域表現が実に快いのだ。

また、感心させられるのが、コンティニュアス・フレアーポートによるバスレフ低音のクセの無さだ。ストレート管ながらも開口部にラッパ状のカーブを設けた恩恵も大きいのか、バスレフ独特の共振、つまりバスレフ臭さがかなり抑えられており、音楽再生を阻害しないところに設計の巧みさを感じた。そもそもダリは、30kHz以上の音は音楽再生を阻害するため不要と謳っているが、超高域にしろ低音領域にしろ、いかに無駄な音を出さずに、そして、何が音楽再生にとって旨味と成り得るのかを熟知しているからこそ、今回のRUKIKOREシリーズのサウンドが実現したのだと改めて体感した。

小林 貢 / 全帯域にわたり音場空間の透明度が増大


ダリのミドルレンジに加わったRUBIKOREシリーズは2022年発表のフラッシップ機 KOREの設計思想を継承したという点で注目すべき製品群といえる。同社のアイデンティティとなったウッドファーバー・コーンの中低域ユニットは独自形状の型押しを施したクラリティコーンを採用したことで分割振動を抑制している。またドーム型トウィーターの冷却用磁性流体を廃除されている。

さらにネットワーク回路に定評あるムンドルフ製のコンデンサーを投入するなどしてパフォーマンスを向上させている。それらが功を奏し全帯域にわたり解像度が高まり音場空間の透明度も増している。ジャズ系ソフトのウッドベースのピチカート音やキックドラムのアタックがスピーディに立ち上がり制動も効いている。またピアノのアドリブ・フレーズは抑揚感があり生き生きとした表情となる。クラシック系オーケストラなどは豊かな響きが得られ、シンプルな録音方式のソフトでは鮮度の高まりが感じられる。弦楽器群の響きは適度な艶やかさがあり弱音部では背景の静寂感がリアルに表現する。

角田郁雄 / 明確に進化した高域と空間の描写力


DALIのスピーカーと言えば、ドーム型トゥイーターとウッドファイバーコーン・ウーファの高密度で中低域に厚みのあるナチュラルなサウンドが印象的だ。決して、高域を強調することなく、落ち着きのある音質が魅力的で、決して再生ジャンルを選ぶわけではないが、ヴォーカル曲やクラシックが魅力的に感じていた。

一方で、このRUBIKOREシリーズを初めて聴いた時、その伝統の音は引き継がれているものの、大きな変化を感じとった。それはコンパクトなRUBIKORE2を聴いても感じる。高域の伸びに優れ、空間描写性と高い解像度を身につけているのだ。左右一点から音が放射されている感覚になり、このサイズとは思えない立体空間を再現してくる。まさにハイグレードなスタジオ・モニターのような印象を受けた。それがRUBIKORE 6、8へとサイズアップした音を聴くと、当然中低域のスケールが増えてくる。しかし低域に透明感があり、リニアに伸びているように感じた。さらに気づいたことは、従来にも増して弱音から強音までのダイナミックレンジが拡張し、反応の良いスピード感を憶えた。明らかな進化が見てとれるのだ。

福田雅光 / 音の自然さと分解力の高さが強化


デンマークのスピーカー、ダリのRUBICONシリーズが10年ぶりに一新された。ウーファーにはすべて165mm口径のSMCウッド・ファイバー・コーンを採用。その数の違いがグレードの差にもなっている。シリーズ全体でトゥイーターの磁性流体を廃止したり、ネットワークのコンデンサーをムンドルフ製に強化している。RUBIKON2はブックシェルフ型の中核2ウェイで中低音を厚く構成しバランスよく安定。SN比が高く中高音のトランジェントに優れクセが少ない。低音はダンピングを効かせ強力に引き締まり、サウンド全体に勢いがあるのが魅力だ。このサイズを超えた芳醇な表現力が光る。

RUBIKON6は抜けのよさがあり、高域特性に優れた特色がある。低音の分解力も高くスケールを豊かに表現する。SN比が高く素晴らしく、音場空間の広がりを楽しませる。全体に音の自然さと分解力の高さが特徴である。RUBICON8は最高級モデルになる。下位よりもウーファーが一本追加されて出力音圧レベルは90dBを超える。音の性質は6の延長にあり、音質の違いに差が出て各帯域のクオリティが高くなっているのがポイントになる。低音のダンピングは豊かさを感じさせ余裕が伝わってくる。

山之内 正 / 上位グレードへの移行を確実に果たした


フラッグシップのKOREで弾みがついたのか、その後のダリの旺盛な開発意欲は注目に値するものがある。上位機種の技術を下位モデルに投入するといっても機種ごとに最適化が必要なので簡単ではないのだが、RUBIKOREの場合はその最適化がシリーズすべての機種で確実な成果を上げているように思える。

特にフロア型のRUBIKORE6とRUBIKORE8は従来のRUBIKONから上位グレードへの移行を果たした感があり、音楽の堅固な骨格と繊細なディテール表現がバランスよく両立し、ジャンルを問わず振幅が非常に大きな表現をこなす。なかでもRUBIKORE8はこれ以上規模の大きなスピーカーは必要ないのではと思わせるほどダイナミックレンジに余裕があり、ブレのないベースや重量感が際立つピアノのサウンドは聴き応え十分だ。ブックシェルフ型のRUBIKORE2はミッドウーファーとトゥイーターのつながりがなめらかで声や旋律楽器の音色に統一感があり、ヴォーカルや室内楽では演奏の一体感に強く引き込まれる。


「RUBIKORE2」528,000円(ペア/税込) ⚫️周波数特性(±3dB):50〜26kHz⚫️感度(2.83V/1m):89dB⚫️公称インピーダンス:4Ω⚫️推奨アンプ出力:40~150W⚫️クロスオーバー:3,100Hz⚫️トゥイーター:29mmソフト・ドーム⚫️ミッドレンジ/ウーファー:165o/SMCウッド・ファイバー・コーン×1 ⚫️サイズ:195W×335D×350Hmm(スパイク含まず)⚫️質量:9.5kg


「RUBIKORE6」1,056,000円(ペア/税込) ⚫️周波数特性(±3dB):38〜34kHz⚫️感度(2.83V/1m):88.5dB⚫️公称インピーダンス:4Ω⚫️推奨アンプ出力:40~200W⚫️クロスオーバー:800 / 2,600 / 14,000Hz⚫️トゥイーター:29mmソフト・ドーム/10×45oリボン(14,000Hz以上)⚫️ミッドレンジ/ウーファー:165o/SMCウッド・ファイバー・コーン×2 ⚫️サイズ:200W×380D×990Hmm(スパイク含まず)⚫️質量:23kg


「RUBIKORE8」1,408,000円(ペア/税込) ⚫️周波数特性(±3dB):38〜34kHz⚫️感度(2.83V/1m):90.5dB⚫️公称インピーダンス:4Ω⚫️推奨アンプ出力:40~250W⚫️クロスオーバー:500 / 800 / 2,400 / 14,000Hz ⚫️トゥイーター:29mmソフト・ドーム/10×45oリボン(14,000Hz以上)⚫️ミッドレンジ/ウーファー:165o/SMCウッド・ファイバー・コーン×3⚫️サイズ:220W×444D×1,100Hmm(スパイク含まず)⚫️質量:30kg●取り扱い:(株)ディーアンドエムホールディングス


本記事は『季刊・Audio Accessory vol.194』からの転載です
(提供:株式会社ディーアンドエムホールディングス)

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