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PR気鋭のヘッドホンブランドのデビュー作。楽器の運指を軽やかに描写する

Layfic Toneのクリエイター向けヘッドホン「WIRED」は明快なサウンドが魅力!録音現場での使用感もチェック

公開日 2024/04/25 06:30 生形三郎
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日本発の気鋭のヘッドホンブランドLayfic Tone、ついにデビュー



日本発の新たなヘッドホンブランド「Layfic Tone」から第一弾製品が登場した。その名も、「The Industrial-ist WIRED」。クリエイターに向けたフラグシップ密閉型モニターヘッドホンとして開発されたモデルで、スタジオワークやDJ・動画編集・PA用途など、プロに求められる品質を追求した入魂のモデルという。

LayficTone 密閉型ヘッドホン「The Industrial-ist WIRED」(価格:169,800円/税込)

ブランドの設立元は株式会社ユー・エス・イーで、同社はおもにAV機器をはじめ、自動車やオートバイなどに搭載されるマイコン制御システムの組み込みソフトウェア開発を主軸とする企業のようだ。

この「The Industrial-ist WIRED」を皮切りに、年内には本機のワイヤレスモデルとなる「The Industrial-ist BROADBAND」のリリースも予定しているという。

同一のデザインを採用したワイヤレスモデル「Broadband」も年内発売で準備中!こちらはより“リスニングユース”を意識したチューニングがなされているという

カーボンハウジングで軽量としなやかさを両立する



「The Industrial-ist WIRED」は、「高解像度、高繊細、正確な定位と現代的な低音を内包したフラット音質の実現」が追求されたモデルで、独自の専用開発カスタム50mmドライバーが搭載された密閉型のヘッドホンだ。

ブルーの色も鮮やかな独自開発の50mmドライバーを搭載

ハウジングにはカーボンが使用されるほか、工業用アルミやエンジニアリングプラスチックを使用して共振対策や耐久性を追求している。本体重量は385g。着脱可能なアウターケーブルと内部配線材には、オーディオみじんこ社製のディップフォーミングOFC線を採用し、解像力を確保しつつも長時間モニタリングでも疲れにくい出音が実現できるよう設計されている。

アウターケーブルは両出しで、コネクタはフルテック製、線材はオーディオみじんこのオリジナルOFCを採用している

4本編み込みでノイズ対策と取り回しのしやすさを両立している

イヤーパッドは、オリジナル品に加えて、定評あるDekoni Audio社製イヤーパッドも付属し、再生質感をコントロール可能。ほかに、ブランドカラーであるブルーのファブリック調セミハードケースが付属する。

イヤーパッドは2種類付属。左が標準ハイブリッドモデル、右がDekoni Audio社のシープレザー素材モデル。⾳質の微調整に活⽤できる

ブルーのセミハードケースも頑丈で持ち運びにも便利

実機を手に取ってみると実感するが、カーボンや樹脂系パーツのハウジングが印象的で、それもあって、この手の大口径ドライバー採用ヘッドホンとしては、しなやかかかつ比較的軽量なハンドリングが実現されている。

音源の内容を丁寧に解剖する明快なサウンド



試聴は、ヘッドホンアンプ及びDACにRMEのリファレンスクラスの「ADI-2 Pro FS R Black Edition」を使用し、付属ケーブルを用いたシングルエンド接続で実施した。

ハイレゾ音源を再生すると、一聴してクリアな音が耳に飛び込んでくる。歌モノでは、ボーカルやコーラス、それに付帯するエコーやリヴァーブが大変明瞭だ。歌唱はもちろんのこと、様々な楽器の運指が軽やかに解けて描写されるサウンドが快い。低音は、重たくならず厚くならずで、量感こそタイトな方向性ではあるが、それだけに、音楽の、演奏の動きが良く見えてくるのである。

先述した同社の製品紹介に「現代的な低音」というワードが含まれていたが、まさにそれを実感させてくれるサウンドである。とりわけ、エレクトリックベースや打ち込みのキックドラムなどの電子的な低音楽器から、オーケストラソースのコントラバスや大太鼓などのアコースティックな低音まで、明快なアタック再現によって俊敏に低域が立ち上がるさまが印象的だ。

ソースを問わず音源の内容が丁寧に解剖される明快なサウンドで、クリエイターユースを想定して開発されたというのも頷ける。

朗読音声の録音にて、モニタリングヘッドホンとして使用



そこで、より実際的な使用シーンでの検証のために、筆者が教鞭を執る洗足学園音楽大学のスタジオ収録でも試用してみた。この日は株式会社GakkenとのAudible向けオーディオブック作品の収録があり、朗読音声のモニタリング用ヘッドホンとして使用した。接続的には、SSL製アナログミキサー「AWS Delta 924」のヘッドホン出力に直結して、Neumannのマイク「U-87Ai」から拾った声をモニタリングしている。

生形氏が講師を勤める洗足学園音楽大学での「audible」収録にも使用してみた

聴いてみると、声の質感はもちろんのこと、収録スタジオ内のアンビエンスまでが手に取るように分かる。発音のディテールやブレス、そして、間のとり方などが細やかに伝わってきて、今回のような、朗読物の内容をチェックするようなモニタリング用途にも大変使い勝手が良いと感じる。

そして何よりも特筆すべきは、そのスムーズで快適な聴き心地である。モニタリングの内容が手に取るように分かる解像力を備えていながら、その音の質感は実に耳当たりが良いのだ。

スタジオでの収録は長時間に渡る緊張を強いられる。その環境において良質なヘッドホンは非常に役に立つ

筆者の場合、スタジオモニタースピーカーやスタジオモニターヘッドホンは、長時間の作業になってくると耳への負担も大きく感じ、判断の精度を高く維持するためにも適宜休憩を挟みたくなってくるのだが、このヘッドホンは、質の良いリスニングヘッドホンのような上質な聴き心地が実現されているため、大型のヘッドホンを装着しているなりの頭部への負担感は最低限生じるものの、音質によって耳が疲労する負担は極めて少ないように感じられた。

また、使用者の頭部形状にもよるだろうが、「可動域の広いフルレンジヒンジ」を採用しているためか独特のソフトな装着感があり、密閉型としては遮音性は若干控えめに感じたが、その分、側圧による圧迫を感じにくいと言える。

可動域の広い「フルレンジヒンジ」はユーザーの頭の形状に応じて柔軟に形を変えてくれる

最後に、付属していたイヤーパッドも試してみた。同社によると、標準装備のオリジナルイヤーパッドでは「ラージモニタースピーカー」に近い鳴り方へ、付属するDekoni Audio社製パッドでは「ニアフィールドスピーカー」に近い特性へと変化するとあるが、確かにDekoni Audioのパッドに変更すると、よりドライで直接的な音を聴くことができた。

音の余韻がよりタイトになり、ディテールが聴き取りやすいので、より厳格なノイズや演奏チェック用途に向いていると言えそうだ。好みや用途によってパッドで微調整ができることも、クリエイターユースとして歓迎されるべきことだろう。

録音現場のモニタリングヘッドホンとしても有用だと改めて実感

気鋭のヘッドホンブランド「Layfic Tone」の初号機「The Industrial-ist WIRED」は、精密明快な描写力と、上質でスムーズな聴き心地を備えた密閉型ヘッドホンであるとレポートしたい。今後発売予定のワイヤレスモデル「The Industrial-ist BROADBAND」の登場も楽しみだ。

(提供:株式会社ユー・エス・イー)

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