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【特別企画】XLRの空き端子に挿入するアクセサリーもテスト

素材や構造を再検討したAETのフラグシップ電源ケーブル「EVIDENCE NI AC S」。躍動的なリズムの動きを生む

公開日 2023/08/31 06:30 福田雅光/井上千岳
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AETのフラグシップ電源ケーブル「EVIDENCE NI AC S」と、空き端子に挿入するノイズイジェクター「EVO-NE0510NI」。いずれもAETがさまざまな素材を追求する中で生まれてきたアクセサリーである。その効果を検証しよう。

AET 電源ケーブル「EVIDENCE NI AC」(価格:462,000円/1.2m/以下税込)

スピードのあるレスポンスを実現する電源ケーブル(福田)



AETはケーブルの振動対策とノイズ抑制を徹底するため、新たに「NIインシュレーションロッド」方式を開発し、それを採用するEVIDENCEシリーズの最高級電源ケーブル「EVIDENCE NI AC S」を製品化した。この製品は改良したアコースティック・コンディショナーも採用し、ケーブル部はハイセパレーション構造として設計を一新。導体は、極太の最大径6スケアを投入したプレミアム・バージン無酸素銅(OFC)によるPVC導体である。

AETには3層円筒構造という高度な導体構造を採用した例があるが、今回はシンプルな集合撚りを採用。そして振動防止対策を外側からではなく、ケーブル構造体として配置し、振動の発生源の近くで作用させたのが、NIインシュレーションロッドである。

また高周波ノイズ(電磁波)を遮蔽するカプラーも大型化され、高い防止性能を実現する。さらに、ハイセパレーション構造も新規に採用されている。その詳細は不明だが、インシュレーションロッドと絶縁素材、静電気ノイズ対策に使う素材の研究がポイントになっていると解釈できる。

シールドは高周波ノイズ対応のアルミリボンシールド。絶縁体やシース材には非鉛難燃耐熱素材が使われている。端子にはPSE-GRプラグ、電磁波対策特殊プラグを採用する。

試聴は本製品をパワーアンプに使用して実施。すると、高密度でよくコントロールされた音質であることを理解できるが、これはAETの真価が出ていないと考え、24時間そのまま接続しておいて翌日試聴した。

お、これは格段に良くなった。スカッと抜けきり、音像は浮き出し、冴えた中高音である。音の陰影コントラストもずっと高く描かれ、躍動的なリズムの動きが明確である。初期状態では固まっていた音が、スピードのあるレスポンスで音離れにも活気が出ている。また、高域特性の繊細性も格段に進化している。クオリティやリアリティにおいては十分に納得できる性能である。

ノイズイジェクター -音がきめ細かく緻密に変化-(井上)



ノイズイジェクターの「EVO-NE0510NI」は、オーディオ機器の空き端子に挿して電気的ノイズを解消するアクセサリーである。XLRバランスのオスとメスの両タイプが用意されているので、入出力どちらにでも使用することができる。

AET ノイズイジェクター「EVO-NE0510NI-XM」(左・XLRオス)「EVO-NE0510NI-XF」(XLRメス・右) いずれも14,300円

同社が開発し使用している帯電防止材は単に電気を帯びないというだけでなく、空気中に放電を行う性質があるという。これを利用してアンプやCDプレーヤーなどの空き端子に接続し、カール状に形成された端末から機器内部の電気ノイズを放電させるというものである。また素材にはカーボンを使用せず、ケーブル起因のノイズ発生を抑えている。

CDプレーヤーに接続するとノイズ抑制の効果か、音がきめ細かく緻密になったのが感じられる。バロックは弦楽器やオーボエが瑞々しく瀟洒な感触を高め、室内楽もヴァイオリンの艶やかさやチェロの粘りが強まって存在感が明瞭なものになる。ピアノも静かな鳴り方で周囲のざわつきが収まり、弱音部のタッチがとりわけ新鮮だ。コーラスは余韻に汚れがなく、響きが悠々と広がっている。

(提供:AET)

本記事は『季刊・オーディオアクセサリー186号』からの転載です。

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