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20万以下小型スピーカーを一斉視聴<前編>

ハイコスパな最新ブックシェルフスピーカー、10万円未満の注目5機種を検証!

2023/05/04 峯岸良行
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最新ブックシェルフスピーカー10モデルを一斉試聴!



ハイレゾやストリーミングサービスの発展により、小型スピーカーに求められる性能も非常に高いものになってきている。コンパクトでも音質に妥協のない製品も増えてきたが、そのサウンドキャラクターはユーザーの細かなニーズに答えるべく、ブランドや製品ごとに、個性豊かで豊富なバリエーション展開を見せている。

そんな小型スピーカーの中でも、人気の10機種を音元出版試聴室に集めて一気に試聴するのが今回の企画だ。10万円未満の〈前編〉と10万円 - 20万円以下の〈後編〉に分けてお届けしよう。前編で取り上げる「10万円未満」の試聴モデルは以下の通り。


試聴の前に、各スピーカーの音圧を測定しボリュームを調整



試聴の前に、リスニングポジションに設置したEARTHWORKS「M50」測定マイクで各スピーカーの再生音圧レベルが等しくなるように調整。 音質については主に楽器の音色の再現性と、楽器間のバランスの再現性を中心に、各音源の特徴的な要素が適切に再生されているか評価を行った。

音元出版の試聴室にて、10モデルを集めて一斉試聴

測定用マイクで試聴位置での音圧が等しくなるように調整して試聴

使用機器はMacBook Pro M1とThunderboltで接続した、Focusrite「Red4 Pre」オーディオインターフェースをDAコンバーターとして使用。Accuphaseのプリアンプ「C-3900」を経由し、パワーアンプにAccuphase「A-75」を組み合わせている。

峯岸さんが普段使用しているプロ用オーディオインターフェイスFocusrite「Red4 Pre」をDAコンバーターとして使用

■試聴楽曲
試聴音源は、TIDALのストリーミング音源を用いて以下の4曲を活用した。
1.アンネ・ゾフィー・ムター 『シューベルト:ピアノ五重奏曲《ます》』 より 「第1楽章: アレグロ・ヴィヴァーチェ」
2.パトリス・ジェグ 『If It Ain't Love』 より 「Jersey Bounce」(feat. The Clayton-Hamilton Jazz Orchestra)
3.エリック・クラプトン 『461 Ocean Boulevard』 より 「Motherless Children」
4.MAISONdes 「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ」feat. 花譜, ツミキ

クラシック、ジャズ、ロックに加え最新のEDMで聴き比べ

POLK AUDIO「Monitor XT15」 - ハイスピードなサウンドを豪快に楽しめる -



1972年にアメリカのボルチモアで創業したPOLK AUDIO(ポーク・オーディオ)。若い大学生たちが、自分たちにとって必要なオーディオを作ろう!という思いから立ち上げたブランドで、比較的安い価格帯のモデルを中心にラインナップしている。

POLK AUDIO「XT15」 27,500円(ペア・税込)

Monitor XT15は、ハイレゾ対応の2.5cmテリレン・ドーム・トゥイーター、および13cmウーファーを搭載。出力音圧レベルは86dB、クロスオーバー周波数は2,200Hzとなる。設置場所を選ばないコンパクトなエンクロージャーと、ルックスの良いウェーブガイド付きユニットがシンプルかつスタイリッシュだ。

「XT15」の背面。丸型のバスレフポートを搭載

テリレン・ドームトゥイーターで40kHzまでをカバー

まずはクラシック音楽の再生からチェック。アンネ・ゾフィ・ムターのバイオリンの音色はエキサイター的にやや派手めな方向に。演奏のダイナミクスは小音量でも分かりやすい。続いて70年代ロック音楽はどうか。エリック・クラプトン「Motherless Children」の再生では、ストリーミングのハイレゾ音源の再生でも、アナログ感ある倍音でその音楽の時代感やロックの雰囲気を楽しめた。

MAISONdes「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ」も、ハイスピードなサウンドをより派手に、豪快に楽しめる。ソースの時代感に関わらず統一感ある音色が得られるため、テレビとの組み合わせでホームシアター入門にも良い。実売価格で2万円強と驚異的なコストパフォーマンスのスピーカーといえる。

KLIPSCH「R40M」 - 倍音豊かで小音量でも楽しめる -



KLIPSCH(クリプシュ)は、アメリカ・インディアナポリスのブランドで、1946年創業の老舗スピーカーブランド。KLIPSCHホーンと呼ばれる独特のホーントゥイーターが特徴。現在国内では、比較的現代的なラインの「REFERENCEシリーズ」と「REFERENCE PREMIEREシリーズ」、クラシカルな外観の「HERITAGEシリーズ」を展開している。

KLIPSCH「R-40M」 オープン価格、ティアック直販ストアにて47,300円(ペア・税込)

「R40M」は、2.54cmアルミニウムLTSトゥイーター+TRACTRIXホーンに、10cmスパンコッパー熱成形結晶性ポリマーウーファーを搭載。出力音圧レベルは91dB。クロスオーバー周波数は1,770Hzだ。

「R-40M」の背面。こちらも丸型のバスレフポートを搭載

Tractrixホーンの曲線構造で音の広がりをサポートする

こちらもアンネ・ゾフィ・ムターのバイオリンの音色は演奏のダイナミクスに応じてやや派手めな方向、音場感はやや広めだ。パトリス・ジェグ「Jersey Bounce」も、ボーカルやブラスなど全体的に倍音豊かで、小音量でも楽しめる音色。 MAISONdes「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ」は中高域の密度を増したような、より鮮烈な印象で楽しめる。

コンプレッションドライバーを用いたホーン型とはまた違った音色の雰囲気で、均一に広がる響きの豊かな音楽性の高い再生音が特徴。コンパクトで見た目もスタイリッシュなため、デザインが重要なリビングルームホームシアター入門にも良いスピーカーだ。

PARADIGM「MONITOR SE ATOM」 - 広い音場感と情報量を感じ取れる -



PARADIGM(パラダイム)は、1982年にカナダ・トロントで創業したスピーカーブランドである。同社は、MONITORシリーズといったエントリークラスのスピーカーから、Premierシリーズ、Founderシリーズ、数百万円クラスのPersonaシリーズまで幅広いラインナップを揃えている。カナダの国立大学と共同研究を行うなど非常に近代的なスピーカー作りを行っており、デザインも美しい穴あき位相調整レンズ(PPA)が特徴。

PARADIGM「MONITOR SE ATOM」 55,000円(ペア・税込)。写真のグロス・ホワイトの他マット・ブラックも用意

「MONITOR SE ATOM」は同社の最も安い価格のスピーカーで、14cmポリプロピレンコーンウーファーと2.5cm X-PALメタルドームトゥイーター、位相調整レンズPPAによって、振動板の形状による位相干渉を改善することができるという。出力音圧レベルは89dB。クロスオーバー周波数は2,300Hzだ。

「MONITOR SE ATOM」の背面。バスレフポートは背面上部に位置する

PPAレンズで指向性をコントロール。美しいデザインもパラダイムの特徴のひとつ

アンネ・ゾフィ・ムターの試聴の第一印象は、情報量が多く、広い音場感と楽器それぞれのディテール感を豊かに感じ取れること。各楽器が配置のとおりに定位し、音色の違いを聴き取れる。パトリス・ジェグ「Jersey Bounce」も、ヴォーカルの基音と倍音がバランスよく再生され、エリック・クラプトンはアナログテープ録音の情報量や質感も余すところなく感じることができる。

MAISONdes「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ」も、非常に高密度に情報を詰め込んだ現代的な楽曲アレンジとミキシングを正確に聴き取れる。花譜のヴォーカルの特徴的な質感や技巧の再現力には、PPAの音響的な効果を実感した。軸外特性が良好なため、環境を問わずセッティングがしやすいスピーカーだ。

MONITOR AUDIO「Bronze 50-6G」 - スイートスポットが広く豊な再生音 -



MONITOR AUDIO(モニターオーディオ)は、1972年に創業したイギリス発祥のオーディオメーカー。Platinum、Silver、Bronze、Gold、Monitorシリーズと価格帯ごとに幅広いラインナップを揃え、それぞれ世代交代を続けている。1991年には、世界初となるセラミック・アルミニウム・ウーファーを発表し、「メタルユニットのパイオニア」として知られる。

MONITOR AUDIO「Bronze 50-6G」 80,300円(ペア・税込)。ブラック、グレー、ホワイト、ウォルナットの4色展開

Bronze 50-6Gは、Bronzeシリーズの6世代目(Generation)に当たる。14cm C-CAMウーファーと2.5cmゴールドドームC-CAMトゥイーターを搭載し、トゥイーターにはUD(Uniform Dispersion)と呼ばれるウェーブガイドを採用する。出力音圧レベルは85dB。クロスオーバー周波数は2,500Hzだ。

「Bronze 50-6G」の背面。バイワイヤリングに対応、壁掛け用のネジ穴も搭載

ゴールドのセラミック&アルミドームに、放射特性をコントロールするUDウェーブガイドを設ける

「ます」の試聴では、チェロやビオラのといった各楽器の配置がふさわしく定位し、音場感的にはやや広め。パトリス・ジェグ「Jersey Bounce」はボーカルの基音がしっかりしていて、存在感が大きめの音像で楽しめる。エリック・クラプトン「Motherless Children」はドラムの力強さ、とくにスネアの太さが印象的。

MAISONdes「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ」の試聴中に分かったことは、本機の「スウィートスポット」の広さ。角度がある位置でもトーンバランスが変化せず、聴いていて肩が凝らないリスニングポジションの柔軟性がある。MONITOR AUDIOというブランド名の先入観と違って音楽的で豊かな再生音の印象だ。

ELAC「DBR 62」 - 部屋を満たすワイドな音場の包まれ感 -



ELAC(エラック)は1926年創業、オーディオ製品を手掛け始めたのは1945年からというドイツの老舗メーカー。アナログプレーヤーやアンプなども手掛ける総合オーディオメーカーであるが、特にスピーカーの技術力には定評があり、特にJETトゥイーターなど、独自の技術を駆使した製品が多い。

ELAC「DBR 62」 99,000円(ペア・税込)

Debut Referenceシリーズは、エントリー・ラインであるアンドリュー・ジョーンズ プロデュースによるDebutシリーズのスペシャル・バージョン。新開発ウェーブガイドを採用し、歪みのない放射特性に優れたクリアな高音域を再現するという。出力音圧レベルは86dB。クロスオーバー周波数は2,200Hzだ。

「DBR 62」の背面。バスレフポートは前面に横長形状で搭載される

木目の美しいウォールナットキャビネットにブラックのバッフルを組み合わせ

一聴して感じたことは、部屋を満たすワイドな音場の包まれ感が得られることだ。アンネ・ゾフィー・ムター「ます」 の試聴では、リバーブ音がより豊かに感じとれて、包まれ感があり奥行きも広め。バイオリンは演奏の強弱に応じた音色に艶感がある。小音量でも演奏の強弱を効かせて中域を再生する。トゥイーターの歪み感が非常に少ないので、高級感がある再生音である。

パトリス・ジェグはイントロのピアノにしっかりとしたアタック感がある。またヴォーカルの基音と倍音もバランスよく再生、エリック・クラプトンのイントロはギターとスネアの太さが心地よい。MAISONdes「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ」は、スピーカーの外側まで広がるステレオイメージの広さが、現代的な音楽表現にも合っている。

後編に続く>>>(※後日公開予定)
後編のスピーカーは TECHNICS「SB-C600」、JBL「L52 Classic」、SONUS FABER「LUMINA I」、FOCAL「ARIA 906」、KEF「LS50 Meta」の5モデルが登場予定!



峯岸良行・プロフィール
prime sound studio form所属のマスタリング・ミックスエンジニア。名古屋芸術大学サウンドメディア・コンポジションコース非常勤講師。作曲家としてLittle Glee Monsterや桜坂46などのアイドルグループの作品に携わるほか、トヨタ、三菱、JT、任天堂などの広告音楽も手がけ、イマーシブオーディオにもいち早く取り組んできた。「ヨーロピアンカーオーディオコンテスト」ほか、全国のカーオーディオコンテストの審査員も務めている。

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