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ライバル機ひしめく中の「現在地」を探る

値上げした「AirPods Pro」は今も“買い”か、新型を待つべきか。発売3年目の実力レビュー

2022/07/02 風間雄介
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音質



イヤホンを購入するにあたり、音質を最も重視するという方も多いはずだ。それでは、ほかの2万円から3万円台のイヤホンと比べて、AirPods Proの音質はどうなのか。

これはもう、高級価格帯の製品であれば、AirPods Proより音が悪いモデルの方が少なくなってきたと言ってよいだろう。特にAndroidと接続し、aptX HDやaptX Adaptive、LDACなどのコーデックで接続できる製品は、コーデックの時点で上回っている。AACまでの対応にとどまっているAirPods Proにとっては分が悪い。

だが、音質差をコーデックのせいだけにするわけにもいかない。同じAACでiPhoneと接続して比べても、たとえばソニーWF-1000XM4とAirPods Proの音質を比べると、WF-1000XM4の圧勝だ。平板で素朴なAirPods Proに比べて、1000XM4はきらびやかで、音楽をより楽しく聴かせてくれる。一音一音のディテール表現力が段違いなのだ。

音質を比較すると、厳密に比べるまでもなくWF-1000XM4に軍配が上がる

他社製イヤホンで高音質を謳うものも、テイストの違いはあれど、良くも悪くも誇張のないAirPods Proと比べ、そのメーカーなりの味付けをしているモデルが多い印象だ。

ではAirPods Proの音質では耐えられないかというと、「それほど悪いものでもない」という書き方になる。私は通勤時、もっと音の良いイヤホンもバッグに入っているのに、AirPods Proを使うことがよくある。音質をそれほどシビアに聞き込まないのであれば、AirPods Proでも不満なく使えるからだ。ただし、38,800円という高価格モデルになってしまった今、「それほど悪いものでもない」だけではコストパフォーマンスが低いと言わざるを得ない。

AirPods Proの内部構造

総論



ここまで、AirPods Proの、2022年夏における実力を見てきた。いまだに高い実力を示し、最高水準の実力を誇る項目もあれば、この2年半で明確に追いつかれた、あるいは追い抜かれた項目も多い。

ただ、こうして各項目を子細に見ていくと、その総合力の高さは、いまだに最新のライバルモデルにひけをとっていないことに驚かされた。空間オーディオ+ダイナミックヘッドトラッキングや、アップル製品との高度な統合など、AirPods Proならではの付加価値も魅力的だ。

たとえば音質の高さやノイキャン性能の高さを最優先で選ぶのなら、ほかの製品をオススメする。だが上述のとおり、AirPods Proの音質もノイキャンも、依然として「悪くはない」水準にある。iPhoneやMacのユーザーで、全体的にバランスの取れた製品を探しているのなら、おすすめできる。

ただし何度も書いているように、38,800円という価格を出すほどの価値があるかは、じっくり判断してみて頂きたい。以前のように実勢価格で2万円台後半であれば、十分オススメできる製品なのだが…。

次期モデルの噂も聞こえてきているが、その発売時点でも円安が続いていれば、次期モデルは4万円台、などという事態も十分に考えられる。だが新モデルには、3年ぶんの進化が一気に詰め込まれることになるはずだ。

現行AirPods Proは販売数量が多いモデルだけに、中古なら安く手に入れることもできそうだ。いろいろな購入方法を探したり、あるいは他社モデルとも比べながら、ベストな選択をしてほしい。


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