HOME > レビュー > SSD搭載のDELA “戦略プライス”オーディオサーバー「N100」。演奏の高揚感をリアルに引き出す

【特別企画】オーディオ銘機賞2022 銅賞受賞

SSD搭載のDELA “戦略プライス”オーディオサーバー「N100」。演奏の高揚感をリアルに引き出す

公開日 2021/12/09 06:35 山之内 正
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
オーディオグレードのミュージックサーバーDELAのエントリーモデル「N100」に、2TB容量のSSDモデルが登場した。市場を牽引するメーカーとしての姿勢も高く評価され、20万円以下と価格を抑えた大容量SSDモデルは、オーディオ銘機賞2022にて銅賞に輝いた。

DELA「N100-S20-J」(2TB SSD搭載モデル)価格:198,000円/税込

■価格を抑えながらも、上位機種に肉薄する性能と機能を獲得

ネットワークオーディオの進化におけるDELA貢献の大きさをあらためて説明する必要はないだろう。オーディオ限定モデルを創出するためのブランドを立ち上げてから早くも7年経つが、その間にミュージックライブラリ(オーディオ用NAS)のラインアップ拡大を続けつつ、光ディスクドライブ、ネットワークスイッチ(ハブ)など広範囲なジャンルにオーディオ仕様の製品を相次いで投入してきた。

NASは当初パソコン周辺機器として軽視されがちだったが、DELAブランドが価値の再創造に取り組んでからは脇役、準主役と次第にステージが上がり、いまや主役級のポジションで市場を牽引する立場に成長した。快進撃と言っていいだろう。

そんなDELAブランドから2021年に登場した新製品のなかで、スリムサイズのミュージックライブラリとして人気上昇中の「N100-S20-J」がオーディオ銘機賞2022の銅賞を受賞した。審査過程で本機に話題が集中したのは、2TBのSSDを搭載しながら税込20万円未満という低価格に抑えたことと、コンパクトな筐体ながら上位機種に肉薄する性能と機能を獲得したことが評価されたからだ。

ブラック仕上げもラインアップ。価格はシルバーと同じ198,000円/税込

2016年に登場したN100の第一世代機も人気の高いロングセラーモデルだが、HDD容量が1TBにとどまることから、ハイレゾのコアなリスナーの一部から不満の声が上がっていたという。その声に応える形で容量を2TBに倍増させると同時に、ストレージをカスタム設計のSSDに変更したのが最新世代の「N100-S20-J」である。仕様変更の中身を考えれば実質的な値下げと言える価格設定も評判を呼び、初代機を上回るヒットをうかがう存在になった。

上位機種と比べても見劣りしない機能の充実ぶりも注目に値する。根強いCDリッピングのニーズを視野に入れてUSB接続の光ディスクドライブとの連携を強化したり、USB-DACと組み合わせたファイル再生のサポートを充実させるなど、現代のリスナーの期待に応えてアップデートを重ねている。

USB typeAとLAN端子を2系統ずつ備えた背面パネル。USB2.0ポートはUSB-DACやCDドライブとの接続に対応。typeA端子はフロントにも装備し、USBメモリ再生も行える

システムソフトウェアのアップデート(V4.30)ではRoon ready準拠となっており、さらに用途の広がりが予定されている(※取材時には最新バージョンが間に合わず、V4.20で試聴)。

■演奏の高揚感がダイレクトに伝わる鮮度の高さ

銘機賞の受賞を機に「N100-S20-J」の再生音をあらためて確認しておこう。リニューアルされたKLIMAX DSM/3と接続し、試聴を行った。グレードが釣り合わないと思われるかもしれないが、果たしてどんな結果になるだろう。

用意したハイレゾ音源のなかでは、G.ヴァリッシュ率いるピアノ五重奏で聴いたモーツァルトの「ピアノ協奏曲(室内楽版)」(FLAC 192kHz/24bit)と、9月にデビューしたARK BRASSの金管十重奏『イージー・ウィナーズ〜PJBEへのオマージュ』(FLAC 96kHz/24bit)の鮮度の高さが際立っていた。前者は澄み切った音場のなかに弦楽器とピアノが立体的に並び、演奏の推進力を忠実に再現。後者は鋭いアタックと柔らかい響きが両立し、演奏の高揚感がダイレクトに伝わる。異次元の表現力を獲得したKLIMAX DSM/3の真価をリアルに引き出すことができた。

●12月の最新アップデートでRoon Readyにも対応

N100シリーズも上位機種と同様にシステムソフトウェアを更新することで新たな機能を獲得し、その時点での最新仕様に無料でアップデートすることができる。最新バージョンの4.30に更新することで実現する機能や不具合の修正は多岐にわたるが、なかでもUSB接続時にRoon Readyとして動作させるモードが選べるようになったことが重要だ。

Roonコアから再生端末としてN100を選ぶことで、シンプルかつ高音質のハイレゾ再生環境が実現する。そのほか、N100にCDドライブを接続している状態で、リッピングしたデータを外部ストレージに直接保存できる機能も利便性が高そうだ。さらに、背面のUSB2.0端子に接続したHDDを自動的に外部ドライブとして認識させる機能も使い勝手の向上につながる。接続するたびにドライブの用途を選ぶ手間が省けるため、外部ドライブをつねに同じ用途で使う場合にお薦めできる。

●USB DAC接続機能:Roon Ready モードが選択可能に/操作性の向上
●外部ディスク接続(Expansion)機能:N10、N100でも背面USBポートの一方を起動時や挿入時、自動的に外部ディスクとして認識
●CDドライブ接続機能:外部ディスクへ直接CDリッピングが可能に

また、今回のアップデートと同時に、上位機の「N10」向けには純正のハイグレードDCケーブル「OP-N10」が発売されている。現在、発売記念キャンペーンとして「N10」購入者は期間限定で「OP-N10」がプレゼントされる。

(提供:メルコシンクレッツ)

本記事は『季刊・Audio Accessory vol.183』からの転載です。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク