【特別企画】良質なハイレゾファイルを所有したい愛好家に

SSD搭載の入門オーディオサーバー決定版! DELA「N100」は上位機種に迫るこなれた表現力

  • Twitter
  • FaceBook
石原 俊
2021年08月11日
■2TBのSSDを搭載するエントリー向けオーディオサーバー

DELAがオーディオ専用ストレージ「N100」のSSDバージョンを発売した。概要を見ていこう。N100はトップモデルの「N10」の廉価版という位置づけにある。筐体はN10と同じハーフサイズ。ただしN10には同じサイズの電源部があるのに対して、N100の電源部はスイッチング式のACアダプターだ。

「N100-S20-J」(2TBSSD搭載モデル)価格は198,000円(税込) 

リリース当初のN100には1TB容量のHDDが搭載されていた。一方SSDバージョンの容量は2TB。心臓部のSSDは新開発の鋼板製リジッド・マウンターに取りつけられている。入出力端子はUSB typeA×3(リア×2、フロント×1)、LAN×2。OSはDELAシステムソフトウェア4.1で、ネットワークプレーヤーとのLAN接続はもとより、DACとUSB接続しても使用することができる。

SSDは1.6mm厚の鋼板製リジッド・マウンターにがっちりと支えられている

SSDを搭載したモデルも安くなったものだと思う。DELAの第一世代のモデルでSSD方式機の「N1Z」には64万円のプライスタグがつけられていた。そのサウンドはいまでも強く印象に残っている。極めて高級な音であった。その反面、ある種の生硬さが感じられなくもなかった。この生硬さはコンピュータメーカー的な発想の名残と読み替えることもできる。HDD方式機ではないので、磁気ディスクの回転に起因するスイング感がないことも生硬さにつながっていたのではなかろうか。

USB typeAとLAN端子を2系統ずつ備えた背面パネル。USB2.0ポートはUSB-DACやUSB CDドライブ接続に対応。USB typeA端子はフロントにも装備し、USBメモリからの再生など便利に行える

■情報量は多いが楽曲や演奏に介入せず、システム構築には好ましい

そんなことを思いつつ、拙宅での試聴に臨んだのだが、音が鳴った瞬間、生硬さは微塵もないことに気づいた。こなれた音なのである。オーディオ機器らしい音なのである。聴感上のSN比が高く、滑らかで、耳あたりが良い。情報量はあくまでも多く、音場は五月の青空のように広く、音像はキリリと引き締まっている。音像の質感にこれといった特徴はない。HDD方式機のようなスイング感もない。楽曲・演奏への介入感も絶無である。しかしながら、これらはケーブルも含むDAC以降の機器の選択でどうにでもなる事柄であって、むしろ無味無臭であるほうが、システムを構築・運用する上で好ましいといえよう。

筆者宅にてDELA「N100」のSSDモデルからMYTEK DIGITALのUSB-DAC「Brooklyn DAC」へUSB接続して再生した

大橋祐子トリオによるジャズ(WAV 44.1kHz/16bit)は、拙宅のN10と区別がつかないくらい情報量が多い。音量を上げても演奏が混濁することはなく、リズムセクションもブラスセクションも高解像度で描かれる。トランペットやサックスの音像の質感にはクセがなく、音程が聴き取りやすい。ジャズの管楽器奏者は意識的に音程を外すことがままあるので、ジャズ再生において音程の聴き取りやすさは重要だ。

N10とのわずかに違うところは音像の重量感だ。N10で再生するジャズは音像にある種の重苦しさがあるのに対して、本機にはそれがなく、音像が軽々と空中に浮遊しているように感じられる。

ヴォーカル(FLAC 48kHz/24bit)はサッパリとした印象だ。ただし、拙システムは薄口に味つけしてあるからそう感じるわけであって、ビンテージのスピーカーやアンプを使用すれば濃い口に味つけすることもできるだろう。その場合でも、音程と発音の聴き取りやすさは後退しないと思う。

バッティストーニ指揮による「チャイコフスキー:悲愴」(FLAC 96kHz/24bit)はスケール感に圧倒された。音量を上げて瞑目すれば、コンサートホールのかぶりつきの席でフルオーケストラを聴いているかのようなイリュージョンが味わえる。大音量でもディテールがつぶれることはなく、聴衆には知らされない隠し味的な部分も容易に聴き取れる。

河村尚子のベートーヴェンのピアノソナタ「悲愴」(DSD 2.8MHz)では恐るべきリアリズム表現が発揮された。ピアニストの指によってピアノの88本のハンマーが生き物のように動き、弦を叩いているさまが見えるような気がするのだ。そして、精妙なダイナミクス変化によって、ピアニストがピアノを介して「歌って」いるのが分かる。

■アクセサリーに対する反応も素直

ここでN100の空きLAN端子にアコースティックリバイブのLANターミネーター「RLT-1」を、空きUSB端子にSPECのUSBノイズリムーバー「AC-USB1」を挿した。すると「悲愴」第1楽章第2主題の手の交差が「見える」ようになった。本機のアクセサリーに対する本機の反応は素直だといえるだろう。

空きUSBポートにSPECの「AC-USB1」、LANポートにアコースティック・リヴァイブの「RLT-1」を挿入

世の趨勢はストリーミングのようだが、良質なハイレゾ音楽ファイルを所有したいという愛好家の心が変わることはないであろう。その希望を、この価格で叶えてくれる本機の登場は誠に喜ばしい。

(提供:メルコシンクレッツ)

本記事は『Audio Accessory vol.181』からの転載です

関連リンク

関連記事