HOME > レビュー > 次期Android“Oreo”が対応「LDAC」「aptX HD」はどのスマホで使えるようになるのか?

ソニーにもメールインタビュー

次期Android“Oreo”が対応「LDAC」「aptX HD」はどのスマホで使えるようになるのか?

2017/09/06 海上 忍
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
8月22日、Android Oがついに正式リリースされた。愛称は大方の予想どおり「Oreo」、すでに至るところで黒いクッキーを身にまとったドロイド君を見かける。しかし、オーディオファンの気になるところは"ハイレゾ相当"コーデックの扱いにあるはず。Android Oレポート2回目となる今回は、Android OにおけるLDACとaptX HDの位置付けについて解説する。


Android Oに見るLDACとaptX HDのこれから

Android OではLDACとaptX HDが使えるようになる、なぜならBeta版ではどちらも出力先の候に表示されたから……現状、これが多くのエンドユーザの認識ではないだろうか。確かに事実認識としては正しいが、やや本質を外している。

この2つのコーデックに関しては、エンコーダがAOSP(Android Open Source Project)へ寄贈された、すなわちエンコーダ部分のみオープンソース化された、と考えるのが正しい。AOSPのWEBサイトでソースコードを確認したところ、どちらのコーデックも2017年1月頃にApache License 2.0でオープンソース化されており、いまや誰でも(ライセンスの範囲内で)自由に改変および再配布が可能ということがわかる。

つまり、今後LDACとaptX HD ーー 実はaptXもあわせてオープンソース化されているのだが、ややこしくなるためaptX HDに集約して話を進める ーー に関しては、どのAndroidベンダーもコーデックとして利用できるということになる。

ここでひとつ確認しておきたいのが、LDACにせよaptX HDにせよ、エンコーダーのみがオープンソース化されたということだ。再生機器側に必要なソフトウェア(デコーダ)は引き続きプロプライエタリな技術であり、しかも多くの場合プログラマブルなチップ(SoC)に実装されているため、どのBluetooth機器でも再生できるというわけではない。ライセンス料という観点でいえば、エンコーダはオープンソース化もあり無料、デコーダーは引き続きライセンスが必要であり(契約内容は非開示なので推測だが)有料となる。

エンコーダーはオープンソース化されたが、端末側でサポートするかどうかはベンダーが決定するという点も理解しておきたい。確かにロイヤリティーは発生しないが、ベンダーがその端末をサポートするかぎりシステム(カスタマイズ版Android OS)をメンテナンスし続けなければならないため、管理コストは増える。対応するメリットがあると判断されないかぎり、ベンダーはLDAC/aptX HD対応を見送ることだろう。

実際、Android Oベータ版対象機「Nexus Player」はLDAC/aptX HDに対応していない。オーディオテクニカATH-DSR9BT(SBC/AAC/aptX/aptX HD対応機)で試したところ、SBCとAACで再生できるがaptX/aptX HDでは再生されず、開発者オプションにコーデックを手動で指定するためのオプションは存在しなかった。推測だが、Nexus Playerのベンダーは(この端末では)SBCとAACに対応していれば充分と判断したということだろう。

Nexus PlayerはLDAC/aptX HDに対応しないためか、開発者向けオプションにコーデックを選択する項目がない

端末ベンダーの判断となるが、Android OではLDAC/aptX/aptX HDで音声を出力できる(画面はNexus 7の開発者向けオプション)

次ページソニーにも聞いた。LDACはどのような場合に使えるのか

1 2 3 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク