【特別企画】完成度を高めた普及帯シリーズ

VGP批評家大賞を受賞! KEFのスピーカーシステム「Qシリーズ」を徹底分析

山之内正

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2017年07月28日
■Q350を聴く ー 反応の早さと豊かな低域再現を両立。音色の再現力も高い

まずは16.5cmのUni-Qドライバーを積む2ウェイ・ブックシェルフ型「Q350」を聴く。インピーダンス8Ωで感度は87dBというスペックを見れば鳴らしやすそうなスピーカーであることは想像できるが、実際の再生音もその期待を裏切ることがなく、控えめのボリューム位置でも活気のあるサウンドが飛び出してくる。

KEF「Q350」

音調はカラッと明るく粒立ちが鮮明、ピアノトリオではベースとドラムが強い音でリズムを刻んでもピアノの音色がくすむことがなく、一音一音を明瞭に聴き取ることができる。低音から中低音にかけて音が集中するフレーズでも3つの楽器の発音が正確に揃っているので、リズムの動きがピタリと噛み合い、演奏の推進力の強さが生々しく伝わる。

オルガン伴奏の合唱では外見とは裏腹に低音の量感が豊かで、スペックの数字よりも1オクターブ低い音域でもエネルギーが極端に落ちることがなく、足鍵盤が受け持つ低音の動きが途切れず安定した響きでコーラスを支える。その低音は振動対策が弱いスピーカーだとキャビネットの共振で低音にブレが生じやすい音域だが、本機の低音は量感の割にイメージが広がりすぎることがなく、動きが重くなる気配もない。ひと回り小さいUni-Qドライバーを採用したLS50も低音のエネルギー感には余裕があるが、Q350はウーファーのサイズが生む量感が加わるので、少なくともベースの音域で音圧不足を感じることはまずないだろう。

反応の速さと音の切れの良さをKEFの上位モデルから受け継いでいることにも注目したい。ハイレゾ音源でスティーリー・ダン『バビロン・シスターズ』を聴くと、音圧感の強いバスドラムの低音を瞬時に制動するタイトな感触があり、立ち上がりにも緩みがない。ボーカルとコーラスのセパレーションの良さ、リズムの明瞭な粒立ちなど、音源のハイレゾ化で際立つようになった特徴が鮮やかに浮かび上がってきた。

DSD録音のピアノ連弾曲を聴くと、低音と中高音2つのパート間のバランスが良いことに加え、ハーモニーがにごらず、和音の澄み切った美しさが印象的だ。リアバスレフ方式に変更することでポートノイズの影響を減らした効果だと思うが、連弾曲を2台のピアノで演奏することで明瞭な響きを目指した演奏者の意図が本機の再生音からそのまま伝わってくる。ピアニストのタッチの個性を聴き取れるのはDSD録音ならではのアドバンテージで、ペア7万円を切る廉価なスピーカーとは思えないほど音色の再現力も高い。

オーケストラのDSD録音は旋律楽器が積極的に前に出る一方、打楽器や木管が自然な距離感でスーッと後方に下がって、ステージ前後方向の深さを立体的に再現してみせた。コンパクトなブックシェルフ型スピーカーはフロア型に比べて立体的な音場を引き出しやすいのだが、本機は同軸型ならではの正確な音像定位がそれに加わるためか、余韻の伸びやかな広がりとフォーカスの良い正確な音像定位が立体感を際立たせるのだろう。

フロア型「Q750」を聴く。従来機からさらに一段上の評価を与えられる理由

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