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【連続企画】新世代ブランド「VanCryst」解剖 − AV+PC融合の架け橋となる製品を送り出す技術者に聞く

公開日 2011/06/20 09:31 海上 忍
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【目次】
第1回:「VanCryst」ブランド紹介編
第2回:「VanCryst」製品ハンドリング
第3回:「VanCryst」エンジニアに聞く


ATEN(エイテン)社が展開する注目ブランド「VanCryst(ヴァンクリスト)」の優位性、バックボーンを紹介する連続企画の最終回。今回は実際に製品開発に関わる技術者のインタビューをお届けすることにしよう。


ATENジャパン(株)取締役 技術本部長
Jovi Chan氏

ATENジャパン(株)技術本部
Gene Wu氏

蓄積したノウハウを生かし
ワールドワイドに事業展開


− VanCrystはハイクオリティAVの分野を指向した製品シリーズだそうですが、貴社はPCのフィールド、特にKVM製品で名を知られる企業です。その実績とノウハウがどのようにVanCrystシリーズに生かされてくるのでしょう?
KVM(Keyboard、Video and Mouse)
複数のコンピューターを1台の端末(一組のキーボードとマウス)で操作する措置。CPU切替器とも呼ばれる。


Jovi 弊社のKVM製品は、蓄積されたさまざまなノウハウを「ASIC」の形で搭載しています。ワールドワイドに事業を展開していますので、日本を含む世界のどの地域・どのメーカーの製品についても、発売からすぐに機器間の相性問題をチェックし、そのデータを可能なかぎり早い段階でASICに反映させることで、互換性と信頼性の高い製品を送り出すよう努力してきました。ASIC化は製品のコンパクト化と安定性・信頼性の確保、そして価格性能比の向上につながるという点で大きなメリットがあります。VanCrystシリーズは現在のところASIC化されていませんが、今後の展開としてはASIC化を進める方向にあると言っていいでしょう。
ASIC(Application Specific Integrated Circuit)
特定の用途向けに設計・製造された集積回路のこと。カスタムICとも呼ばれ、デジタル機器の性能・品質を決定付ける。


− 具体的には、どのような製品カテゴリーへの注力を計画していますか?

Jovi 弊社のKVM製品に関する実績は、おもにアナログの分野です。映像関連機器にしても、完成品メーカーとしてはアナログのほうが技術的により高い水準を求められますからね。しかしAV機器デジタル化の進展は急で、DVIやHDMIの延長器や分配器、変換器といった機器の需要が高まってきたことから、弊社でも製品化を急いでいます。KVMの分野で培ったノウハウをどのようにしてそれらデジタル機器に生かすかが、我々の目指すところです。

ATENジャパン Jovi Chan氏

どのような製品で実現するかですが、1対1以上の機器間をつなぐ映像関連機器となるでしょうか。KVM製品はすでにネットワーク対応が進展していて、実際データ転送などに用いています。それをデジタルの映像機器に生かし、他社にないクオリティを追求して行きたいと考えています。

− 異種メーカー/機器間における接続互換性の件ですが、アナログのKVM製品でそれが重要なことは理解できます。一方、HDMIなどデジタル機器の分野における互換性の問題はどのようにして起こるのでしょう?

Jovi デジタル機器の互換性の問題は、アナログ機器と大きく異なります。アナログ機器は扱うデータの質、ひいては画質として具現化しますが、デジタル機器の場合「表示されるか否か」に二極化されますからね。暗号化された信号やメーカー独自の信号、そういったデータを扱えるかどうかがポイントです。HDMIが世に出て以降、他メーカーも事情は変わらないはずですが、弊社もそのあたりについてひと通り経験しています。

その意味で、他社デジタル機器との接続に関する互換性の確保は一段落ついています。今後は互換性よりも、入力切替時のレスポンスを速めるなど、ユーザビリティの向上といった方面に開発の比重が移ると考えています。

アナログ分野で鍛えた
ノイズ除去技術を持つ


− ノイズ対策など、AV機器において重視される方面での開発スタンスはいかがでしょう。

Jovi 延長器を例にしますと、同じカテゴリー5のイーサネットケーブルを利用する延長方法でも、デジタルデータをパケット化しIPネットワーク経由で転送する方法と、従来同様アナログ式に単純に信号を転送する二通りがあります。VanCrystシリーズでは、VE800という製品で後者の方法を採用しています。

Gene 延長器にはアナログの部分もありますからね。A/D変換あるいはD/A変換する際には、KVMなどアナログの分野で鍛えられてきたノイズフィルターの技術が生かされています。

ATENジャパン Gene Wu氏

− 実際に4入力4出力のマトリックス型HDMI分配器「VM0404H」を試用したとき、ディスプレイを切り替えたあと元の状態に戻しても、接続が失われていなかったことには感心しました。

VanCrystのマトリックス型HDMI分配器「VM0404H」。AVアンプに対しての優位性も持つ

実際にハンドリングした海上氏はVanCryst製品の優位性を肌で実感

Gene 製品によっても異なりますが、VM0404Hにはエミュレーション機能が搭載されているため、他のディスプレイに出力先を切り替えても、元に戻せばそのままの状態で表示が継続されます。エミュレーション機能を持たないHDMI機器も多いので、使い勝手という点では有利だろうと思います。

エミュレーション
あるハード/ソフトを模する機能のこと。「HDMIエミュレーション」とした場合、HDMI機器の「ふり」をする機能を意味する。


− 最後に今後の予定ですが、どのような製品を計画していますか?

Gene マトリックス型HDMI分配器に関していえば、一般消費者向けには2入力/2出力と8入力/8出力の2種類を計画しています。同じVMシリーズですので、エミュレーション機能も搭載しています。消費電力についても、現在販売中の4入力/4出力のVM0404Hが最大9Wですから、HDMIパススルー機能を有したAVアンプに比べて有利でしょう。

Jovi デジタル映像機器のなかでも特に延長器については、品質面および価格性能比において弊社製品は競争力があると考えています。今後映像分野のデジタル化がますます進展する中で、弊社がKVM製品で培ったアナログ技術を生かしつつ、タッチパネルを利用した遠隔操作など新しいスタイルも模索していきたいと考えています。

【執筆者紹介】
海上 忍 Shinobu Unakami
ITジャーナリスト・コラムニスト。コンピューターテクノロジー方面全般での豊富な執筆経験を持ち、Mac OS XやLinux、デジタル家電関連の著作多数。

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