ソニー、テレビ廃材を新テレビに利活用する「水平リサイクル」実用化。再生プラスチック「SORPLAS」材料として
ソニーは、使用済みテレビの背面カバーから回収したプラスチックを、ブラビアの新商品に再利用する「水平リサイクル」を実用化する。

「水平リサイクル」とは、使用済み製品から回収した材料を同種の新製品の原料として再利用する循環型のリサイクルのことを指す。今回の取り組みでは、指定回収工場が使用済みテレビから回収したプラスチックを、難燃性再生プラスチック「SORPLAS(Sustainable Oriented Recycled Plastic/ソープラス)」の原材料の一部として新たに使用することで実現したと説明する。

このSORPLASを活用した水平リサイクルを、4K有機ELテレビ「BRAVIA 8」(2024年発売モデル)の65V型モデルで初めて採用し、2025年内に全世界向けに出荷開始する予定だとする。
SORPLASは、ソニー独自の難燃性再生ポリカーボネイト樹脂。使用済み水ボトルの回収材や、工場、レンタルショップで排出された光ディスクの回収材などを原料として利活用し、さらに環境に優しい製品作りの実現のために開発された独自の高性能な難燃剤(プラスチックを燃え難くする添加剤)を用いることで、極めて少ない含有率で性能特性を担保し、再生材使用率を最大99%まで高められるとしている。

再生材にも関わらず光沢に優れ、外観・体裁面への利用も可能で、添加剤の混合比率などを変えることで高剛性、耐衝撃性、高難燃性などさまざまな特性を持たせることもできるという。また、一般的な難燃性ポリカーボネイト樹脂と比べて製造時のCO2発生量を大幅に低減。リサイクルを繰り返しても特性を維持することも技術的に確認され、環境負荷の低減に貢献できると謳う。
薄型テレビの一部製品においては、テレビで最も面積の大きい背面カバーにSORPLASを採用。質の高い仕上がりを保ちつつ、バージンプラスチックの使用量を従来比で最大約50%削減したとする。また、ノートPCのさまざまな部品にもSORPLASが採用されているほか、軽量かつ強度が要求される筐体や信頼性が必要な内部部品、衝撃性と長期熱劣化耐性が求められるACアダプターやバッテリーパックでの採用も進んでいるという。
使用済みテレビから回収する背面カバーには多種多様なプラスチックが使用されており、これまでは強度や質感の違いから新商品への直接の再利用は困難だったとソニーは説明。そこで、ブラビアの設計部門とソニーセミコンダクタソリューションズのSORPLAS開発チームが連携し、テレビへの再利用に適した部材の選別技術と最適な材料混合法を開発した。
この技術により、メーカーを問わず使用済みテレビの背面カバーから特定のプラスチックを回収、選別し、原材料の一部として再利用しながらも、従来のSORPLASと変わらない高品質を維持できるとのこと。将来的にはSORPLASを採用した背面カバーを回収・再利用する「クローズドリサイクル」(使用済み商品を新商品の原料として再利用する完全循環型のリサイクル)の実現を目指すとしている。