出光興産、青色有機ELのさらなる高効率/長寿命化を実現
出光興産(株)は、蛍光型青色材料を用いた有機EL素子分野において、積層型発光層素子の詳細解析を実施し、世界最高レベルの発光効率の実現と長寿命化を達成したことをアナウンスした。
本成果は、5月13日から16日まで米サンノゼで開催された、ディスプレイ関連の世界最大の学会Society for Information Displayが主催するシンポジウム「Display Week 2025」にて、有機EL技術部門の最優秀論文賞を受賞。同社としては2022年以来2回目の受賞となる。
有機ELディスプレイを構成する赤色/緑色/青色の画素に用いられる発光素子のうち、青色発光素子は唯一の蛍光型素子であり、発光効率と長寿命化が課題とされている。これに対し同社では、2つの青色材料の積層により、蛍光型素子の発光過程の中の “電荷の再結合領域” と “TTFを起こす領域” を分離させた発光層積層を用いた青色積層型発光層素子を開発/実用化。発光ロスを抑え、発光効率と寿命の改善を実現し、2022年のDisplay Weekにて最優秀論文賞を受賞した。
今回同社は、上記の成果を踏まえつつ、積層型発光層の独自の機能分離発光に着目してそのメカニズムの詳細解析を実施。各層に最適な材料設計をすることで、現在実用化されているトップエミッションデバイス(有機ELパネルのデバイス構造のうち、電気を光に変える有機層の下にあるTFT基板の上側から光を取り出す方式)において、さらなる発光効率の向上と長寿命化を達成したとのこと。
本技術を活用することで、有機ELディスプレイの省電力化と製品の長寿命化による環境負荷の低減が期待でき、また実効性の高さから、すでに製品への採用も進んでいるという。
本件について同社では、今後も高性能な有機EL材料の開発を通じ、有機EL素子およびディスプレイのさらなる高性能化に貢献していくと結んでいる。



