NHK、地上放送高度化方式を標準規格化。地上波での4K放送実現に準備が整う
NHKは、研究開発を進めてきた次世代の地上テレビジョン放送方式(地上放送高度化方式)の標準規格が、2025年3月に一般社団法人 電波産業会(ARIB)で承認されたことを発表した。

地上放送高度化方式は地上波による4K放送の実現を目指して検討されてきたもの。ARIBでの各種会合ではNHKのメンバーが参加し、地上放送高度化方式の標準規格の策定に協力。総務大臣の諮問機関である情報通信審議会での審議を経て、2024年5月に省令・告示が改正された。今回、5つの標準規格が策定されたことで、地上波で4K放送を実現するための基本的な準備が整ったという。
「映像符号化方式」では、高効率な圧縮性能を有するVVC方式を放送で使用するための技術条件を規定。電波の利用効率の改善、マルチレイヤー符号化技術が規定され、視聴者がレイヤーを選択することで個人の視聴形態に適した映像サービスが利用可能になるという。
「音声符号化方式」では、オブジェクトベース音響に対応した「MPEG-H 3D audio方式」を放送で使用するための技術条件を規定。視聴者側で異なる言語の解説音声などの音声オブジェクトを切り替え、解説音声や背景音など音声オブジェクトごとの音量バランスの調整が可能だとした。
「多重化方式」では、映像/音声/番組表/アプリなどの番組やサービスを構成する情報を1つのストリームにまとめ、受信機が映像や音声などの情報を適切に提示可能となる。衛星放送とメディアトランスポート方式の共通化を図り、個人の視聴形態に適した番組やサービスの実現において必要となる制御情報などを規定した。
「限定受信」では、複数の多重化方式に対応できるよう、番組コンテンツの暗号化・復号を行うスクランブルサブシステムと暗号アルゴリズムを規定。計算機の性能向上や大規模な量子計算機による将来的な安全性の低下を考慮しているとした。
「無線伝送方式」では、4K映像を伝送するために伝送容量を増加。多様なサービス実現のための信号構造と送信所から無線で送信するための技術を規定した。