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「生き残りをかけた努力が問われている」

NHK、稲葉次期会長が会見。ネット配信や受信料値下げにも言及

公開日 2022/12/06 20:04 編集部:小野佳希
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NHKは、次期会長に就任することが決まった稲葉延雄氏の会見を実施。今後のNHKの経営に関する考え方などを明かした。

NHK 稲葉次期会長

日銀からリコーに転身した経歴を持つ稲葉氏は、「日銀時代、日銀法改正に携わる際に、同じような法律にどんなものがあるかを研究したところ、放送法について知った。放送法の総則には『放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること』と記されており、感銘を覚えた思い出がある」とコメント。「今回、会長就任の打診が来たときに、このことが頭をよぎり、NHKの仕事との重要さを思い、引き受けようと考えた」と説明した。

また、「デジタル化のうねりのなかで、あらゆる企業が経営を翻弄されている。私も(リコーの経営に携わるなかで)生き残りをかけて各社が努力しているのを目の当たりにしてきた。それはNHKも例外ではない。まさに今、生き残りをかけた努力が問われているのではないか」とコメント。

「NHKは受信料で成り立っている組織であり、受信料を払っていただいている視聴者、国民の皆様からしっかり信頼してもらうことが大変重要だ」とし、「多くの情報のなかで、NHKのことを信頼してもらうには、公正で誤りのない情報を間断なく提供していくことが判断の拠り所になる。それがなければ今後の事業を継続していくことは難しい」と語る。

そして、「公共放送として国民の信頼を得られるよう、質の高い番組を制作していくためには、制作している人が、公共的な使命感に基づいて制作に邁進できる環境をつくることまず大事だと思う」と述べ、「その上で、質の高いコンテンツを作り続けることを可能にするような財務体質を形成することが大切。NHKが一丸となって努力していくことで、この先NHKが生き延びていけるのではないか。その先頭に私が立ってやっていきたい」と続けた。

NHKにまつわる昨今の大きなトピックである、インターネット活用業務(番組のネット配信)については、「テレビ離れが言われる状況では非常に大事な論点」とする一方で、「デジタル化時代が大きく動いており、今、我々が考えているネット動画がその形で視聴者に届けられるものなのかどうかも実はわからない面もある」とコメント。「総務省の検討会や作業部会でも様々な議論が行われている。我々も、大きく環境が変化するなかで、公共メディアの役割をどう果たしていくべきかを考えていく」とし、「やり方は議論の余地があるが、あきらかに方向としてはニーズがあるという認識は持っている」と述べた。

加えて、来年の秋に予定されている受信料値下げにも言及。前田会長の下で大胆に打ち出された改革案だ。来年10月からスムーズに実施できるようにしつつ、値下げによる財務状況が、事前のシミュレーションどおりになるのかをしっかり分析していくと説明した。

受信料を値下げすれば、当然減収となるわけだが、これを見据えた経営の将来的なダウンサイジングについては、社会のデジタル化が進むことも影響してくるとコメント。「(世の中のデジタル化の進化には)効率的な経営に資するようなイノベーションが含まれているかもしれない。新しいテクノロジーの変化をみながら経営に加えていくことで、たんにダウンサイジングというだけでなく、もっと広い意味での財務の安定化、強靭な財務の構築にもっていけるのではないか。現場の皆さんともいろいろ議論していきたい」とした。

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