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既存物件への後付けも可能

ビットキー、顔認証でマンションのオートロックを解除するサービス提供開始。工事も不要

公開日 2020/06/10 12:16 PHILE WEB ビジネス編集部・竹内純
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■導入コストは従来のおよそ5分の1に

デジタルキープラットフォームスタートアップのビットキーは、「レジデンス向け顔認証ソリューション」の提供を6月11日より開始する。まずは第一弾として、エントランスのオートロックを顔認証で開錠するサービスを提供。東京都江東区の「プラウドタワー東雲キャナルコート」に先行導入し、一部の居住者が利用を開始している。

マンションのエントランスのオートロックを顔認証で開錠する

ビットキー社が開発、発表した「レジデンス向け顔認証ソリューション」とは、“顔”による本人認証を可能とすることで、なりすましを防止できる“安全性”、鍵などの物理的に自分を証明するものを持ち歩かずに済む“利便性”、スムーズな認証による“快適性”の提供を実現するものだ。

今回、そのソリューションの第一弾としてエントランスのオートロックを顔認証で開錠するサービスを提供開始。こちらは「(1)エントランスに設置した認証装置となるタブレット端末が、顔を認識して顔の特徴量を抽出」、「(2)顔の特徴量と権利を保有したデジタルキーを集合玄関機内のbitlock GATEに送信」、「(3)bitlock GATEからの通信によりドアを開錠する」というもの。

大掛かりな工事を必要とせず、低コストで導入できるのが大きな特長

これまでの顔認証システムの導入では、大規模工事や高額な運用システムの導入が大きなハードルとなって立ちはだかっていたが、ビットキーが今回発表した「レジデンス向け顔認証ソリューション」の最大の特長のひとつは、導入・運用費用が従来の約5分の1に抑えられること。また、設置方法も集合玄関機への配線工事と認証装置となるタブレット端末の設置で1時間もかからず、大掛かりな工事も必要としないため、既存物件への後付けも可能となる。バージョンアップの際にもアプリケーションのアップデートで対応でき、特別な工事は不要。

従来、顔を認識させるためには、カメラの正面に立ち、静止して、認識させる必要があったが、顔の認識範囲が広いため、顔を正面に近づけることなく、歩きながらカメラに顔を向ける程度で鍵を開錠することができる。マスクをつけたままでの顔認証やパスワードなど複数の認証方法を組み合わせた多要素認証も可能で、要求されるセキュリティレベルに合わせた設定に対応する。

顔登録は専用Webサイトへスマホ等で撮影した顔写真を送付して情報を登録、または、エントランスに設置したタブレット端末で簡単に行える。“顔”という最大の個人情報のセキュリティが気になるところだが、認証を行うエッジ端末(タブレット端末)には、顔写真そのもののデータではなく、顔の特徴量データが収められているため心配は不要。また、クラウド上の顔データとその都度照合して認証をするのではなく、エッジ端末で認証を行うため、瞬時の“ウォークスルー”認証を実現する。

■アフターコロナ時代の非接触の選択肢を拡大

それでは果たして、導入によりどのような利便性が実現できるのか。先行導入したプラウドタワー東雲キャナルコートの管理組合理事長・副島規正氏は「600世帯2,000名以上が居住する大規模タワーマンションになります。小さなお子さんがいるファミリー層も多く、ベビーカーを押して買い物から帰ってきたお母さんが鍵を取り出すのに苦労されている光景をよく目にします」と語る。そんな不便さを解消できる。

左から、プラウドタワー東雲キャナルコートの管理組合理事長・副島規正氏、株式会社ビットキー 代表取締役CCO 寳月昌則氏、居住者の田中さん

ちいさなお子さんのいる居住者の田中さんは「ちいさな子どもは手を離すとどこへ行ってしまうかわからず心配。遠くからでも認証して、さっとドアが開くので本当に便利」と利便性を実感する。小学生の子供に鍵を持たせるのかどうかも悩ましいところだが、それも顔登録をすればOK。もちろん、現行の鍵もそのまま使用することができる。

顔認証によるドア開錠で毎日の暮らしがより快適になる

直前まで導入を予定していた“身につけていると自動でドアが開けられるデバイス”との比較では、「工事費用が安価で、また、約2,000万円もかかるデバイス代も不要になります。デバイスを紛失する心配も要りませんし、10年換算では半額以下のコストで実現できます」とメリットを説明した。クラウドによるビッグデータ管理やスマホ5G時代の広がり、AIによるデータ分析など「顔認証の導入により、マンションセキュリティの可能性が劇的に広がります。また、アフターコロナ時代に、顔認証での自動ドア開錠にとどまらず、エレベーター呼び出しやカード決済まで、“非接触”の選択肢も大幅に広がります」と訴えた。

“身につけていると自動でドアが開けられるデバイス”と比較したメリット

株式会社ビットキー 代表取締役CCO 寳月昌則氏は「ビットキーは、“つなげる”をキーワードに、人とモノやサービスをテクノロジーの力でつなげていく。その具体のひとつとして取り組んでいるのがデジタルキーです。スマホで簡単に鍵を開けられたり、鍵を送りあえたりすることで、非常に便利で安全につながる世界観を実現しようとしています」と力を込める。

ビットキーは昨年話題を集めたスマートロックでナンバーワンの実績を誇る

今回は第一弾として、エントランスのオートロックの顔認証を提供するが、「今後、レジデンス内のあらゆる場所での“顔認証対応”を目指します。例えば、セキュリティ会社のカメラと連携して、居住者以外が侵入したときにアラートを鳴らしたり、宅配会社と連携して、担当者を顔登録して置き配を実現したり、暮らしをさらに快適にする製品開発やパートナの関連製品やサービスとの連携も進めていきたい」と意気込みを示した。

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