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記録再生はDVDの400倍

2TB容量ホログラムメモリーの技術開発に東京理科大学が世界初成功

公開日 2015/11/05 15:27 編集部:近藤 貴彦
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東京理科大学は、2TB容量のホログラムメモリーの技術開発に世界で初めて成功したことを発表した。超大容量、省電力、長期保存、低運用コストを同時実現したとしている。


同技術の開発に成功したのは、東京理科大学基礎工学部の山本学教授。新しく開発した“3次元クロスシフト多重方式”により、5インチフォトポリマ−ディスクと小型で簡易な光学系、メカ機構を用い、2TBのホログラム多重記録が可能なメモリー技術の開発に成功した。

新開発の“3次元クロスシフト多重方式”は、信号光と参照光の干渉により情報記録を行うホログラムメモリー技術において、参照光を球面波とし、ディスク媒体のXY2次元空間のシフト多重記録にさらに微小角度の媒体のチルト効果を利用した3次元空間でのシフト多重記録を行う方式。これにより同一のトラックに複数のシフト多重ホログラム系列の重ね書きが可能となり、大容量化と光学系、メカ機構の簡略化、高速再生が可能になったという。

また、システム化の要素技術として、情報の入出力信号処理技術、記録再生シミュレーション技術、ホログラムメモリー用レンズ設計技術の開発を併せて行った。これらを総合して、5インチディスクでDVDの400倍となる2TBの大容量記録再生を可能とする実験機を試作することに成功したという。

ホログラムメモリーは、超大容量、長期保存性と同時に、低消費電力化にも大きく貢献するため、莫大な情報を保管する放送局やデータセンターでの情報アーカイブ用途に適すとしている。

また、商用的には2020年東京オリンピック開催に伴う高精細映像のアーカイブを第一ターゲットとして開発を進めていく予定。

実用化については、3年後を目途に情報アーカイブの市場に製品投入を図る予定であり、パートナー企業との共同開発を検討しているとのことで、製品レベルの機器開発を共同で行える企業、団体を募っている。

なお、これらの研究成果は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のエネルギー・環境新技術先導プログラムの研究開発資金のもと、三菱化学(株)、特定非営利活動法人ナノフォトニクス工学推進機構、大日本印刷(株)との共同開発で実現された。

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