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<CES2007:エプソン>新パネル搭載のリアプロ試作機を初公開

2007/01/12
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セイコーエプソンは、同社が昨年12月に発表した、新たなTN型液晶パネル「L3D07U-81G00」を搭載したプロジェクションテレビの試作機を公開している。


左がC2FINE、右が今回開発した「L3D07U-81G00」

「L3D07U-81G00」を使ったデータ用プロジェクターの試作機

今回開発した「L3D07U-81G00」の仕様は表の右側。サイズダウンと開口率向上を両立させた
このTN型液晶パネルは、サイズをこれまでの0.9インチから0.7インチに小型化したもの。一般的にサイズを小型化すると開口率は下がるが、新パネルでは、従来の51%から55%へと、逆に開口率を上げることに成功している。解像度は1,920×1,080。また、これまで同社は、パネル世代の表記に「D4」「D5」などを使っていたが、今回の新パネルでは「D6」とはならず、ホーム用のパネルC2FINE」のような、新たな呼称を付ける予定だという。

サイズを小型化したのは、パネルのコストダウンを実現するため。パネルを切り出すシリコンウェハーのサイズが同じなら、パネルが小さければ小さいほど、1枚のウェハーから取れるパネルの数が多くなり、コストダウンが可能になるのだ。このあたりは、ガラス基板を大きくすることでコストダウンを図っている液晶テレビ用パネルや、回路線幅を小さくすることで集積度を上げ、チップサイズを抑えてコストを下げるLSIなどと同じ考え方になる。

同社がパネルのコストダウンに力を入れるのは、プラズマテレビや液晶テレビが急激に価格を下げ、これまで価格面で優位とされてきたプロジェクションテレビを脅かすようになったからだと、同社TFT設計技術部 販売推進担当の原恒氏は語る。特に北米でのプラズマの価格下落は著しく、「プロジェクションテレビが得意とする50インチ以上も、どれだけ下がるか注視している」という。


同社の16対9型液晶パネルのラインナップ

同社液晶パネルの方式ごとの棲み分けは表の通り
なお、同社の今後の液晶パネルは、高画質かつコストを抑えた前述のTN型をプロジェクションテレビとデータプロジェクター用に、またVA型無機配向の「C2FINE」をホーム用プロジェクターに、それぞれ展開する戦略を採るとのことだ。同社の展示では、「L3D07U-81G00」を使ったデータ用プロジェクターの試作機も見ることができた。

さて、同社のブースには、上述のTN型液晶パネル「L3D07U-81G00」を搭載した、パナソニック製のプロジェクションテレビ「PT-56LCZ70」が展示されていた。これはパナソニックブースにも展示されているもので、新たなランプシステム「LIFI」を採用、ランプ交換が基本的に必要ない、という点も話題になっている。画質は「アメリカ人の好みに合わせて色調が鮮やかになっている」(原氏)とのことだが、精細感はまずまずの仕上がりで、黒の締まりもこれまでのプロジェクションテレビの水準を超えるレベルであることが確認できた。


新液晶パネルを採用したパナソニックのプロジェクションテレビ「PT-56LCZ70」

本体前面に「LIFI」のロゴが見える

パナソニック「PT-56LCZ70」を横から見たところ
同社が満を持して投入した新デバイスだけに、国内モデルへの導入を期待している方も多いだろう。だが、このパネルを、同社が国内で展開しているプロジェクションテレビ“LIVINGSTATION”シリーズに展開するかは、今のところ未定とのことだ。

液晶やプラズマなどの攻勢に押され気味なプロジェクションテレビだが、デバイスに4K2Kなど、フルHDの解像度を超えるものが登場すれば、これら薄型テレビへの大きなアドバンテージになるはずだ。この点に尋ねたところ、原氏は「技術的には可能なので、準備は行っている。ただし、ソースが今のところ無い現状ではアップコンが必要になるので、需要を見極めながら展開することになると思う」と語ってくれた。

(Phile-web編集部・風間)

ces2007

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