WEB版 飯塚克味のコレクター魂 ― 観るのは大変!でもやめられない止まらない海外ドラマの魅力

2007年01月02日
2006年のDVDの傾向の一つに海外ドラマのブームがあった。これにはDVDで主な名作系の映画が出尽くしたからといったネガティブな意見も見られたが、個人的には来るべきものが来たという印象を受けた。

これほど各メーカーがドラマシリーズを発売する背景には当然FOXの大ヒット作『24 TWENTY FOUR』の存在が大きわけだが、それだけでは済まない大きな魅力がある。

まず挙げられるのは低迷が続くレンタル市場の活性化である。映画配信やDVDの低価格化によってレンタルショップは以前より大幅に売り上げが減っている。だがテレビシリーズのヒットによりユーザーが再びショップに戻り始めているのだ。

これはテレビシリーズの場合、セルよりレンタルの方が都合が良いという点が上げられるだろう。何話も続くテレビシリーズ作品は映画のように繰り返し観る可能性も少ないので、続きは観たいが手元に残すほどではないと考えている人が多い。至極当然の発想だが、メーカーもそのことを認識しており、ほとんどの作品はレンタル市場への投入がセルより先行している。レンタルショップでの大量購入はメーカーにとって大きな利益を生むわけだ。

また、セル商品としてのポイントもかなり高い。映画のヒット作ほどではないにしろ何シリーズにも渡ってヒットを続ける作品の場合、単価が映画作品よりも高く、しかもシリーズ毎の安定収入と成り得る可能性が高いのだ。もちろん人気があまり盛り上がらなければ売り上げも尻つぼみになっていくが、その辺は作品の力によるところが大きい。

一つの目安は全米での人気だ。長寿を保つドラマは何かしらの理由があって支持されるわけで、それがうまく日本人の嗜好性にマッチすれば、同様の展開が見込める。日本のドラマは現在1シーズン11話が通常となっているが、アメリカではパイロット版が成功すれば、1シーズン20話以上になることも珍しくなく、製作側にとっても大きな存在となるのだ。

セル版の場合、多くのソフトに特典映像が収録されていることも大きな魅力だろう。なじみのない俳優が出演しているだけに、彼らの素顔を見られるメイキングやインタビューは貴重な映像といえる。もちろん好きな時に自分のペースで見ることができるのも大きなメリットだ。

2006年にDVD化されたドラマに話を移そう。まず筆者の印象に残ったのはトム・クルーズ主演の『M:i:III』関連のドラマ2作品。オリジナルでもある『スパイ大作戦』と、『M:i:III』の監督をしたJ・J・エイブラムスの『エイリアス』だ。

パラマウントがリリースした『スパイ大作戦』は言わずと知れた60年代の大ヒットドラマだ。毎回指令を受けたメンバーが数々の苦難を乗り越えて、使命を果たすのだが、小道具の使い方が今見ても新鮮だ。60年代生まれの自分はリアルタイムで観られるわけもなく、今回のDVDが初体験になったのだが、画質の良さも手伝って問題なく楽しめる。オールドファンには日本語吹替版の完全収録がうれしいところだ。テレビ放映ではカット部分があったため、可能な限りオリジナルの声優をそろえ、欠落部分の再録を行っている。丁寧な商品化には頭が下がる思いだ。

但し今回出たのはまだ第1シーズン。シリーズは全部で7つ。更に『新スパイ大作戦』も2シーズンあるので、早めのDVD化を期待したいところだ。



現代版『スパイ大作戦』ともいえる『エイリアス シーズン3 DVD COMPLETE BOX』。主演のジェニファー・ガーナーの活躍ぶりがみどころの一つ。販売元:Buena Vista Japan

一方の『エイリアス』だが、監督のJ・J・エイブラムスが『スパイ大作戦』のファンだったと自認しているとおり、正に現代版の『スパイ大作戦』となっているところがポイントが高いだろう。見どころ何といっても主演のジェニファー・ガーナーの活躍ぶり。毎回様々なコスチュームに身を包み、変装した上でクライマックスには体を張っての大アクションを展開する。

また血族を巡ってのミステリー的な展開も秘めており、続きを見せる力に溢れている。こちらはNHKのオンエアではスタンダード&モノラル(二ヶ国語)だが、DVDではスクィーズのワイド版でオリジナルの英語は5.1ch、吹替もステレオになっているので是非ともDVDで観ることを薦めたい。『M:i:III』でスパイ作品の魅力に気付いた人はこの2つのテレビシリーズも絶対要チェックだ!

その他には超常現象を扱った『デッド・ゾーン』と『スーパー・ナチュラル』も面白い。



『デッド・ゾーン シーズン1 コンプリートBOX』地上波とDVDの映像の観え方の違いを比べるのも楽しいだろう。販売元:Paramount

『デッド・ゾーン』はクリストファー・ウォーケン主演でデヴィッド・クローネンバーグ監督の映画版が有名だが、こちらのテレビ版も劣らぬ出来となっている。当初テレビ版の噂を聞いた時は他のスティーブン・キング原作の作品同様、6話程度のミニシリーズ作品かと思っていたのだが、壮大な展開の連続ドラマになっていた。

交通事故で昏睡状態に陥った青年ジョニーが数年の時を経て目覚める。すると彼には触った人の未来を透視できる能力が備わっていたというのが基本的な話だ。映画版では5年だった昏睡期間がテレビでは6年に。また昏睡前ジョニーの恋人だったサラの子供も映画版では赤ん坊だったのに、テレビ版ではかなり大きくなっておりサラの感情に微妙な違いが見られるのも比べていて楽しい。

映画版ではジョニーは一連の流れの中で能力を使っていくのだが、テレビ版ではその一つひとつのエピソードを膨らませて見応えのあるものに変えていっているのがうまい。原作では少年時代から常に対比されて描かれてきた大統領候補になるグレッグ・スティルソンも映画版以上に早くからジョニーに絡んでくるのも気になるところだ。

こちらも『エイリアス』同様、スクィーズのワイド版でオリジナルの英語は5.1ch、吹替はステレオ収録になっている。地上波でも放送されているが、もし気に入ったなら1枚でもDVDを観てもらいたい。映像の観え方の違いに圧倒されるはずだ。

『スーパー・ナチュラル』は闇の存在に母親を殺され、父親を誘拐された兄弟があてのない追跡を行うという物語だ。謎の存在を2人組で調査していく展開はどことなく『X-FILES』を思わせるが、VFX技術の進歩も手伝って凄まじい映像に思わず目を奪われてしまう。

製作総指揮には『チャーリーズ・エンジェル』のマックGが入っているので、映像面でのこだわりは彼の意図するところかもしれない。日本語吹替版では成宮寛貴と井上聡が主演の声を担当しているのも話題になっている。基本的に専門の声優が好きな自分は半分不安気味に見始めたのだが、意外にもしっかり役に染まって自然に楽しめる。もちろん内容の出来がいいことも影響しているのだが、二人の声優としての力量にも今後期待が持てそうだ。

『X-FILES』絡みという訳ではないが、男女のペア捜査官が活躍するドラマで『JAG 犯罪捜査官ネイビーファイル』というドラマがある。実はDVDになるまでその存在を知らなかったのだが、全米では何と10年にも渡って製作され続けた人気ドラマである。

基本は軍内部で起きる犯罪を捜査する内務調査官のようなポジションの人間が主人公で、トム・クルーズの『ア・フュー・グッドメン』を思わせる内容になっている。最初に収録されているパイロット版では『トップガン』の映像が流用されていて驚かされたが、最後まで観るとうまく内容に活かしていることが分かり、感心させられた。

因みにこのエピソードはドラマのアカデミー賞であるエミー賞で編集賞を受賞している。主人公のハーモン・ラブ大尉の制服姿も様になっており、これから見始めても充分楽しめるものとなっている。

その他にも『LOST』や『プリズン・ブレイク』、『デスパレートな妻たち』といった話題作があるが、テレビドラマを見続けるコツは無理して見ようとしないことである。特にアメリカのドラマの場合、1本あたりの予算が低予算の映画を上回ることもあり、1作品の密度も半端ではない。

DVDが普及したお陰で一気観などもよくささやかれるが、それはあくまでも年末年始やお盆のようにまとまった休みにできることだろう。また無理に観続けようとすると続かなくなってせっかくのおいしいエピソードまで辿り着けなくなることもあるはずだ。

どうか流行に流されず、自分のリズムを保ちつつ、長いスパーンでドラマとお付き合い頂きたいと思う。

(飯塚克味)