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ビル・ゲイツ氏が語る「Windows Vista」の可能性 − MCE次期バージョンのデモも

公開日 2006/04/21 18:34
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マイクロソフト(株)は本日、米Microsoft会長のビル・ゲイツ氏 来日記者会見と、Windows Vista 説明会を東京都内で開催した。

●「日本にさらなるイノベーションをもたらす」


米Microsoft社 会長のビル・ゲイツ氏
第一部として行われたビル・ゲイツ氏の来日記者会見で、ゲイツ氏は冒頭、「携帯電話やナビゲーションなど、ここ数年でデジタル分野では様々な技術革新が成し遂げられた。マイクロソフトは幸運にも、30年の歴史の中でソフトウェア産業を作りだすことに成功したが、これらのソフト駆動型デバイスはますますその重要性を増している」と指摘した。

またゲイツ氏は日本法人のマイクロソフト(株)が20周年を迎えたことに触れ、今後の日本市場へのコミットメントとして、「投資を増やし、技術革新を行う。また、東大など著名な大学とパートナーシップを組んでいく」と宣言した。

ゲイツ氏はまた「ソフトウェアはNPOの使命にも役立つ」として、「デジタルリテラシーを向上させる取り組みを行ったり、NPOイベントへの協賛、NPOパートナーシッププログラムを実行するなど、マイクロソフトとして様々な支援を行っていく」ことを表明した。

NPOへの積極的な支援を表明

同社の今後の主要製品ラインナップ

さらにゲイツ氏は、同社の主要製品ラインナップを紹介。「Windows Vista」をその中核に据えるものとして紹介しながら、「今年後半に登場するOfficeの次期バージョンにも期待して欲しい」とした。また、同社の開発に関する投資についてもアピールし、「年間60億ドル以上を投資しており、この分野ではダントツの金額。このうちセキュリティ対策に3分の1を割り当てており、誰もがかんたんに、安全に使いこなせる製品を実現することに力を注いでいる」と語った。

●Windows Vistaで目指す様々なバリュー

続いてWindows Vistaの概要説明に移ったゲイツ氏は、「かんたんに言えば、色々な情報を簡単につなげることができるOSだ」と説明。

具体的には、同OSのビジネスユース向けのメリットとして「セキュリティコンプライアンス」「デスクトップ環境の最適化」「社員の生産性」「先進的なアプリケーション環境」の4つを挙げ、特に「PCを無くしてしまった場合にもセキュリティを保つよう工夫している」と強調した。

コンシューマー向けのバリューとしては、インターネット環境やチャイルドロックなどの安全性、家庭や外出先での接続性、よりシンプルで直感的なインターフェースや簡便な情報整理などを実現した高い検索性、そしてデジタル家電などと連動した最新デジタルエンターテイメント体験の4つを掲げた。

Vistaがコンシューマーに与えるバリュー

パートナーとのエコシステム構築を推進

また、パートナーとのエコシステムを作り上げることの重要性についても触れ、国内ではハードウェア分野でキヤノンと提携してカラーマネジメント技術などで協力していることや、OCNやワーナーミュージック、東芝EMI、東芝などが運営するビデオ配信サービスがスタートすること、そしてビジネス向けのセキュリティ対策でLACと提携していることを紹介した。

●「HD DVDとBDのオープン性には差がある」

「Web2.0についてどう思うか」と問われたゲイツ氏は、「あまりに曖昧な単語で、あまり使われていないのでは」と答え、「ただしネット上のサービスが急速に技術革新を遂げているのは事実。それらのサービスの裏側で動いているのはソフトウェアであり、カギはソフトが握っている」とした。さらに、「我々はこの分野でも他社に先駆けてサービスを展開し、パイオニアとしての自負がある。ウェブサービスの開発ツールも提供しており、それらが充実した結果、他社がどんどん参画し出したことは喜ばしい」と余裕を見せた。

また、同社が支持しているHD DVDと、ライバル規格であるBlu-ray Discの規格争いの行方については、「HD DVDプレーヤーは先日アメリカでも発売になった。Xbox 360で我々が実現しようとしているハイデフを加速させるものとして期待している。動画の美しさは言うに及ばず、インターネットと接続してオンラインサービスが利用できるなど、アドバンスト機能についても注目している。Blu-ray DiscがWindowsとどう絡んでいくかは情報が無い。オープン性については、両者で同じではない」と指摘した。

「放送と通信の融合」についての質問には、「両者の融合は進み、ネットで動画を見る行為はますます普及する。かといって、これらのサービスを1社で手がけるべきではない。IBMは、かつてハードウェアもソフトウェアも営業もすべて1社でやろうとしたが、結局ソフトウェア産業を作り出すには至らなかった。マイクロソフトは、これからの放送と通信の融合の時代に、ますますソフトウェアに特化して、パートナーが手軽に参加できるアーキテクチャーを作ることに注力していく」と宣言した。

●Windows Vistaは5製品をラインナップ


マイクロソフト(株)Windows本部 本部長のジェイ ジェイミソン氏
発表会の第二部として行われたWindows Vista の説明会では、まず初めにマイクロソフト(株)Windows本部 本部長のジェイ ジェイミソン氏が、同OSの概要を説明した。

ジェイミソン氏は、「この5年で、PCを取り巻く様々な分野が進化したが、その反面、『データが多すぎて目的のものを探せない』『セキュリティ対策が不十分』などの問題も増えてきた。Vistaはこれらの不満を解決すべく、『シンプルでかんたん、安全に目的を果たす』ことをコンセプトに開発した」と説明。これらを実現することがコンシューマへの価値提案につながるとした。

またジェイミソン氏は、Windows Vista の製品ラインナップについても説明。コンシューマ向けでは、ウェブブラウズやメールなど基本機能を楽しむための「Home Basic」、デジタルエンターテインメントを楽しむための「Home Premium」、最善のホームエンターテイメント体験に加え、ビジネス用の基本機能も搭載した「Ultimate」の3パッケージを用意。ほかにビジネス向けとして「Business」と「Enterprise」の2パッケージも提供する。Vistaの提供は、まず今年11月から企業向けに開始し、2007年1月に一般販売を行う予定だ。

Windows Vistaのラインナップ

Windows Vistaの発売スケジュール

●新GUIやMedia Centerの次期バージョンをデモ


倉本玲子シニアマネージャー
続いて、マイクロソフト(株)コンシューマ Windows 製品部のシニアプロダクトマネージャーを務める倉本氏よりWindows Vistaのデモが行われた。

倉本氏は、Vista Home Premium版の特徴である半透明のGUI「Windows Aero」や、ウィンドウを3D化して表示する機能などをデモ。またWindows Media Playerの次期バージョンの画面も見せ、アルバムのジャケット写真を並べて表示する機能などについて説明した。

半透明のウィンドウを重ね合わせて表示できる新GUI「Windows Aero」

ウィンドウを3D表示して目的のものを探し出すこともできる


同社が試作したコンテンツ購入アプリケーション「Media Mania」

Windodws Media Playerのデザインも一新される

Vistaでは、目的のデータを探し出すための手間も大幅に軽減されている。画面の至る所に配置された検索ウィンドウにキーワードを打ち込むと、関連するファイルを即座に表示。この機能は文書ファイルだけでなく静止画や動画などマルチメディアデータについても有効で、新しいフォトビューワーで、あらかじめ写真に登録しておいたメタデータを用い、関連する写真を絞り込む機能などもデモされた。

また倉本氏は、リモコンでデジタルエンターテインメントを気軽に楽しめる「Media Center」機能についても紹介。VistaではHome Premium版などに搭載されるもので、従来のWindows XP Media Center Editionの機能を踏襲しながら、さらにユーザーインターフェースの使い勝手を高めた。これまで、メニューはカーソルキーで上下に移動することしかできなかったが、次期バージョンでは上下方向でカテゴリを選ぶと、左右に関連データを表示。より少ない操作で、簡便に目的のコンテンツにたどり着くことができる。また、Windows Aeroのグラフィック機能を用い、動画を再生しながら、その上にメニューを重ね合わせて表示する機能なども紹介された。

次期Media Centerでは、上下方向でカテゴリを選ぶと左右に関連情報が表示される

音楽再生時にアルバムを一覧表示して好みの曲を探すこともできる

写真を探す際も、フォルダ内にサムネイルが表示されるので見つけやすい

(Phile-web編集部)

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