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中国ドキュメンタリー作品が連続大賞受賞:山形国際ドキュメンタリー映画祭2005受賞作

2005/10/17
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三峡ダムに沈む町を見つめた映画で中国の監督が大賞を受賞。

日本の若手、加藤治代監督は二つの賞を受賞。
10月7日(金)から山形市で開催された山形国際ドキュメンタリー映画祭2005が13日(木)全ての作品上映を終え閉幕した。

大賞にあたるロバート&フランシス・フラハティ賞は中国のリ・イーファン、イェン・ユィの二人の監督が三峡ダムに沈み行く運命の町々、そこに生きる人々の姿を追った「水没の前に」。前回(2003年)の「鉄西区」につづいて中国ドキュメンタリーの質の高さと活気を印象づけた形だ。

両監督は、「我々にとって尊敬し輝ける星である小川伸介監督が映画を撮っていた山形で大賞を得たことを大変うれしく思っています。」「この受賞は映画に登場して協力してくれた中国の庶民のみなさんのおかげです。この人たちの幸福を心から祈っています。」と受賞の言葉を述べた。

最優秀賞の山形市長賞は、パレスティナ人とイスラエル人の二人の監督が国連決議により想定されたパレスティナの分断線を旅しながらパレスティナ問題と世界の現在について制作した「ルート181」が受賞。

審査委員長の崔洋一監督は「世界は一つの価値観で支配されないことを活写し様々な視点、世界観の混在こそが現実と個人が真摯に向かいあう方法であり、個人と個人が自己と他者として認識し向かいあう方法であることを示したのが今回のインターナショナル・コンペティションであった。そしてドキュメンタリー映画の役割が社会的有効性として語られるのではなく、全ての映画は結論のために存在しているのではないと実証した。」等と総評した。

本年よりコミュニティ・シネマ賞が創設され、大久保賢一審査員は「近年日本ではスクリーン数は増加しているが、その増加が必ずしも映画の多様な魅力や力を伝えてはいない。東京のコミュニティ・シネマ団体と全国の美術館、市民団体、ミニシアターなど170を越える団体が結びついてネットワークを作った。これら映画を上映する人間が映画の多様な力や魅力をより多くの観客に伝えたいと考え、上映作一本に日本での公開上映実現の助成に3000ドルを授与する賞を創設した。」と説明。第一回目の受賞作として、フーベルト・ザウパー監督の「ダーウィンの悪夢」が受賞した。

日本の監督の作品としては、加藤治代監督が、病に冒された実母の生と死によりそう日常を撮影した「チーズとうじ虫」がアジア部門最高賞にあたる小川伸介賞と国際映画批評家連盟賞をダブル受賞した。

その他の受賞作品、および本映画祭についての詳細は以下まで。

山形国際ドキュメンタリー映画祭実行委員会事務局
http://www.city.yamagata.yamagata.jp/yidff/

(取材・文:山之内優子)

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