HOME > ニュース > 第9回山形国際ドキュメンタリー映画祭開催 〜 ビデオによる映像制作、ボーダーレス化、個人製作が進む

第9回山形国際ドキュメンタリー映画祭開催 〜 ビデオによる映像制作、ボーダーレス化、個人製作が進む

公開日 2005/10/07 18:40
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
世界的に有名なドキュメンタリー映画祭として知られる山形国際ドキュメンタリー映画祭が10月7日(金)から13日(木)まで山形市で開催される。期間中は国際審査員による世界各国の作品コンペティション部門、アジア部門、特集上映等のプログラムが、山形市中央公民館を中心とした各会場で上映される。

本年の応募作品総数は過去最高の104の国と地域から1628本。1989年の第一回時のほぼ7倍。応募数の増加には、ドキュメンタリーという概念を固定的に捉えず自由な解釈を許容してきた映画祭事務局の柔軟な姿勢が世界的に知られてきたことも大きいだろうが、同時に近年の高機能撮影カメラ・編集機器の開発・普及により、大資本によらない映画製作がますます活発化していることがわかる。

応募全体の84%がビデオ作品で、HD撮影も多く、フィルム作品の場合もビデオ35mmへブローアップしたものが圧倒的という。


「ルート181」ミシェル・クレフィ、エイアル・シヴァン監督 2003年、ビデオ、270分より
国際審査員によるコンペティション部門は、950作品の中からの15作品。ベルギー・フランス・イギリス・ドイツが制作し、パレスティナとイスラエルのふたりの監督がパレスティナを二分する境界線をテーマに撮影した「ルート181」などのように、制作とテーマにひとつの国ではおさまらないボーダーレス化がすすみ、また個人の視点から社会的問題を見つめる作品が増えているという。

アジア部門では、質量ともに高い水準を示した中国作品、日本よりずっと自由に制作されている韓国やインドのテレビ放映作品などが上映される。また特集部門のひとつ「雲南映像フォーラム」では、北京以外の地域の映像制作を紹介。他に、スイスと日本のパーソナルなドキュメンタリー映像を特集した「私映画から見えるもの」、在日外国人をテーマにした「日本に生きるということ」、台湾のドキュメンタリー集団「全景」の特集や、シンポジウム等が行われる。

山形映画祭は、多くの山形市民のボランティアによって温かい支援があることでも有名で、各地から山形にやってきた観客や世界のドキュメンタリー監督と今の世界を生きる時間を共有しながら熱気のあふれる一週間が繰り広げられる。今年はジャズコンサート、スイスフェアなども開催される予定。

プログラム、入場券等詳しい情報は以下のURLまで。

山形国際ドキュメンタリー映画祭
http://www.city.yamagata.yamagata.jp/yidff/home.html

(文・山之内優子)

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE