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[CEATEC2005:次世代PDP開発センター] フルHDパネルがズラリ/消費電力を半分以下にする新技術

2005/10/04
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次世代PDP開発センターブース
次世代PDP開発センターのブースでは、PDPの性能を向上させる新技術や、液晶テレビとの比較展示、視覚疲労に関する研究結果などを見ることができる。

次世代PDP開発センターの略称は「APDC」。富士通、日立製作所、松下電器産業、パイオニアプラズマディスプレイ、パイオニアの5社が出資している企業で、経済産業省の支援を受け、低消費電力なPDPの研究開発を行っている。

プラズマテレビと液晶テレビの比較展示では、環境光を1500ルクスと100ルクスの2段階で切り替えた環境下で視聴するデモや、動画応答性能・視野角の高さ、消費電力の低さなどをアピールするデモが行われている。各社が最新プラズマテレビ発表会の際に行った比較デモとほぼ同様だ。

消費電力の比較デモ

液晶と比較した際の視野角の広さをアピール

動画応答性の高さもPDPの特長の一つ

また、PDPの明るさを劇的に挙げる新たな研究成果も披露。1Wあたり3.5lmという、現行比2.5倍の明るさを実現した43V型PDPを展示した。技術の詳細については公表できないとのことだが、「放電の際に使用する光を可視光に変更する際の効率を高めたことで明るさを向上させた」という。


1Wあたり3.5lmの明るさを実現した43V型の試作パネル
1Wあたりの明るさを高められれば、明るさを同じにした際の消費電力は下がる。試作機の消費電力は約150Wで、従来比1/2程度の数値となっている。試作機は画素欠けが目立ったが、これは「試作ラインどころか研究ライン」というレベルで作ったことが原因とのこと。量産段階では画素欠けは無くなるはずだ。

本技術は2007年の実用化を目指している。なお、製造コストについては「今のコストダウンの流れに沿うことができる」とのことで、本技術を適用することで大幅にコストアップやコストダウンすることはないようだ。


1Wあたり5.7lmの明るさを誇る11型試作パネル
また、さらに発光効率を上げ、1Wあたり5.7lmの明るさを実現した11型の実験パネルも展示。これは蘭フィリップス社の5lm/Wという記録を超える、世界トップレベルの数値だという。

PDPでは通常、最初にアドレス選択を行って光らせる画素を指定し、その後2次発光を行って実際に発光させるという手順を踏むが、この11型の実験パネルではアドレス選択を行っておらず、2次発光のみを行っている。このため、現状では白い光を常時点灯するだけで、動く映像を表示することはできない。このパネルの発光セルの大きさは43V型のWXGAパネルと同程度といい、今後の大型化にも期待が膨らむ。

ブースの奥には、各社が相次いで発表したフルHD解像度のPDPが並ぶ。置かれていたのはパイオニアの50V型、FHPの55V型、松下電器産業の65V型。

右が50V型のフルHD パネル

55V型のフルHDパネル。FHP製と思われる

65V型のパネルは液晶との比較展示を行っていた


大阪教育大学人間行動学の高橋誠教授が実施したグレイティング視力測定実験の結果
また、薄型テレビを視聴した際の視覚疲労に関する研究成果もパネル展示。大阪市立大学大学院の岡田明教授の研究では、被験者にプラズマテレビと薄型テレビを見せ、心理的な主観評価と瞬目率で計測した生理評価を実施。どちらの結果でも、液晶に比べてプラズマの方が疲れにくいという結果が出たと発表している。

また、大阪教育大学人間行動学の高橋誠教授は、被験者にプラズマテレビと液晶テレビを見せ、25分ごとにグレイティング視力の測定を実施。その結果、プラズマはほとんど視力が下がらないのに対し、液晶では時間が経過するのに合わせ、視力が次第に低下するという結果が報告されている。

(Phile-web編集部)

ceatec2005

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